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―――るなの家
「………」
「これが完全なる証拠よね…」
「……」
私は証拠映像を撮り録音した後、るなの家に駆けつけていた。
そこで、るなは真実を知らされた。
ここで疑問が湧く。
何故るなの友達である私が、るいたちを追跡したのか。
その理由はるなの体調にあった。
彼女は事故の影響で骨折をしており、治療の後病院を退院したばかりなのだ。
だから、早朝からるいの後を追い、真実を突き止めたのだ。
そしてこの事に、るなはかなりのショックを受けていた。
彼女は少し前からるいの浮気を疑っていたが、まさか本当だったとは思っていなかったようだ。
信じがたいその事実を、彼女はまだ受け入れられていない___。
さっきからるなは、私の撮った証拠映像を食い入るように見つめている。
その瞳からは、怒りや憎しみ……
そしてもの悲しい感情が覗えた。
そのまましばらく沈黙が続いた。
ふとるなが視線を動かすと、それと同時に口を開いた。
「信じてたのに」
「好きだったのに」
「裏切られたんだ………」
「―――もう私立ち直れない」
「私にとっては本気の恋だった」
「でも、るいにとってはただのお遊びでしか無かった」
「私のこの馬鹿な性格で弄ばれてたんだ」
「…………恋愛って難しいね」
るなはそう言って苦笑を浮かべた。
恐らく彼女は、今の現実から目を背けたくなったんだろう。
だけどそうはさせない。
「るな」
私は真剣な表情で、るなの目をじっと見つめた。
「もしこの状況に陥ったら、私は絶対耐えられないわ」
「これ以上辛いことはないもの」
「だけど!」
「まだこの事件は未解決のままよ!」
「!」
「これを解決するのは私じゃない」
「被害者である るなでしょ?」
「るなが逃げてどうするの?」
「…………私はあなたを信じてる」
「るいにギャフンと言わせてやりましょ?」
「一緒に、ね」
私はるなに手を差し伸べた。
彼女はその手を取ってくれた。
そして強く、強く握り合ったのだ―――。
その二人の表情には、もう一寸の迷いも無かった。