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「とりあえず、こっちもお金に限界がある。アウルムくん、ひとまずは『1億セル』は渡そう。残りはオークションでどうかね? ただ、手数料は戴くけどね」
「分かりました。残りのアイテム売却もお願いします」
「ああ、任せなさい。私が責任を持って全て売却する。全部売り終わるのに1~3週間は掛かるだろう。待って欲しい」
おっちゃんに全てを任せ、俺は『1億セル』をゲット。お店を後にした。
「……」
改めてフルクと視線を合わせ、見つめ合う。次第に口元がニンマリとなって――
「「やったー! やったー!!」」
改めて喜び合った。
「フルク、ありがとう」
「いえいえ。わたしの力だけではありませんし、アウルムさんが頑張ったからです」
「そ、そんな事ないさ。なんか照れるな」
「頑張った人にはご褒美です」
と、フルクは抱きついてくれた。
「…………おぉ」
「えへへ……」
なんてやってると周りからジロジロ見られた。……いかん、目立つな。ただでさえ、フルクは美少女で目立つんだ。
立ち去ろうとすると――
「アウルム、見つけたぞ!!」
「げぇ!! セクンドス、ルードス、オリエンス、インゲルス! 見事に四人揃ってるな……」
奥の通路からこちらに猛ダッシュで向かって来る四人組の姿があった。まずい……。
「ダンジョンを返せ、このドロボー!!」
「そうだ、このクズ第一勇者!!」
第二勇者のセクンドスとルードスが激しく罵声を浴びせてくる。周りが何事かと向こうとこっちを振り向く。やべ……。
「フルク、アベオの葉を使い、戻るぞ」
「はいっ」
俺とフルクはテレポートした。
◇◆◇◆◇
「――――クソッ!!! 逃げられた!! クソが! クソが!! この私が魔王を倒し、世界を救ったのだぞ!!」
アウルムに逃げられたセクンドスは、やり場のない怒りに震えた。
「おい、セクンドス。このままじゃEXダンジョンが奪われたままだぞ!! どうしてこんな事になった!!」
「私に怒鳴るなルードス! もとはと言えば、お前たちが無能なせいだろう! 結局、魔王を倒したのも私の手柄だった……」
「んだとぉ!?!?」
この日、第二勇者セクンドスとルードスは、殺し合いを始め――ルードスは片腕を失くし、二度と冒険できなくなった。
オリエンス、インゲルスは、ギルドのギクシャクした空気に呆れて脱退。第二勇者のギルドは崩壊した……。
「クソがァ!!! どいつもこいつも……私が勇者なんだぞ!!」
この状況を見ていた帝国住民は、第二勇者の異常性に気づき――彼を勇者として認める者は減少していく一方となってしまった。
「1億セル……これだけあれば、色々買える」
「どうしましょうか」
フルクと共に今後のプランを練っていた。
このEXダンジョンにいる限り、安全だし、ヤツ等が向かってきても『追放』できる。つまり、この領域内に家を建てればより安全ということ。
「そうだな、まずは家でも建てるか。ここはある貴族の領地だから、そこだけが唯一の心配だけどな」
「グラティア辺境伯ですね」
「なんだ、知っていたのか」
「ええ、彼女は有名人ですから。ユースティティア教会にも来られた事があるんですよ」
なるほど、その時に出会っていたんだな。
となるとトラブルになる前に交渉しに行くのが吉だろう。ただでさえ、今はグレーな状況だ。
「じゃあ、挨拶しに行こうか。お互い気持ちよくもないしな」
「分かりました。わたしは面識がありますし、交渉も多少は可能かと。いえ、必ず許可を貰います」
「悪いな。力を貸してくれ、フルク」
「もちろんです。アウルムさんの為ですもん」
嬉しいなあ。前々から思ったけど、フルクは優しくて理解があって、前の仲間よりも断然に性格とかも良かった。
もっと早く出会えていればな。いや、これからフルクを知っていけばいいか。今が最高なんだから。
「よし、どうやって行く?」
「この遺跡からは徒歩で半日掛かりますね。パルウァエ村へ戻って馬を借りましょう」
そりゃ名案だと頷き、同意した。
◆
俺がかつて小屋を借りていた村・パルウァエへ向かった。思えば、随分とお世話になった村だ。
「――到着だな」
「相変わらずのんびりした良い街ですね」
「そうだろう。気に入ってはいたんだが……小屋はあくまで借りていたもので、あの時はおかげで金も尽きちまったからな。でも今は1億の所持金あるし……ああ、そうだ。小屋を貸してくれた医者に礼を言いに行こう。馬車も貸してくれるはずだ」
「お医者様ですか?」
そう、俺の骨折を見てくれた闇医者だ。
少し歩いて小さな屋敷へ。
「ここだよ」
「わぁ、ちょっとオシャレですね」
明らかに少しばかり浮いていた。
医者の趣味らしい。扉を叩いて反応があったので、俺は中へ向かった。
「メディケさーん。お久しぶりです」
「ん~? おぉ、その疲れた顔はアウルムか!!」
「疲れた顔は余計です。それより、お礼に参りました。あの時はありがとうございました。俺の骨折を診てくれて。これはほんのお礼です」
ドサッと100万セルの袋を机に置く。
「な、なんだか凄い音がしたが……いくらだね」
「100万です。小屋も貸して貰いましたし、俺はおかげで命拾いした。だから当然のお礼ですよ」
「ひゃ、ひゃくまん!? 凄いね、どうやって……?」
「今は秘密です。バレると色々と目をつけられそうなので」
「怪しい収入源じゃあるまいね? 一応貰っておくけど……まあいい、ありがとう。ところで、そこの銀髪のお嬢さんは?」
フルクが前へ出て一礼する。
「わたしは、ユースティティア教会から参りましたフルクトゥアトです。お世話になります」
「へぇ~…、ユースティティア教会……ユースティティア教会!? って、フルクトゥアト様といえば、そりゃあ……聖女様じゃないか。おい、アウルム! お前どうやって聖女様と出会ったんだ」
驚かれて、俺も驚いた。
医者が驚くほどの女の子なのか。
「えっと、話せば長いんです。後で手紙を送りますから……今はとにかく、グラティア辺境伯に会いに行きたいんです。馬を貸してくれませんか?」
「そ、そりゃあ構わないよ、100万セルも貰っちゃったし。好きに使ってくれ。だが、後できちんと教えてくれよ、アウルム」
「ええ、もちろんです」
俺は約束し、馬を借りる事にした。