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雪葵
530
5,217
『角名のコスプレ日常 ~負けたら平成ギャル~』
角名家では、月に一度。
絶対に負けてはいけない戦いがある。
その名も――
“角名家トランプ大会”
ただの遊びではない。
この大会。
最下位には罰ゲームがある。
それもかなり重い。
翌日、妹指定のコスプレを着ること。
そして――
“その役になりきって学校へ行くこと”
キャラ崩壊禁止。
途中でやめるの禁止。
サボり禁止。
拒否権なし。
父
「若いうちの恥は財産や」
母
「青春っていいねぇ」
妹
「黒歴史量産たのし~♡」
角名倫太郎。
高校二年生。
現在。
人生に絶望中。
「この家、終わってる」
妹
「はい、お兄負けフラグいただきました~」
テーブルの上では白熱した戦いが繰り広げられていた。
ババ抜き。
大富豪。
七並べ。
そして最終戦。
大富豪。
父、妙に強い。
母、地味にしぶとい。
妹。
――異常に強い。
革命。
都落ち。
ジョーカー。
全部、角名に刺さる。
角名
「……は?」
妹
「ざぁこ♡」
父
「倫太郎、顔死んどる」
母
「がんばれ~」
そして。
数十分後。
結果。
1位:妹
2位:父
3位:母
最下位:角名倫太郎
沈黙。
妹、ゆっくり立ち上がる。
そして満面の笑み。
「よっっっしゃぁぁぁ!!!」
角名
「やり直し」
父
「なしや」
母
「ルールはルール~」
妹、スマホを差し出す。
そこに映っていたのは。
――平成ギャル。
ルーズソックス。
じゃらじゃらアクセ。
盛りメイク。
ゆる巻き。
角名
「死ぬ」
妹
「しかも~?」
ニヤァ。
嫌な予感。
妹
「ただのコスプレじゃありませ~ん♡」
角名
「……あ?」
妹
「“超陽キャ平成ギャル”になりきって学校行ってね♡」
角名
「無理」
妹
「平成ギャル語必須♡」
角名
「嫌」
妹
「キャラ崩したら来週も罰ゲーム♡」
角名
「脅迫?」
母
「楽しそう」
父
「ギャルピース練習しとき」
角名
「家出たい」
翌朝。
朝練の日。
まだ外も薄暗い時間。
角名の部屋のドアが勢いよく開く。
妹
「お兄~~!!起きろ陽キャ!!」
角名
「……殺意」
ベッドの上に置かれていたのは、
完璧なギャルセット。
しかも妹監修。
「ちゃんと役やってね?“ダルたにえん”とか言って♡」
角名
「俺、学校休む」
妹
「サボったら来週メイド」
角名
「……着替える」
数十分後。
完成。
鏡の前。
ルーズソックス。
ゆる巻きウィッグ。
盛られた目元。
じゃらじゃらアクセ。
ネイル。
そして――
顔だけ無駄に良い。
角名
「最悪」
妹
「え、盛れてる!!すなち爆誕!!」
角名
「その名前やめろ」
そして。
朝練。
体育館。
眠そうな空気。
ボールの音。
部員たちのだるそうな声。
宮侑
「ねっっむ……」
宮治
「朝からうるさい」
その時。
――ガラッ。
体育館のドアが開く。
「ちょり~っす☆」
全員。
止まった。
沈黙。
……誰?
ルーズソックス。
ギャルメイク。
ゆる巻き。
じゃらアクセ。
でも。
顔だけ見覚えしかない。
数秒後。
侑
「…………………………角名?」
角名、ギャルピース。
「まぢ~☆」
体育館崩壊。
侑
「ぶはっっっっ!!!!!!!!!!」
治
「…………誰?」
角名
「ウチ、すなちなんだケドぉ~?」
侑
「やめろwwwwwwwwww」
治
「なんやねんそのキャラ!!」
角名
「テンアゲぽよ~?」
侑、床叩いて爆笑。
「腹痛いwwwwww」
「え、角名!?」
「待って普通に似合う!!」
「なんで!?!?」
角名
「まぢ盛れすぎて病む~」
侑
「お前絶対無理しとるやろ!!!!」
その時。
――ガラッ。
体育館の扉が開いた。
入ってきたのは。
大耳練。
瞬間。
角名、停止。
ぴたり。
空気が変わる。
角名(心の中)
(待って無理)
(朝から大耳さん)
(ビジュ良)
(供給過多)
(今日前髪良すぎ)
でも。
キャラ崩壊禁止。
妹ルール。
絶対。
角名、震える。
そして無理やりギャル継続。
「やっぴ~☆ 大耳さん、今日もビジュ盛れすぎててマヂ神なんですケドぉ~♡」
体育館。
静止。
侑
「キッッッショ」
治
「重」
大耳、数秒止まる。
「……角名か?」
角名
「そだケドぉ~?」
侑、再び崩壊。
「そだケドぉ~!?!?!?!?」
侑、呼吸困難。
「っはwwwwww無理!!!!角名お前なんなん!?!?!?」
治も肩震わせながら笑っている。
「朝から情報量多すぎるやろ……」
でも。
角名は。
キャラを崩せない。
妹ルール。
絶対。
破れば。
来週メイド服。
それだけは嫌だ。
だから。
死んだ目のまま。
無理やりギャルを続ける。
角名
「ウチぃ~?平成の波に乗っちゃってる系なんだケドぉ~?」
侑
「乗れてへん!!事故っとる!!」
その時。
大耳がじっと角名を見る。
数秒。
静寂。
そして。
「……似合っとるで」
停止。
世界、停止。
角名。
完全停止。
(待って)
(大耳さんが)
(今)
(似合っとるって言った?)
(え、無理)
(しぬ)
顔、真っ赤。
でも。
キャラ崩壊禁止。
角名、必死。
震えながらギャル継続。
「えぇ~♡ マヂぃ~?照れるんですケドぉ~♡」
声が若干震えてる。
侑
「声裏返っとる!!!!」
治
「限界オタク出とる」
角名(心の中)
(無理無理無理無理)
(今日命日)
(録音したい)
(今の一言、一生保存)
(大耳さん、俺のこと見た)
(目合った)
(やば)
侑
「なぁ、ほんま何があったん!?!?!?」
角名
「企業秘密ぅ~♡」
侑
「腹立つ!!!!!」
朝練開始。
アップ。
ランニング。
問題は。
ギャル角名が普通にバレーうまいこと。
「ナイッサ~☆」
「どんまいぴえん~♡」
「切り替えしか勝たんくね?」
侑、ついにしゃがみ込む。
「無理やwwwwww腹ちぎれるwwwww」
治
「声と顔が一致せん」
しかも。
角名。
サーブになると普通に強い。
バァンッ!!!
床に突き刺さるジャンプサーブ。
沈黙。
角名、ギャルピース。
「え、ウチ強すぎて草なんですケドぉ~?」
侑
「腹立つぅぅぅ!!!!!!」
その時。
水分補給中。
大耳が隣に来た。
角名、硬直。
(近い)
(待って近い)
(無理)
(酸素足りん)
大耳
「……朝から元気やな」
角名(心の中)
(違う)
(元気ちゃう)
(罰ゲーム)
(助けて)
でも。
キャラ継続。
「テンアゲっしょ~♡」
大耳、少し笑う。
「そうか」
――笑った。
角名。
フリーズ。
完全停止。
脳内大爆発。
(今)
(え)
(笑った????)
(大耳さん笑った????)
(無理)
(尊)
(え、供給過多)
(今日帰ったら墓建てる)
治
「角名、顔赤ない?」
侑
「うわ、きっしょ!!!!!」
角名
「は!?キモくないんですケドぉ~!?」
侑
「いやキモい!!!!」
休憩時間。
体育館の端。
角名がスポドリ飲んでいると、
自然と全員集まってきた。
侑
「で?????」
角名
「なに」
侑
「なんでその格好やねん!!!!!!」
治
「しかもなんでキャラ徹底しとるん」
他の部員も頷く。
「気になる」
「怖い」
「説明して」
角名。
数秒沈黙。
正直。
言いたくない。
でも。
このままだと永遠に聞かれる。
角名、ため息。
「……昨日、家でトランプ大会やった」
沈黙。
侑
「………………トランプ?」
治
「家族で?」
角名
「うん」
侑
「なんで????」
角名
「知らない。月一」
全員
「月一????」
角名
「負けたら罰ゲーム」
侑、ニヤァ。
「あっ」
治
「なるほどな」
角名
「翌日、妹指定のコスプレ」
静寂。
全員。
停止。
侑
「…………は?」
角名
「しかも役付き」
治
「役?」
角名、死んだ目。
「“明日一日そのキャラになりきること”」
数秒。
理解が追いつかない。
侑
「…………つまり?」
角名
「妹指定」
無表情。
ギャルピース。
「平成ギャル」
体育館。
崩壊。
侑、床転がる。
「ぎゃははははは!!!!!!!!!!」
治、壁向いて笑ってる。
「っ、あかん……無理……」
その時。
大耳がぼそっと。
「……家族仲ええんやな」
角名。
停止。
(待って)
(大耳さんが会話入ってきた)
(やば)
(供給)
(脳処理追いつかん)
でもキャラ継続。
「マヂ家族、鬼なんですケドぉ~♡」
侑
「キモ」
そして――
授業地獄が始まる。
朝練終了後。
更衣室。
角名はロッカーの前で静かに絶望していた。
鏡。
そこに映るのは――
平成ギャル。
盛りメイク。
ゆる巻き。
アクセ。
ネイル。
ルーズソックス。
そして何より。
顔だけ無駄に良い。
角名
「だるたにえん……」
妹ルール。
“学校終わるまでキャラ継続♡”
逃げ場なし。
しかも。
今日は。
授業あり。
角名
「帰りたい」
背後。
侑
「すなちぃ~♡ 教室行こや~♡」
角名
「黙れ」
治
「キャラ崩れてんで」
角名
「……ぴえん」
侑、大爆笑。
「守るんやそこ!!!!」
―――――
教室。
ガラッ。
入った瞬間。
空気が止まる。
「…………え?」
「……角名?」
「は?」
女子、二度見。
男子、硬直。
角名。
無表情のまま席へ。
バッグを置く。
そして。
死んだ声で。
「ちょり~っす☆」
教室。
大爆発。
「ええええええ!?!?!?」
「何それ!?!?」
「え、待って可愛っ!?」
「似合ってんの腹立つ!!」
女子たちが一瞬で囲む。
「角名くん写真撮って!!」
「え、メイク誰!?」
「その髪どうしたん!?」
角名(虚無)
「ウチぃ~?盛れ命なんだケドぉ~♡」
女子
「キャラ濃!!!!」
男子
「誰か説明しろや!!!!」
侑(ニヤニヤ)
「罰ゲームやで♡」
角名
「喋るな」
その時。
先生が入ってきた。
一瞬。
止まる。
先生
「…………」
見る。
もう一回見る。
名札確認。
角名確認。
先生
「……角名?」
角名
「そだケドぉ~?」
クラス崩壊。
先生、数秒沈黙。
「……何があった」
角名
「人生?」
侑、机叩いて笑う。
授業開始。
問題は。
妹ルールでキャラ崩壊禁止。
つまり。
授業中も。
平成ギャル。
先生
「じゃあ、次の問題。角名」
終わった。
教室ざわつく。
角名、ゆっくり立つ。
心の中。
(無理)
(普通に答えたい)
(でもメイド回避)
深呼吸。
角名
「え~っとぉ~?たぶん③しか勝たんくね?♡」
教室。
静寂。
先生
「…………正解」
クラス爆発。
侑
「授業で“しか勝たん”言うなwwwwww」
治
「真面目に答えろや」
次。
国語。
音読。
角名。
死んだ目で立つ。
(終わった)
黒板。
大きく書かれている文字。
『走れメロス』
角名(心の中)
(よりによって)
(今日)
(メロス)
先生
「今日は音読な」
クラス、一斉に教科書を開く。
そして。
悪魔の一言。
「じゃあ、角名」
教室。
静止。
全員。
見る。
“ギャル角名×走れメロス”
絶対事故。
侑、もう笑う準備してる。
治、口押さえてる。
角名、立つ。
(普通に読みたい)
(でもメイドは嫌)
ゆっくり教科書を開く。
死んだ目。
深呼吸。
そして。
角名
「メロスゥ~は激おこなんですケドぉ~♡」
教室。
爆発。
「ぶはっ!!!!!!」
「待って無理wwwwww」
侑、机叩いてる。
「激おこwwwwww」
角名。
無。
もう感情を捨てた。
角名
「メロスゥ~には政治ぃ~がわかんなかったケドぉ~♡ 村の牧人でぇ~、笛吹いて暮らしてた系男子なんだケドぉ~♡」
教室。
崩壊。
女子、泣きながら笑ってる。
男子、呼吸困難。
治、もう顔真っ赤。
先生すら肩震えてる。
侑
「系男子やめろwwwwww」
角名(虚無)
「毎日ぃ~?のんびり村ライフ送ってたんですケドぉ~、メロスゥ~、まぢ正義感強すぎ案件♡」
先生
「角名」
角名
「はいみぃ~?」
先生
「原文読め」
角名
「ぴえん」
クラス再爆笑。
でも。
妹ルール。
**キャラ維持。**
つまり。
原文でも。
**ギャルは崩さない。**
角名、死んだ目のまま教科書を見る。
角名
「メロスはぁ~、激怒したんですケドぉ~♡ 必ずぅ~、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬって感じぃ~?♡」
侑、椅子から落ちる。
「っはwwwwww“って感じぃ?”ちゃうねんwwwww」
治
「授業ちゃうぞwwwwww」
先生
「宮、静かに」
侑
「無理です!!!!」
角名、続行。
感情ゼロ。
顔は虚無。
でも口だけギャル。
角名
「メロスゥ~には政治がわかんなかったケドぉ~、人の痛みには超敏感だった系~♡」
女子
「待って息できんwww」
男子
「メロス壊れたwwww」
そして。
運命のシーン。
**“セリヌンティウス!”**
角名、ページを見る。
心の中。
(ここキツい)
(恥ずい)
(帰りたい)
でも。
逃げられない。
角名
「セリヌンティウスぅぅぅ~~~~!!!!」
教室。
静止。
角名、無駄に感情込める。
「ウチの親友ぅぅ~~~~!!!!まぢ信頼しか勝たんのですケドぉぉぉ!!!!!!」
教室。
完全崩壊。
女子、涙出てる。
男子、机突っ伏し。
侑、酸欠。
「っはwwwwwwwwwwwwww」
治
「授業にならんwwwwww」
先生。
ついに眼鏡外す。
笑い堪えてる。
先生
「……角名」
角名
「なんですかぁ~?」
先生
「お前、今日ずっとそれか」
角名
「契約なんですケドぉ~♡」
その時。
――ガラッ。
教室のドアが開く。
「すみません、先生。プリント届けに来ました」
その声。
教室中が振り向く。
そして。
角名、停止。
(待って)
(無理)
(大耳さん)
(よりによって今)
(しかも)
(メロス)
(ギャル)
(死ぬ)
ドアのところには。
大耳練。
いつもの落ち着いた顔。
ジャージ姿。
普通にかっこいい。
角名(心の中)
(待って今日ビジュ良すぎ)
(袖ちょっとまくってる)
(むり)
(供給過多)
でも。
教室の空気。
**最悪。**
なぜなら。
今の状況。
黒板。
『走れメロス』
そして。
**ギャル化した角名、音読中。**
侑、即ニヤける。
(終わった)
って顔。
治、もう肩震えてる。
先生。
なぜか。
最悪のタイミングで言う。
「ちょうどいい。大耳、お前も聞いていけ」
角名(心の中)
(は????)
(なんで)
(帰って)
(お願い)
大耳
「……?」
侑、机に突っ伏す。
「終わったwwwwww」
先生
「角名、続き」
角名
「…………」
教室。
全員期待の目。
大耳も見てる。
**逃げられない。**
妹ルール。
> キャラ崩したら来週メイド♡
角名(心の中)
(メイドは嫌)
(でも大耳さんの前)
(無理)
(死ぬ)
沈黙。
数秒。
そして。
覚悟を決めた。
角名、ゆっくり教科書を見る。
死んだ目。
角名
「セリヌンティウスぅ~♡」
侑、即死。
角名
「ウチぃ~、お前のこと信頼しか勝たんのですケドぉぉ~~~~!!!!」
教室。
大爆発。
「っっっっっぶは!!!!」
「無理wwwwwww」
「腹痛い!!!!」
治、机叩いてる。
先生すら肩震えてる。
でも。
地獄は終わらない。
先生
「続けろ」
角名(心の中)
(先生鬼)
(悪魔)
(絶対楽しんでる)
でも。
妹ルール。
**逃亡不可。**
角名、死んだ目のまま続行。
角名
「メロスゥ~、友情ガチ勢すぎ案件なんだケドぉ~♡ まぢ親友守るために命かけるとかエモすぎぃ~♡」
侑、椅子から落下。
「エモすぎぃ~wwwwwwwww」
治
「もう無理wwwwww」
女子、机叩いて笑ってる。
男子、呼吸困難。
そして。
その時。
視界の端。
**大耳、笑ってる。**
少しだけ。
口元押さえて。
笑ってる。
角名。
停止。
(待って)
(え)
(笑った????)
(俺見て????)
(今????)
(無理)
(墓)
(埋めて)
(いや燃やして)
先生
「角名」
角名
「はいみぃ~?」
先生
「止まっとる」
角名
「ぴえん」
再び教室崩壊。
そして。
音読終了。
席に座った瞬間。
侑が即振り向く。
ニヤァァ。
「なぁ角名」
角名
「なに」
侑
「大耳さん、めっちゃ笑っとったな♡」
停止。
角名
「……は?」
治
「口元押さえて笑っとった」
侑
「しかもお前のことずっと見てた」
角名
「…………」
数秒。
顔。
真っ赤。
耳まで真っ赤。
侑
「赤ぁ!!!!!!!!」
治
「わかりやす」
角名
「うるさいんですケドぉ~~~~!!!!」
侑
「キャラ守れてへんやんwwwww」
その時。
――コンコン。
教室のドア。
さっき帰ったはずの大耳が。
ひょこっと顔を出した。
教室。
静止。
大耳
「……角名」
角名(心の中)
(待って)
(無理)
(しぬ)
(なんで来た)
(え)
大耳。
少しだけ笑って。
「……その、似合っとったで」
沈黙。
教室。
数秒停止。
そして。
**爆発。**
「えええええええ!?!?!?」
「先輩来た!?!?!」
「似合っとるって言った!?!?!」
侑、机叩きながら大爆笑。
「っはwwwwwwwwwwお前!!!!!!」
治
「終わったな」
角名。
完全停止。
脳。
処理不能。
(待って)
(今)
(大耳さん)
(似合っとるって)
(2回目)
(録音したい)
(保存)
(家宝)
(墓)
顔。
真っ赤。
耳。
真っ赤。
首まで赤。
でも。
妹ルール。
キャラ継続。
震える声で。
角名
「えぇ~♡ マヂぃ~?照れるんですケドぉ~♡」
侑
「声震えとる!!!!!!」
治
「限界オタク出とる」
大耳、少し笑う。
「……昼、一緒に食う?」
教室。
**静止。**
侑
「……………………は?」
治
「え?」
クラス
「え??????」
角名(心の中)
(待って)
(昼)
(大耳さんと)
(ご飯)
(え)
(無理)
(しぬ)
(今日命日)
でも口が勝手に。
角名
「えぇ~♡ マヂハピなんですケドぉ~♡」
侑
「ガチ照れで草」
昼休み。
チャイムが鳴った瞬間。
角名は机に突っ伏した。
**限界。**
もう限界。
朝練。
ギャル。
授業。
メロス。
そして。
**大耳さんの“似合っとったで”+昼ご飯のお誘い。**
脳が。
処理してない。
角名(心の中)
(無理)
(供給過多)
(今日しぬ)
(墓いらん)
(燃やして)
侑、後ろからニヤニヤ。
「なぁ~すなちぃ~♡」
角名
「帰れ」
侑
「昼やでぇ~?大耳さんとのランチデートやん♡」
角名
「ころす」
治
「顔赤いままやぞ」
角名
「うるさいんですケドぉ~♡」
侑
「守れてへんwwwww」
その時。
――ガラッ。
教室のドアが勢いよく開いた。
「角名ぁぁぁぁ!!!!!!」
教室、振り向く。
そして。
ざわつく。
「え、何!?」
「また誰!?」
「バレー部!?」
ドアの前。
**稲荷崎バレー部。**
ぞろぞろ。
**全員。**
先頭。
宮侑。
ニッッッッコニコ。
「生きとるかぁ~?すなちぃ~♡」
角名
「帰れ」
即答。
後ろから。
宮治
「様子見に来た」
角名
「余計なお世話」
さらに後ろ。
「角名、大丈夫か!?」
「授業どうやった!?」
「メロス聞いたって!!」
侑、待ってました顔。
「こいつな!!」
指差し。
「“友情しか勝たん”とか言っとったwwwwww」
教室。
再び崩壊。
女子、笑い転げる。
男子、机叩いてる。
角名
「殺す」
侑
「“ウチぃ~♡ 親友マヂ大事なんですケドぉ~♡”」
角名
「黙れ」
治
「声似せんのやめろ」
部員たちまで笑い始める。
「いや無理wwwww」
「想像以上wwwww」
でも。
その時。
一人の部員が真顔で言う。
「でも普通に似合ってるよな」
沈黙。
別の部員。
「わかる」
「顔良すぎて成立してる」
「女子より女子」
角名
「褒めてないよね?」
すると。
後ろの方から。
静かな声。
「……角名」
空気。
変わる。
角名。
停止。
ゆっくり振り向く。
そこにいたのは――
**大耳練。**
普通に。
弁当持ってる。
角名(心の中)
(待って)
(なんで来た)
(本当に来た)
(え)
(夢?)
(供給)
(しぬ)
大耳
「昼、一緒に食う言うたやろ」
教室。
静止。
侑
「……………………え?」
治
「マジで来た」
クラス
「え??????」
女子
「え、先輩!?」
男子
「何その関係!?」
角名。
完全フリーズ。
でも。
妹ルール。
**キャラ崩壊禁止。**
だから。
死ぬほど震えながら。
ギャル継続。
角名
「えぇ~♡ マヂぃ~?ウチ、今めちゃハピなんですケドぉ~♡」
侑
「声震えすぎ!!!!」
治
「限界オタク出とる」
大耳。
少し首傾げる。
「……顔赤ないか?」
角名(心の中)
(終わった)
(近い)
(顔良)
(むり)
(好き)
でも。
口が勝手に動く。
角名
「恋かもぉ~♡」
教室。
**爆発。**
教室。
**爆発。**
「「「え???????」」」
侑
「は???????????」
治
「お前今なんつった????」
女子
「待って!?!?!?!?」
男子
「恋!?!?!?」
角名。
言った後に気づく。
(終わった)
(口滑った)
(やば)
(取り消したい)
でも。
妹ルール。
**キャラ崩壊禁止。**
だから。
死んだ目のまま。
ギャル継続。
角名
「えぇ~♡ ウチぃ~?惚れっぽい系なんですケドぉ~♡」
侑
「絶対嘘や!!!!!!」
治
「今のガチやろ」
角名
「気のせいぴえん~♡」
侑
「ぴえんで済むか!!!!」
すると。
大耳。
少し困った顔。
「……そうなん?」
静寂。
角名(心の中)
(無理)
(その顔)
(やめて)
(好き)
(しぬ)
でも口は勝手に動く。
角名
「だってぇ~♡ 優しい先輩とかマヂ沼なんですケドぉ~♡」
教室。
再び。
**爆発。**
侑
「待っっっっっっ!!!!!!!!」
治
「もう自白やん」
女子
「え、好きな人いるの!?!?」
男子
「誰!?!?!?」
角名(心の中)
(黙れ)
(もう黙れ俺)
(口閉じろ)
(頼む)
大耳、少しだけ笑う。
「……元気そうでよかったわ」
そして。
普通に。
角名の隣の席に座る。
弁当置く。
教室。
静止。
侑
「…………………………は?」
治
「え?」
クラス
「え????」
侑
「え、待って大耳さん普通に座った???」
治
「隣????」
角名(心の中)
(近い)
(近い近い近い)
(香水じゃない)
(柔軟剤の匂い)
(無理)
(尊)
(墓)
顔。
真っ赤。
耳まで真っ赤。
でも。
妹ルール。
**キャラ崩壊禁止。**
角名
「えぇ~♡ 隣とか照れちゃうんですケドぉ~♡」
侑
「ほんまに照れとる!!!!」
治
「赤っ」
大耳。
何も気にせず弁当を開く。
「食わんの?」
角名。
停止。
(待って)
(誘われた)
(昼)
(隣)
(供給)
(しぬ)
侑、小声。
ニヤニヤ。
「おい角名」
角名
「なに」
侑
「お前、今日命日やな♡」
角名
「……黙れカス」
侑
「キャラ崩れた!!!!!!」
教室。
**大爆笑。**
でも。
終わらない。
なぜなら。
**稲荷崎バレー部、全員いる。**
つまり。
見世物会場。
部員A
「え、マジで隣なん?」
部員B
「角名、顔真っ赤やん」
部員C
「大耳さん何も気づいてなくて草」
侑、もう止まらない。
「なぁなぁ大耳さん!!」
大耳
「ん?」
侑、超ニヤニヤ。
「こいつ今日、朝からず~~~っと大耳さんのこと“ビジュ良”“供給”“尊”とか言うてるんですわwwwww」
停止。
教室。
静止。
角名。
**死。**
(終わった)
(人生)
(侑ころす)
(今日ほんまに命日)
治
「あと“今日前髪神”とか言うてた」
角名
「治まで喋んな」
侑
「“大耳さん笑った、墓建てる”とも言うてたな♡」
教室。
**爆発。**
女子
「え、かわい!?!?」
男子
「ガチオタクやんwwwww」
角名。
机に顔伏せる。
もう無理。
でも。
妹ルール。
キャラ維持。
だから。
顔真っ赤のまま。
小声。
角名
「ウチぃ~♡ 推し活しか勝たんのですケドぉ~……」
侑
「赤すぎwwwwww」
すると。
大耳。
少し沈黙。
そして。
ぼそっと。
「……そんな見られとったん?」
教室。
静止。
角名(心の中)
(待って)
(その聞き方)
(優しい)
(無理)
(好き)
(しぬ)
大耳。
少し笑って。
「……ありがとな」
角名。
**停止。**
脳。
処理不能。
(え)
(今)
(ありがとう????)
(俺に????)
(しぬ)
そして。
口が勝手に。
角名
「……結婚かもぉ~♡」
教室。
**大爆発。**
コメント
2件
息できないよ、助けて、あとすなりん顔いいから似合うよね
ちょり~っす☆……じゃなくて(笑)。いやもう、第2話から爆発しすぎでしょ!ギャル角名、想像の10倍キてる。メロスの音読で「激おこ」「しか勝たん」は反則すぎるし、大耳さんの「似合っとるで」2回目で完全に昇天しかけたのが手に取るようにわかったよ。侑の爆笑と治の冷静ツッコミのバランスも絶妙で、家族の罰ゲームの設定がここまで活きるとは思わなかった。次、どうなるんだろう…楽しみすぎる!