第2話あなたは誰?あの少年……シートンに出会ってから3年。前より森に来るのがより楽しくなった。あの森に住んでいるからなのか、シートンは森についてとても詳しく、薬草がより取りやすくなった。森について教えてもらう代わりに私はシートンに言葉を教えた。そのおかげか、だいぶ流暢に言葉を話せるようになった。シートンは私の質問になんでも答えてくれたけど、
「どうして羽がないの?」
と聞くと
「訳あってなくしちゃったんだ」
としか言わない。それでも私はシートンと一緒にいるのが好きだ。
そんな月日が流れシートンも私も出会った頃より大人になった。
もう「つまらない」とは言わなくなった。
そして今日は大人になったことを祝うためにシートンに800ミリート(1600円)もする高価なクッキーを買って森の入口に来た時だった。この場所に合わない高そうな服と装飾品で飾られた人たちが森を観察していた。どうして森を観察していたのか分からなかったが、誰なのかはすぐに分かった。
(天使だ…!)
天使…天界の序列の中で2番目の地位にいる人物。
彼らの言うことは絶対で逆らったら極刑は免れない。そんな天使達がなんで、こんな田舎の森まで来たのだろう……?まさか、シートンを探しに来たのではないだろうか。もしそうだとしたらなぜシートンのことを知ってるのだろう…謎は深まるばかりだが、まずはシートンを探すのが最優先だ。
必死になって探そうとしたが、案外あっさりとシートンは見つかった。
「ねぇ、今ここに天使たちがいるよ!もしかしたらあなたを探してるかもしれない。隠れないと!」
「?…何で僕を探してると隠れにいといけないノ?」
「だって…天使に捕まったら何されるか分からないんだよ!?奴隷にされるかもしれないし、最悪人体実験に使われるかも……!」
「…………わかっタ。隠れる。」
そういった瞬間シートンはどこかに消えてしまった。
(…速っや!私も隠れないと。)
~〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
隠れてしばらくしているうちに天使たちがこっちにやってきた。何やら話し合っているようだ。
「中々いないなぁ。」
「あぁ。ここら辺にいるって噂があったが…」
……!?やっぱり何かを探してるんだ!でも何を探してるんだろう。
「ホントにあるのかぁ?︎︎ ︎︎ ︎︎”アレ”。」
「あるんじゃないの?”アレ”。」
「だからアレってなんなの!?アレって!」
「…!そこに誰かいるのか?!」
まずい…!バレる……!
「キィヤァ”ァ”ァアァアァ”!!!」
「うおぅ!?なんだコイツキッッモ!」
「おい!天使ならキモいとか使うな!」
「ア”ア”ン?うるせぇ!やんのか?」
「なんでそうなる!?もういい。速く探すぞ。」
「チッはいはい。」
何とかなった…?さっきのは、えーっと、、、そうだ、ギトゥールキノコ!初めてあなたの事を好きになったよ
「ったく。俺…ワタシタチは裏切り者の天使を探さなきゃいけないってのに。あー。名前なんつったっけ?」
「……お前の言葉使い何とかなんないのか?ドラドだよドーラード!」
「あぁ!そうだったそうだった!にしても変な名前だな~」
「騒がしい…速く探せ。」
ドラド…?どこかで聞いた事あるようなないような…。
「ちょっと待て。」
!?
「ドラドってのはぁ女か男か?」
「話を聞いてないのがよく分かる。男だよ!でも変装もできるから女でも男でもそれらしい人物を探せってさ」
ということは私が見つかっても捕まるってことだよね……?ヤバいじゃん。とりあえずそっと隠れておこう。
あれからしばらくたち、天使たちはお前のせいだとかあんたがうるさいから逃げたとか喧嘩しながら帰って行った。
「やっと帰った……。そういえばシートンは何処に行ったんだろう。」「ここにいるよ。」
横を見るとシートンがいた。
「うわあああ!?」
「シー。見つかっちゃうかもしれないよ?」
「あそっか。そういえば何処に隠れてたの?!」
「うん?エヘヘ内緒☆」
言葉を教えてからシートンは内緒が増えた気がする。
ちょっと寂しい気もするが、これが大人というものなのか……?
「ねぇ、さっきの天使の人”ドラド”って人を探してるんだって。知ってる?」
シートンの顔を覗きながら言うとシートンの顔が一気に強ばった。
「……!何か知ってるんだ。ねぇシー「え〜!誰だろうね!この森では聞かない名前だったからちょっとびっくりしたよ〜!」
「ねぇシー「でも、もう過ぎたことだからさー。気にしないでいいと思うよ!」
「……そうだね。」
やっぱりシートンは何か隠してる。……私はシートンの本当の名前を知らない。”シートン”っていう名前だって私がつけた名前だ。
「…あなたはいったい誰なの_?」
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