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病院の朝は、いつも慌ただしい。
ナースステーションにはモニターの音が響き、廊下には点滴スタンドを引く音が響いて、病室からはナースコールの音が聞こえてくる。
「黒崎先生、今日の救急搬送、三件入ってます」
初兎が電子カルテを確認してもらっているのを聞きながら、俺はは長い髪を後ろでひとつに束ねた。
「まあ、いつも通りやな。 初兎、顔色悪いで」
「…朝っぱらから血液検査の結果、見させたん、悠くんやろ…。」
「それ、元から看護師の仕事やろ」
「わかっとるけど、苦手なもんは苦手やねん!」
そう言いながら、初兎がむすっと頬を膨らませる。
救急科の看護師で俺の助手でありながら、人の血液が少し苦手。
採血の結果を見るだけで顔をしかめることだってある。
そんな初兎を横目に、レジデントのりうらの方に顔を向ける。
「りうら、今の患者の状態、どう見えた?」
救急科レジデントのりうらは、電子カルテから顔を上げた。
「血圧が少し低下しています。でも意識レベルは変わっていません。点滴の速度を確認して、採血を――」
「うん。ちゃんとできてるやん」
えらいぞ、と言いながら彼の赤髪を撫でる。
「採血、俺行きます。」
「…せやな。 採血の仕方、教えたよな。がんばれ」
りうらは嬉しそうに頷き、素直に準備を始める。
「悠くん、採血苦手だっけ?」
「患者のは平気。自分のが…なんか、あかんねん」
「そうなんですか?」
りうらが、手を止めず、意外そうに聞いた。
「自分の血ぃは…なんかこう…力抜けるから、あんまりやな」
「意外です」
「よく言われるわ」
苦笑してみる。
そのときだった。
「あにきー、まろいる?」
廊下の方から、ひょこっと桃色の派手髪が顔を出した。
「まろなら小児科んとこやろ 朝からまた遊びに行ってるんちゃう?」
「やっぱり…」
ないこは困ったようにため息をつく。
外科医のないこは、手術の腕も判断力も申し分ない。
しかし、ひとつだけ苦手なものがある。
「今日の予防接種の確認…まろが担当なんだけど… このままじゃ、俺がいむに刺される…。」
ないこの顔が、わずかに引きつった。
そこへ、ほとけが注射器の入ったトレーを持ってやって来た。
「ないちゃんー! 採血ー!!」
「えっ、今?」
「今。」
「いむ…やっぱ、別の人に…あにきとか…血液型一緒やん!」
「は、お前俺採血NGなの知っとるやろ!」
「俺もNGだって…ッ!」
「駄目です。僕、今日こそ失敗しないから」
外科の看護師であるほとけは、注射を打つのが少し苦手。
本人は努力しているのを知っているが、なぜか患者からは「水篠先生に打たれると緊張する」と言われている。
「ないちゃんなら血管が見つけやすそうだもん」
「そういう問題じゃ…」
「ないこ、そこ座り」
少しトーンを落として言うと、ないこの肩が跳ねて、肩を竦める。
「あにきまで…」
「ほとけも練習せなあかんやん。ないこは医者やろ。患者さんの気持ちを知るええ機会や」
「俺はもう十分知ってるて!」
子供みたいに駄々をこね始める前に、肩を抑えて動けないように座らせる。
「はい、腕出して」
ほとけがにこりと笑う。
もう逃げ道がないことをわかっているのだろう。はぁ、とため息をついて、白衣の裾をまくる。
「…痛くしないでね」
「善処します。」
「そこは『任せてください』じゃないの?」
「任せてください!」
ほとけは気合いを入れ、ないこの腕を確認する。
しかし、針を構えたところで、手が止まる。
「ないちゃん…力抜いて」
「無理。」
「ないこ、外科医が採血一本でそんな顔すんな」
俺がが呆れたように言うと、隣で初兎が青ざめていた。
「ちょ、ちょっと待ってや…血ぃ、見えるんやろか…」
「初兎さん、大丈夫ですか?」
りうらが声をかけると、初兎はわざとらしく胸元を押さえた。
「だ、大丈夫。大丈夫やけど…やっぱり僕、この仕事向いてへんのかなぁ」
「そんなことないよ」
ここにいないはずの声がする。
そちらに顔を向けると、まろが柔らかく笑っている。
外科医の青くんは、病棟の誰からも好かれている。
患者にもスタッフにも人気で、忙しいときほど自然に人を安心させるのだ。
「初兎が一番、患者さんの気持ちを考えてるじゃん。向いてない人は、そんなふうに悩まへんよ」
この騒動の原因がドアに背中を預けてケラケラと笑う。
「まろちゃん…」
「それに、今日は俺が見てるから、多分、ほとけも失敗しぃひんよ」
まろがそう言うと、初兎の顔色が少し戻った。
一方、ないこはまだほとけを警戒している。
「まろが採血してくれない?」
「私は外科医なので、採血は看護師さんに任せたほうがいいと思いまーす。 俺はあにきに会いに来ただけやから、もっかい小児科でも行こっかなー。」
「酷い!」
「いいから力抜いて!!」
慌ただしい一日が今日も始まる。
・・・
赤城りうら 救急科レジデント
実は悠佑と実家が隣で、悠佑が大学に行くまでずっと面倒見られてた。
悠佑が救急科で働くことを知って、自分も追いかけてきた。
教えたことはすぐに吸収する素直な性格
水篠ほとけ 外科看護師
注射を打つのが少し苦手だけど、その欠点を超える努力家
患者からは、「近くにいると癒される。注射を打たれる時以外は。」との事。
白鳥 初兎 救急科看護師
血を見るのが苦手。
そんな欠点で、医療現場にいられるのか、本人は不安がっているが、一番向いていると、評価されている。
結構人気者
桃根ないこ 外科医
腕は一級品
注射を打たれるのが苦手。
自由奔放ないふと、ほとけに振り回される人。
青葉 いふ 外科医
当病院の中で5本指に入るほどの腕前。
そして、自由奔放さも5本指に入る。
気まぐれ屋で、手術や予定がないときは、大体キッズルームで子どもたちと遊んでいる。
医学生の時に先輩だった悠佑を尊敬していてよくラブコールを送っている。
黒崎 悠佑 救急医
当病院の5本指に入る腕前
緊急時にも冷静に判断できてとても優しく、面倒見が良いから、患者以外にも先輩同僚後輩全員からモテる。
#いらすと
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