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第14話:過去の清算:血と土の物語
登場人物
オスマン:外交官
ひとらんらん:スパイ
グルッペン:WrWrd軍総統
トントン:書記長
ゾム:暗殺者
本文
ライフルを落とし、武装を解いたオスマンとひとらんらんは、グルッペンとトントンの前に座った。ゾムが窓から静かに戻り、彼らを見守るように立っている。重苦しい沈黙の中、トントンが口を開いた。
トントン「これで全てが終わるわけではない。君たちが我々だに与えた損害は計り知れない。だが、君たちが全ての過去を話すというなら、聞こう」
グルッペン「隠し事は五つ。その全てを、この場で清算しろ」
最初に口を開いたのは、オスマンだった。
オスマン「僕の隠し事は、故郷のトラウマ、W国軍の装飾品、そして家族だメウ」
オスマン「僕の故郷は、W国の勢力圏にある小さな外交国家だった。家族は、代々W国との**『血の協定』を結び、W国に有利な外交を行う生きた人質だった。そして、僕がWrWrd軍に来たのは、W国の総統が、『WrWrd軍の機密情報』と『僕の家族の命』**を交換させたからだ」
彼は、目の前で家族がW国軍に連行され、故郷の街が戦火に焼かれた日(トラウマ)の光景を語った。
オスマン「あの装飾品は、外交官一族が、**『裏切りを許さず、家族を守る』**という誓いを立てるための、血判の証だった。僕は、その誓いと、グルッペンの理想の間で、ずっと苦しんでいたメウ」
次に、ひとらんらんが話し始めた。彼の声は、静かだが、鋼のように硬かった。
ひとらんらん「僕の隠し事は、暗号文書、高い戦闘スキル、そしてスパイ行為だ」
ひとらんらん「僕は、W国に隣接する島国の特殊工作隊の元隊員だった。僕の故郷は、W国に併合され、僕たちはW国のために暗殺と潜入の訓練を受けた。あの手首の傷は、失敗した暗殺任務で負ったものだ」
彼の故郷の言葉を使った暗号文書(隠し事①)は、W国から与えられた任務の進捗報告書だった。
ひとらんらん「僕がWrWrd軍に入ったのは、W国の総統から**『グルッペンがW国に攻め込む情報があれば流せ。さもなくば、故郷の住民は容赦なく処刑する』**と脅されたからだ。僕の故郷の人間は、僕の行動次第で、人質に変わる」
ひとらんらん「だから、僕は農夫として潜入し、W国を利する情報を流した。でも、グルッペン、君は僕たちの過去を知った上で、僕たちが裏切り者になるように仕向けた。僕が君を殺そうとしたのは、僕の裏切りによってW国が勝利し、故郷が守られると思ったからだ」
二人の告白が終わった後、部屋には再び重い沈黙が訪れた。彼らの隠し事の根源は、WrWrd軍とW国の間に横たわる、歴史的な紛争と、人質となった家族という、あまりにも重い過去に繋がっていた。
グルッペンは、静かに地図を閉じた。
グルッペン「全て、分かった」
グルッペン「オスマン。ひとらんらん。お前たちは、家族を守るという、最も純粋な理由で私を裏切ろうとした。そして、その裏切りの事実こそが、私がW国との和平交渉を進めるための最高の武器となる」
グルッペン「お前たちの隠し事は、ここで全て終わりだ。しかし、これからの道は、地獄だぞ」
グルッペンは、二人を処罰するのではなく、更なる試練を与えることを選んだ。
ここまでの隠し事の状況(14話終了時点)
オスマンとひとらんらんが、五つの隠し事の全ての詳細と、それらがW国の支配下にある家族を守るためだったという、過去の真実を告白した。
グルッペンは彼らを処罰せず、彼らの過去をW国との交渉の切り札として利用することを明確にした。