テラーノベル
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⚠️15禁レベルのグロ描写、概念的いちくが?を 含みます。
苦手な方はブラウザバックをお願いいたします。
………気を失う直前、あいつが俺の元から立ち去る時に吐いた言葉が俺の身体を支配するように頭を巡り続けている。
紅林「てめえなんぞを必要としてる奴なんかいやしねぇよ。さっさと死んじまいな。」
意識が戻ったばかりで朦朧とする視界の中、俺はキッチンまで這いずった。
命令通りに動くしか能のない操り人形のように、俺は包丁を手に取った。
銀色に光った鋭い刃先が喉元へと迫る。
久我「(思えば初めてあいつに傷つけられたのもこの包丁でだっけか。)」
これから死ぬというのにそんなことが頭をよぎった。
いや、むしろ全て終わるとわかっているからそう思えたのかもしれない。
死が唯一の解放の兆しのように感じられた。
つぷりと小さな音を立てて、先端が喉先に埋まった。
目が覚めると俺はソファーに腰掛けていて、両拳は血に濡れていた。
スマホの画面上の日時は俺が最後に見た時から3週間近く経過していた。
二郎「……虎徹?」
そう呼びかけるも帰ってきたのは静寂だけ。
嫌な予感に背筋が凍った。
跳ね起きるように身体を起こすと、キッチンの方から何か吐くような音がする。
振り返ると其処には喉に包丁を突き立てて口からダラダラと血を溢す虎徹がいた。
二郎「こ、てつ…………う……ッ………ああぁあぁ゛っっ!!!」
反射的に包丁を引き抜くと、赫赫たる肉の割れ目からしとどに血が流れた。
二郎「ぅ゛あ……あぁっ、こてつ、虎徹っ!!」
久我「ぐ……ごぼっ、ゲホッ…ッひゅーっ、ひゅーっッ……」
虎徹は俺の呼びかけに答えず、虚ろな目で気道が狭まったような浅い呼吸を繰り返している。
焦りからか、俺も喉を締められているように言葉が詰まる。
二郎「ぐ…ッ、虎徹…い、今病院に連れて行くから…ごめん、ごめんなッ…」
しどろもどろにそう言った後、虎徹の首にタオルを巻いて闇医者の元に走った。
身体が激しく揺さぶられるような感覚。鈍く鋭い全身の痛み。
虎徹、虎徹と必死に俺を呼ぶ声。
それから少し時間が空いて次に見えたのはやたらと眩しいLEDの灯。
あぁ、この天井はすごく見覚えがある。
確かここは氷室の…
二郎「あぁ虎徹ッ…お前、意識戻ってッ……すまない、俺なんだろ…?お前をこんなにしたのは…ッ」
久我「じ、ろ…おまえ、なのか?よかった…」
あざだらけの身体を震わせて、そっと俺に向かって腕を伸ばす虎徹。
傷に触らぬようそっと虎徹を抱きしめた。
ああ、ずっとこのままこうしていたい。
だが虎徹は俺といるとこの先も苦しみ続けるだろう。
俺は覚悟を決めるしかない、そう思った。
二郎「虎徹……別れよう。」
そう言った俺の声は自分でも驚くほど冷たかった。
虎徹は驚きとも悲しみとも取れない表情をする。
だがすぐに虎徹は小さく笑って見せた。
久我「心配するな、二郎。前に俺が辛かった時にはお前が助けてくれたろ。今度は俺がお前を支える番だぜ。」
違う、そうじゃないんだ。頼むから俺を拒絶してくれ。
俺だって離れたくない。けどお前を傷つけるのはもっと辛いんだ。
久我「大丈夫、何の根拠もなしに言ってるわけじゃねぇんだ。解決策がある。」
驚く俺を他所に虎徹は続ける。
久我「アイツが言っていた。俺が生まれたのは二郎が俺に気を遣って第二性としての欲望を抑え込んでいたからだって。俺が退院したらもう一回プレイしよう。お前の好きなようにしてくれ。」
あぁ、この恋人は一体何処まで献身的であるというのか。
決して俺のことを恨んで突き放してはくれない。
様子を伺いにきた氷室さんにも、マフィアに集団で襲われていたところを俺が助けたと説明していた。
俺の弱さが邪魔をして、結局何の返事も出来ないまま退院の日を迎えてしまった。
やっとまともに動けるようになった虎徹の手を引いてゆっくりと病院を後にする。
家に着いてすぐ虎徹は俺をベッドに座らせ、自身はおぼつかない指の動きでゆっくりとシャツのボタンを外していく。
二郎「何してんだ虎徹」
久我「何って…プレイ、するだろ?」
二郎「出来るわけねえだろ、お前はまだ絶対安静だ」
久我「そうやって待ってるうちにまたお前がお前でなくなっちまったら… …?」
ばっと顔を上げた虎徹の瞳が碧色の硝子細工のように揺れる。
真っ直ぐな視線を俺は受け止めることができずに目を逸らした。
二郎「…一条さんを呼べ。」
久我「何で兄貴が出てくるんだ」
二郎「お前が酔い潰れた日あったろ、あん時言ってたじゃねえか」
自分の道を貫き、不器用ながらも皆に優しい笑顔を向ける一条の兄貴が好きだった。
虎徹はそう俺に溢したことがあった。
ベロベロになった虎徹はひとしきりその話をした後、すぐに眠ってしまっていたから覚えていないのも無理はない。
今からでもまだ遅くないだろう。
恋人にはなれなくとも彼なら苦しむ舎弟を見捨てることはないということくらい俺にだって分かる。
虎徹のスマホをそっと差し出し、手遅れになる前に早く、と付け加えた。
虎徹はスマホを受け取ることなく今にも泣きそうな顔をしている。
行かないでくれ、最後にチャンスをくれと俺に縋り付かんばかりに喉奥から声を絞り出す虎徹を俺は拒むことができなかった。
最早虎徹への愛は呪いとなって彼の全身を蝕んでいるも同義だった。
次回で完結します。
コメント
1件
うわぁ…第6話、重すぎて息できなかったよ😭💔 虎徹が包丁を喉に刺してるシーン、頭から離れない…久我の“別れよう”も、自分のことより相手を想う献身が切なすぎる。一条の兄貴を呼べって言う二郎の苦しさ、泣きそうな虎徹の顔…お互いを想えば想うほどすれ違うの、胸が痛すぎるよ…😢💦 次回完結か…どんな終わり方するんだろう、最後までちゃんと見届けたい。じろくが信者さん、重いのに美しい話をありがとうございます🌸