テラーノベル
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「先生、私は治りますか?」
青年は不安そうに私を見つめた。静かな座敷牢だった。
「心配することはない。すぐに治るよ。『病は気から』という。不安になっていたら、治るものも治らないよ」
「…はい。先生」
青年は布団の頭側をぎゅっと掴んだ。擦れる音が耳に届いた。
「……」
「ねぇ、先生。話していいですか?」
「どんな話だい?」
「いえ、どのような話というわけではなく、ただ、声を出したいのです。誰かと話していないと、おかしくなりそうなんです。自分を見たくないのです。ここには、先生の他に誰も来やしないのです。体に蚤が集まるようで、嫌なのです。誰も、もう誰も、僕なんかいないみたいに…!ねぇ!先生! 」
「落ち着きなさい」
「………」
「さて、何を話そうか」
「先生…」
「どうした?」
「先生は、僕を変だとお思いですか?」
「……少なくとも、君のご両親はそう思っている」
「…先生は、なにをして変だと?」
「……」
私は青年の両親から聞いた話を思い出していた。
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「先生…うちの子は、どうしたのでしょう」
蝉の声が青年の母親の声をかき消そうとするように鳴いていた。
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「先生?」
「………」
「先生、何とかおっしゃってください。僕はっ……」
私は立ち上がって、座敷牢を出る。
「待って先生!!先生!!」
私は青年の声を無視して牢を出た。
コメント
1件
読み終わりました……第1話からとても重くて、静かな緊張感がすごかったです。「先生は、僕を変だとお思いですか?」という問いに、先生が直接答えずに両親の言葉を思い出す——その距離感の描き方が絶妙でしたね。布団の端を掴む音、「蚤が集まるよう」という表現も生々しくて、青年の孤独がじんわり伝わってきました。続きが気になります🤍
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