剣持病みです
🐿🦟してます
お気をつけなはれ
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
僕は皆の思う人間になれない。
〖剣持刀也〗と聞けば何を思い浮かぶだろうか。
語彙力?言葉のセンス?
ホラーゲーム?リスナーとの会話?ラップ?
クソマロ処理?虚空教祖?
それは全部”僕”ではなくて、あくまで〖剣持刀也〗。
だからきっと本当の僕を知ったら皆幻滅して離れて行ってしまう
僕はそれが嫌だ。
本当に嫌だ
寂しい
哀しい
だから笑顔を作って
好かれて、気に入られて、可愛がられて、求められて
離れないで
でも1人になりたい
どんだけ矛盾してるんだ、僕は。
僕は本心で話したことなんて無い。皆の求めてる表情、求めてる言葉、求めてるモノ。
全部僕の計算で、それで僕はここまで登ってきた。
“人気ライバー、剣持刀也”になった
それだけ皆に好かれてくると
嫌われる量も増えてくる
手に持っているスマホでアンチコメントを見つけた。
「…痛いとこ突いてくるなぁ….、w」
“剣持刀也”なら普通に鼻で笑って見過ごしてた。
でも今は僕だから
辛くて仕方が無いんだ。
僕は机に乗っているカッターを手に取って自身の手首に当てる。
冷たい感覚が襲ってくる。
手を少し手前に引っ張る。
すると赤い液体が流れてくる
「綺麗…..」
不覚にもそう思ってしまった。
だってその紅はこれっぽっちも穢れてなくて、汚れてない
────ッ、
明日はろふまおの収録。
このままではバレてしまう。
僕は急いで消毒などの治療を済ませ、手首に包帯を巻く。
「はぁ….はぁ….ッ、」
もしバレたら、そう考えると不安が止まらない。
「はっ、はッ….ヒュ、カヒュッ….ヒッ…カヒュッ…..ヒッ、ヒッ」
過呼吸だ、駄目だ。まずい。
「ヒッ、ヒッ、カヒュッ….カヒュッ….ハッ、はッ、ふぅ….ヒッ、」
深呼吸。深呼吸しないと。
出来ない。息が。
「ッふぅ…..はぁ….はぁ…..ッ、」
やっと止められた。….ふぅ….
少し、一安心だ。
もしスタジオに鼻の聞く人外….葛葉とか。
そういう奴が居ないことを願う
次の日
手首に傷がある事がバレないように、明るく振る舞う。”剣持刀也”として。
「…..おはようございますッ!!」
大丈夫。今日も”剣持刀也”だ。
「剣持さん!おはようございます!」
「おはよ~!」
ふわっちと社長が元気に挨拶をする。….あれ、甲斐田くんは?
「もちさぁあん….社長が怪力過ぎる….」
…..下にいた。甲斐田くんが縋ってくる。
「いつもの事でしょw」
「ちょw剣持さんッ!?w」
___嗚呼、皆僕を見てくれてる。
“剣持刀也”を見てくれてる__
だが今日は運が悪いことに運動系の企画。
その証拠として旧スタジオだ。ここの時は大体運動系か電流だ。
……とにかく頑張るしかない。
「ということで!今日の企画は!!」
やはり、運動系だった。
失敗したら電流付き、というなんというフルコース
….まぁ、失敗しなきゃいいんだし。
「はいもちさんアウト~!!」
….は?
….電流、か…..我慢すれば….
「ん”ぁッ、!あ”ッ、あぁ~…..ッ、」
思ったより強い。
「うわッ、痛そ~w」
….甲斐田あとで殴る。
「はい!そこまで~!」
「ッはぁ….はぁ….しんどぉ….、!!」
チラッ、とバレないように手首を見る。
大丈夫、何もなってない。
平然を装う。
「もちさん大丈夫~??」
…あ、言わないと、大丈夫って、言わないと。
「だ、大丈夫ッ、です!」
少し不自然になってしまった。”剣持刀也”は何事にも動じない、筈なのに。
「───ッ!」
その後、特に何も無く収録は終わった。
「お疲れ様でした~!」
「打ち上げ行きます?」
「俺はええかな~、」
「私もパスで」
「え~、もちさんは?」
「あ~…僕もパスで」
「えッ、誰も行かないのッ!?
じゃあ僕も行きませ~ん、」
そう言って人気のない所で解散、という時
後ろから声が聞こえてきた。
「お邪魔しま~す」
「しま~ス」
「くろのわやん!どした?」
…..終わった。
….悪い予感しかしない、な
「….叶~、なんか血の匂いねぇ?」
「え、そう?僕には分かんないな」
…..あ、不味い。
ダメ、だ
「…..もちさァん?」
答えないと、いや、誤魔化さないと
「え、あぁッ!剣道でちょっと打っちゃって….それかも知れないです!」
「….そうかぁ?」
「もちろんッ、ですよ!ほらこの通り!」
そう言って僕は肩を回す。
….嘘をついてしまった。
いや、何を今更。今までずっと嘘をついてきたじゃないか
「もちさん、ちょっと腕見せて」
叶くんが真剣な眼差しでこちらに向かってくる
───もう、駄目だ。
絶対にバレる─
叶くんは僕の袖を捲ると目を丸くして言った
「…….もちさん、これ何?」
……答えたくなかった。
気づけばふわっちも覗き込み、目を見開く。
いや、あの感情は──
「なん、で教えてくれへんかったん?」
今にも泣き出しそうな声。
その質問の答えは、僕の中でもう決まっている筈なのに
口を開けない。
教えなかったのは
迷惑かけたくなかったから。
言ってもどうにもならないから。
離れていって欲しくないから。
そうだろ?
ふと、我に返る。
あんなに回っていた思考が、ピタッと止まる。
そうだ。バレたんだ、僕は
顔を上げて皆の顔を見る。
社長は歯を噛み締め、痛々しそうな顔。
甲斐田くんは驚きと動揺が混ざったような顔。
ふわっちは目を丸くして泣き出しそうな、後悔してる顔。
叶くんは真剣で、優しそうな顔。
葛葉は目を逸らして唇を噛んでいる。
…..一体僕はどんな顔をしているだろうか。
バレ、たんだ
「….はぁッ、ヒュ、カヒュッ….ヒュ、ヒュ、….カヒュッ、ヒュッ、ヒュ、カヒュッ、」
「もちさんッ!?」
目の前が、よく見えない。
意識が、朦朧とする。
上手く出来ない呼吸が、苦しい。
皆の心配の声が、僕という存在を押し潰す。
「辞めてよッッ!!!」
そう言って僕は握ってくれていた叶くんの手を振り払う。
「そんな心配してるような言葉ッ、簡単に吐いてッ、!
最後にはッ、絶対お前らもッ!!裏切るんだからッッ!!」
「裏切るなら最初から期待させんなッッ、、!!!僕はッ、!」
───あ、やってしまった。
「あ、ごめ、なさ…..」
感情に任せて、口走ってしまった。
最低だな、僕
嘘、嘘。
大嫌いなんて、嘘なんだ。ほんとはッ、優しい皆が好き、で….
僕の目から溢れ出てくる大粒の雫は止まらない。
ギュッ、
───ッ、!?
「大嫌いなんて、言わんといてや」
「….僕は好きですから、もちさんのことっ、!」
「私も….こんなこと言うのは得意じゃないんですが、(笑)」
なんで、お前らは本当に、
そんなに優しいんだよ。
「もちさん、辛かったんだね。頑張ったんだね、」
「もちさんが俺らのこと嫌いッつうなら、今まで行動は嘘だったのか?」
葛葉、そうだよ。今までのは全部嘘で、
「あの時、楽しそうに笑ってたもちさんは….嘘なのか?」
…..違う、嘘なんかじゃない
皆と居る時間は楽になれた。
剣持刀也じゃなく、”僕”で居られた。
「…でも、僕….ぼくッ、」
「何ですか?」
「…………………………….」
「自分は最低、とでも言いたいんですか?」
「….はい、そうですよッ、だって….こんな優しくしてもらってるのに、僕、僕ッ…..」
「…..私はどんな剣持さんでも、好きですよ」
「最低でも、最悪でも、です。」
「私、ずっと前から剣持さんの心にとっての何かで在り続けたかった。
後輩でも、同じ事務所の奴、でも良い。ただ、そう願い続けてたんです。」
….そんなの、
「……僕は、社長の心にとっての何ですか?」
「、 ….そうですねぇ…..」
「太陽、ですかね?明るく心を照らしてくれる存在…..みたいな?」
「…..僕にとっての社長も同じ感じですッ、!!」
「ちょっと~、俺ら完全に蚊帳の外やけど?」
「あッ、すいませんっ、つい…..」
「まぁ….言いたいことは同じ感じやし、ええけどな、w」
「もちさん、なんかあったら僕たちに言ってね、何でも受け止めるから。」
「…..はいッッ!!」
それから皆には沢山相談させて貰った。
本当に、感謝しかない。
「ねぇ、叶くん、葛葉、甲斐田くん、ふわっち、社長。」
「なんです?」
「なんや?」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
4020文字
コメント
5件
やっっっば!!!!! 好き以外の言葉が思い浮かばへん(๑♡∀♡๑)
ハァァァァァァァ好きぃぃぃぃッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! もう…ほんとに…語彙力しゅごい……洗練されたキャラ再現…凄い…