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#外伝
#問題あれば消します
文化祭準備のつづきです
放課後。
一年三組の教室は、
今日も文化祭準備で騒がしかった。
床には星型の紙。
机には絵の具とラメ。
カーテンを閉めた教室は少し暗くて、
もうだいぶ“プラネタリウム”っぽい。
その中心で。
律は静かに星空を描いていた。
黒い画用紙に、
白い絵の具を細かく散らしていく。
青。
紫。
淡い光。
本物の夜空みたい。
「瀬名くん、それやば……」
近くで見ていた女子が思わず呟く。
「え、綺麗すぎない?」
「プロみたい」
律、
筆を止めないまま小さく返す。
「……別に」
でも耳少し赤い。
その時。
別の女子が、
ふとスマホを見ながら言った。
「……なんかsuiさんっぽくない?」
律の手が止まる。
一瞬だけ。
ほんの一瞬。
でも朝陽は見逃さない。
「え?」
周りの女子たちも反応する。
「わかる!」
「色使いめっちゃ似てる!」
「え、ほんとだ」
律、
無言。
視線だけ少し下がる。
“sui.17”
SNSで人気の高校生イラスト投稿者。
寒色系の幻想的な絵で、
学生の間でもかなり有名。
もちろんクラスにも知ってる人はいる。
「瀬名くん絵うますぎるしありえそうじゃない?」
その言葉に、
律の肩がぴくっと揺れる。
空気が少し変わる。
朝陽はその瞬間、
すっと会話に入る。
「えー、でもsuiってもっと大人っぽくね?」
自然な声。
「たしかに」
「瀬名まだ高1だしね」
話題が少し逸れる。
でも女子のひとりは、
まだ律の絵をじっと見ていた。
「でもこの星の描き方めっちゃ似てる……」
律、
完全に固まってる。
筆持つ手、
ちょっとだけ力入ってる。
朝陽、
それ見て小さく笑う。
“分かりやす”
みたいに。
「律ー」
朝陽がわざと軽い声出す。
「テープなくなった」
律、
少し間を空けてから立ち上がる。
「……どこ」
「こっち」
半分逃がすみたいに、
朝陽が教室の奥へ連れていく。
女子たちはまだ、
「でも似てたよね〜」
「suiさん高校生説あるし」
とか盛り上がってる。
律、
聞こえないふり。
でも耳赤い。
教室の奥。
朝陽が小声で笑う。
「危なかったじゃん」
律、
じろっと睨む。
「……お前絶対楽しんでた」
「ちょっとだけ」
「最悪」
でも本気で怒ってない。
その時。
教室の奥から悲鳴。
「あーーー!!」
みんな振り返る。
天井に吊ってた星飾りが、
半分くらい落ちてる。
「星落ちた!!」
「うわ最悪!」
一気に教室バタバタ。
朝陽、
笑いながら星を拾う。
「これ絶対また落ちるやつ」
「縁起悪いこと言うな!」
その横を、
律が静かに通る。
落ちた星をひとつ拾って、
糸を確認する。
「……長さ違う」
「え?」
「重さ偏ってるから落ちる」
教室、
一瞬静かになる。
「わかるの!?」
「すご……」
律が
少しだけ眉寄せる。
注目されるの苦手。
「脚立ある?」
小さい声で言う
「あるある!」
すぐ持ってこられる脚立。
律は袖を少しまくって、
静かに登っていく。
朝陽、
下から見上げる。
「律、落ちんなよ」
「……別に落ちない」
「そういうやつが落ちるんだって」
「お前じゃないんだから」
朝陽、
吹き出す。
「地味にひど」
律は脚立の上で、
器用に星を吊り直していく。
細い指で糸を結び、
長さを揃える。
教室のライトに、
淡い寒色の髪が少し透けて見えた。
クラスメイトたち、
なんか見入ってる。
「瀬名くん手綺麗……」
「わかる」
「なんか絵になる」
律、
たぶん聞こえてる。
でも今、
降りられない。
耳だけ赤い。
朝陽はそんな律見ながら、
脚立押さえてる。
「律ー」
「なに」
「文化祭終わったら燃え尽きそう」
「……お前はな」
「律もでしょ」
「別に」
でも少し口元緩んでる。
その時。
後ろを通った男子が、
うっかり脚立にぶつかる。
「うわっ、ごめ」
脚立がぐらっと揺れる。
律、
バランス崩しかける。
「っ、」
次の瞬間。
下にいた朝陽が、
とっさに脚立を強く支える。
「危な」
かなり近い距離。
律、
一瞬固まる。
「……びっくりした」
小さい声。
朝陽、
ちょっと目丸くする。
律が素直に言ったから。
「珍しくちゃんと言った」
「……うるさい」
でも声弱い。
本当に驚いたっぽい。
「ほら、降りろ」
朝陽が片手伸ばす。
律は少し迷ったあと、
その手を使って降りる。
床についた瞬間、
クラスの誰かが騒ぐ。
「え、今の青春すぎん!?」
「ドラマじゃん!」
「距離近〜!」
律、
即離れる。
「……騒ぐな」
耳真っ赤。
朝陽は笑いながら、
吊り直された星空を見上げる。
「でもめっちゃ綺麗」
青いライトに照らされた星が、
教室いっぱいに揺れていた。
つづきありです
それではまた続きの話で会いましょう
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