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新しいのきちゃぁ~!!
「‥‥ダルいなぁ」
誰もいない裏門を抜け小道を歩く
それもそのはず、すでに3限目が始まりみんな教室にいるのだから
俺は2年から3年にギリギリ上がれたのだからと母親に家を出された
勉強が不得意だということもなく、友達がいない訳でもない
ただ型にはめられて規則正しく生きるのは居心地が悪かった
少し歩くと開いた窓から風に乗り、カーテンが揺れている部屋がある
あそこは確か保健室の隣り?
俺は開いている窓に立つ人を見た
目を閉じながら空を仰いでいる
整った顔
‥‥誰だ?
俺が立ち止まり凝視していると、静かに目を開けこちらを見た
「‥‥おはよう」
「‥‥お、おはようございます」
ニコリと微笑まれ、心臓が高鳴る
綺麗な顔から出るテノールの声
白衣を着てるから‥‥保健室の先生だよな?
前までいたおばちゃんは辞めたのか?
「‥‥‥‥新しい先生?」
「そうだが?お前は‥‥赤いネクタイだから3年か?」
「そうだよ」
「早く教室入れよ」
「‥‥‥‥」
教室に行けと言われたのに、俺はこの人の顔を近くで見たくて窓際に歩き出す
そして窓の枠に手をかけ先生を見上げる
「なんて名前?」
「小柳だ。よろしく」
「下の名前は?」
「ロウだ。お前は?」
「ローレン‥‥ローレン・イロアス」
「あぁ‥‥」
「何?なんか言われてる?俺が問題児だって」
「分かってるなら学校出れる時は出てこいよ」
「俺‥‥ここに遊びに来ても良い?」
「ここ?良いよ」
「良いって言ったからな! 」
先生は困った顔一つ見せずに了承してくれた
残りの1年
俺は学校に来る理由を見つけた
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