鐵腸が去っていった後の教室
「条野は…」
「どうしたんですか?そんなに言い淀んで」
条野がそういうと、立原は何かを覚悟した顔をして言った。
「条野は、鐵腸さんが好きなのか」
「っ!」
言い方は疑問形だが立原は、条野が鐵腸の事を好きな事を確信している様子だった。
「違いますけど。どうしてそう思うんですか?」
「ずっと一緒に居れば分かる」
「そうですか…。結構、上手く隠してるつもりだったんですがね」
「バレバレだった」
と、立原は呆れた様子で言った。
そんなにハッキリ言われると自信が無くなってきますね…
二人の間に沈黙が流れる。
「告白、しないのか?」
そんな沈黙を破ったのは立原だった。
「しませんよ」
「どうして?」
「したとしても振られるに決まってますから」
「…」
立原は条野を見つめた。ジッ、と本当にそれだけか?と問うように。
条野はサッ、と目を逸らした。
それでも立原は条野を見つめたままだった。言うまで辞めないとでも言うように。
「…言いますよ。」
先に折れたのは条野だった。
「…怖いんです」
「え」
「今の鐵腸さんとの関係が崩れるのが…」
鐵腸さんは優しい。だから、告白しても今までどうり接してくれるかもしれない。でもきっと今までみたいな関係じゃなくなる。目には見えない壁。それができる気がする。それを鐵腸さんにされたらきっと私は立ち直れない。だから自分から壁を作った。作って傷つかないようにしていた。作った笑みを浮かべて…。本当は嬉しいのに素っ気ない態度をとって。鐵腸さんから距離をとって…
自分を守った。
私は卑怯で臆病者だ。
そんな私に鐵腸さんと一緒にいる価値はない。でも、それでも、
一緒にいたい。
そんなグチャグチャした感情がずっと心の中にあった。
「おかしいですね。価値が無いと分かっていても、一緒にいたいと思うのは…」
「条野…」
立原が何かを言おうとした。が、条野がそれを遮った。
「そろそろ行きましょう!鐵腸さんをずっと待たせるのも悪いですし」
条野はわざと明るく振る舞った。それには、これ以上は言わなくていい、踏み込まないで欲しい、という意思が感じられた。
立原は何も言わなかった。いや、言えなかった。立原は手を強く握った。そして条野に言った。
「先に、鐵腸さんのとこに行っておいてくれ」
条野は不思議に思ったがなにも聞かなかった。
「…分かりました。なるべく早く来てくださいね」
「あぁ」
そして、条野は教室を出ていった。
つづく
あとがき
次回は立原視点から始まります。途中で条野に変わるかもしれないし変わらないかもしれないです。鐵腸より立原のほうが出てる。鐵条のはずなのに!これから、もっと鐵腸さんは出てくるのかな?まぁ、それは未来の自分に託すよ。では、次回また会いましょう。
ヽ(・∀・)バイバーイ
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