音楽番組の裏側。
楽屋の並ぶ1本の廊下で 、
さすが陽キャと言うべきか
若井がアーティストたちと笑いながら 話していた。
ちょっと離れた所からその様子を眺めている。
(……なんか、楽しそうだね)
そんな風に声をかける タイミングを逃して、ただ見てるしかない。
そのうち、相手の女性アーティストが若井の腕に軽く触れながら笑った瞬間、
ぷつん、と何かが切れた。
「……あ〜、すみませんっ!」
立ち上がってズンズン歩いていく。
少し周りの視線が刺さるがそんなのは気にならなかった。
そっと若井の手を掴んで
「“うちの”若井が、お世話になってます」
と、にっこり笑顔で言い放つ。
若井が「も、元貴!?急になに…っ?」と弁明か制止のつもりか分からないがもう遅い。
「ほら若井、行こ」
「えっ、いや、まだ話――」
「行こって言ってんの」
ぐいっと若井の腕を引いて、そのまま僕達の楽屋へと向かう。
楽屋のドアを閉めた瞬間、若井が苦笑いでため息。
「……やきもち?」
「ちがうし」
「完全にやきもちだったでしょ」
「うるさい。……だって、あんな楽しそうにしてたら……」
小さく唇を尖らせていると、頭を若井がぽん、と撫でてきた。
「ごめんごめん。俺が悪かった。
でも“うちの若井”って言われた時、ちょっと嬉しかった」
「……知らない。言わなきゃよかった」
「もう一回言って?」
「言わない」
「言ってくれたらチューする」
「……バカ」
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いっぱい嫉妬させたい。
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