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助手席に座る雪を見たいという欲求を満たすため(変態っぽいな)ドライブを兼ねて水族館に誘った。
いつもよりカジュアルなファッションに身を包んだ姿にニヤつきそうなる。
水族館に来るには肌寒い時期ではあるが雪は楽しそうにしてくれる。
都心ではなく落ち着いた水族館はペット同伴が可能でドッグランも併設されていて、家族や恋人達が小さな家族であるペットを連れている姿を見ると自分も幸せな気持ちになる。
「結婚したら、犬を飼ってまた来ようか」
「へ?」
付合い初めてまだ数日での結婚発言に雪は驚き呆けている。
「はははは、俺はそれくらい雪が好きだってこと。聞き流していいよ・・・今は」
誰かと一生を共にしたいと思う瞬間はいつ来るのかわからない。
でも俺は、多分Crowで雪に会った時にその瞬間が来たんだと思う。
一日好きな人と好きなように過ごすのはこの先しばらくは難しくなるかも知れない。
だから、今日はたっぷり雪を独り占めしようと思った。
ホテルで過ごした後は、俺にとって大切な店に招待する。
知らぬ土地での仕事は、ライバル視する同僚からも足を引っ張られ苦戦していたがそんな中で手を差し伸べてくれた人がいた。
その人の弟である呉(ウー)志豪(チーハオ)が経営している中華料理店に招待をした。
中華料理と言っても高級店というよりは大衆食堂的ではあるが味は折り紙付きだ。
志豪に雪を紹介すると雪を気に入ってくれた以上に俺に対してホッとしたという感情が正しいのかもしれない。
この店には、たまに和也と来ることはあるが基本的には一人だっだ。
「ケンイチが女性を連れてくるなんて初めてだね。ケンイチの回りの女性はこの店には絶対来ないもんね」
豪志がさりげなく爆弾をおとす。
「え?」さすがにこんな引っかかる物言いでは雪も勘ぐってしまうのも仕方の無いことだが
「志豪、余計な事は・・・俺達は客だからね、水は?」
「はははは、悪い悪い。でも、高級店にしか興味の無い人よりオレはいいと思うよ」
「だから!余計な事は言うな」
高級店が悪いわけでは無いし、高級店に行きたがる女性も悪いわけでは無い。
ただ、俺が息が詰まるのだ。
好きな店の好きな料理を幸せそうに口に運ぶ女性をずっと見ていたいと思った。
雪を送って、部屋に帰る。
あと少しでこの部屋を引き払うことになる、それほど愛着があるわけでは無いがこの部屋の思い出も欲しいと思った。
『今日は楽しかった、おやすみ』
心からの気持ちをLINEにのせてから、仕事のためにパソコンを開く。