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『生まれ変わるなら、何になりたい?』
そう質問されたら、どう答えるだろう。
小さい頃は、『鳥になりたい』なんて馬鹿げたことを言っていたなぁ……
でも、今は違う
この台詞はアニメだけでなく、歌詞でもよく聞くようになった。
例えば、ミ〇スの「ケセラセラ」
Ad〇の「向日葵」
有名な歌にも入っている
そんな時、いつも大半の人・歌詞がこう続ける
「自分」と。
は?何それ?
それって、全てが恵まれてるからこそ言えるんでしょ?
じゃあ、俺は?恵まれてない人は?
そして、少数の人。恵まれてない人。俺のような人は必ずこう答える
「『自分以外』になりたい」 と。
自分なんて、一番あり得ない。
自分大好き? 大ッッ嫌い
自分第一? 他人第一
自分サイキョー? なにそれ、ウザい。恵まれてるやつだから、そんなこと言えんだよ
自分らしさを出していいんだよ? 黙れ黙れ!!
日々の日常は自我を殺すこと
俺は今日も、大っ嫌いな「自分」と生きる
「あのさ、トラゾー。これから、『トラゾー』として、『日常組の一員』として、一緒に活動してみないか?」
「………、は、?」
そんな大切なことを、唐突に、サラッと言われた。危うく流しそうだった。
一瞬、頭を回転した後、結論に至った
どうせ冗談だろう。
画面の向こうで話している彼__天乃 絵斗
その別の名を__『ぺいんと』は、嘘か本当か分からない冗談をよく言う
俺の名前は、虎島 緑。
ニックネームは『トラゾー』
俺は彼の元で編集の手伝いをしている。
決して動画には出ないし、裏方中の裏方だ
だが、長年彼とは一緒に仕事している。
俺の長年のぺいんととのやりとりから考えると、彼の発言は冗談、だと言うことだ。
ツッコんで終わらせた方がいいだろう
「あぁ。でも、もし、俺が動画に出たら足手まといになって、日常組が更に波乱になりますよw」
「ねぇ。あのさ、」
画面の向こう、彼がどんな顔をしてるのか分からない。
けれど、その声は少し怒ってた。けれど、
すぐに
「あ、ごめん」と、申し訳なさそうに言い、
こう続けた
「こんな編集の合間に言うことじゃなかったよね……。一回、手止めよっか」
イイところだったのに……、と思いながらも、先ほどなぜ少し怒ったのかが知りたくて、手を止めた
「何?」
「真剣な話をしてるの。」
「冗談じゃなくて?」
「俺がそんな冗談言う人だと思ってたの……?」
呆れた声で言う。言うだろ。冗談。
「とにかく!トラゾーもさ、一緒に動画を作ろうよ!」
「………、日常組として?」
「うん!めっちゃイイ提案だと思うんだ!」
「、クロノアさんと、しにがみさんには?
彼らには勝手に俺が入ってきて、迷惑なんじゃないか?」
「そこはもう話を通してあるよ」
おい。聞いてない。話の速さが新幹線より速いぞ。
『日常組』はぺいんと1人じゃない。
クロノアさんと、しにがみさんがいる。その2人には迷惑を掛けないのだろうか
「二人とも、快く応じてくれたよ」
「………、脅したワケではなく?」
「トラゾーの俺の印象ってそうなの……?」
「……、でも、なんで俺なの?ぺいんとには他にも沢山面白い友達がいるだろ」
「トラゾーだからこそ、頼んでるんだよ」
『俺だから、』か………
俺は少し考える。今までの俺は特に挑戦するワケでもなく、表で活躍するわけでもなく、夢もない。
ただの『凡人』だ
少し、挑戦してみようかな、
そんな考えが、頭をよぎる
でも、平凡な俺にそんなことできるの?
「やってみないと、分かんない、か」
「ん?やってみる?」
「……、うん」
この時、本当に軽い気持ちで答えてしまった。
暫く経って、この過去のことをこう言える
『何言ってんの、俺?』
凡人は凡人だ。そう簡単に変われる筈がなかった
暫くたったある日、俺が初めて動画に、撮影に出る日。
クロノアさんと、しにがみさんには話を通してある。撮影前に、少し雑談をしたくらい仲良くなっている。
「あははっ!!面白いね!トラゾーw」
「これはぺいんとさんが入れるのもわかりますねw 」
「だろ?トラゾー、やっぱお前すげぇよ」
本当に慢心していた。あぁ、俺も、表舞台に立っていいんだ、って
だけど……ッ
「じゃ、そろそろ撮影始めるね」
ぺいんとがそう言い、深呼吸する
「いきます」
急に沈黙が流れる。
……、知らない。俺の知らない、日常組の空気が流れた。緊張感が混ざっている
撮影する前って、いつもこんな感じなのか……?
「はいッ!おはようございます、こんにちは、こんばんは、ぺいんとでございます!」
「クロノアでございます!」
「しにがみでございます!」
急に、先ほどの空気が嘘のように晴れやかな、明るい空気になった。
……、あぁ、そうだ。
俺、今、『表』舞台に立ってるんだ………
そう、実感した。
そうだ。俺は平凡。皆は天才。
初動画はリハーサルと比べて全然面白いことも言えなかったし、言葉も噛み噛みだった。
この動画でなんとか、キャラをつけようと頑張っても……、
どれだけ手を伸ばしても、皆に追いつけることはできなかった