森「暫く此処で休むと良いよ」
太宰「…..」
中也「…..」
俺達3人は首領室に来ている。
ビルの最上階の為、
空が近く見えて街全体がよく見渡せた。
中也『此奴、何も喋んねぇな』
太宰の方を向いた瞬間、
肩に重さが伝わって来た。
太宰「スゥー、スゥー」
中也「…寝てんのか」
森「疲れていた様だね」
森「太宰くんの部屋はもう既に手配済みだから部屋へ連れて行ってくれないかい?」
中也「分かりました」
ガチャン
森「…上手く行った様だね笑」
長い廊下に一つの革靴の音が響く。
規則正しい其の音は物音一つない廊下によく響いた。
中也「…..」
太宰「スゥー、スゥー」
中也「…調子狂うなボソッ」
指定された部屋の扉には
【太宰】と大きく書かれた看板が貼り付けてあった。
ガチャン
部屋の中は何も無くて
唯一ベットが部屋の隅に一つだけあった。
太宰を起こさない様にそっ、と
ベットの上に置いた。
しかし、感覚が鋭い太宰は
さっき迄あんなに心地良さそうに寝ていたのに目をぱっちり開けて起きてしまった。
中也「起こしちまったか、悪ぃな」
太宰「…別に」
中也「…なぁ、一つだけ教えてくれて」
中也「何でポートマフィアに戻って来た」
太宰「…..」
太宰「 Qの異能を受けて」
太宰「あの地獄を知って」
太宰「探偵社に戻った時、」
太宰「いつもの私でいられるか、わからなくなってしまったからだよ」
中也「…..」
太宰「もう、戻れないんだね」
中也「…ッ」
太宰「私は最後に希望を、光を与えようとしてくれた友人の願いも叶えられない」
太宰「酷い人間だね」
太宰「正に【人間失格】だ」
中也「…..」
太宰「あぁ、死にたい」
太宰「…誰か殺してはくれないだろうか」
中也「…..」
太宰「いつもみたいに噛み付いて来ないのかい?つまらないねぇ」
太宰「何?私がポートマフィアに戻って来ると思わなくて混乱してる?」
中也「そんな訳ねぇだろ、」
太宰「図星じゃないか」
太宰「…私、これから沢山の人を毎日殺すのだろうか」
中也「手前は多分だが首領が空けておいた幹部の席にその内座る事になる」
中也「そうなったら、手前が思ってる様に毎日人を殺す事になるかもしれねぇな」
太宰「…そうかい」
中也「芥川が喜ぶな」
太宰「そうだねぇ笑」
中也「…まぁ我慢すんなよ」
太宰「?」
中也「手前の今の顔、鏡で見た方が良いぜ。ひでぇ顔してる」
太宰「…此の私が?」
中也「あぁ」
中也「今にも泣きそうな顔してるぜ」
太宰「…..」
中也「後で俺の部屋に来い」
中也「部屋や場所は昔と同じだ」
ガチャン
太宰「…グスッ」
太宰「帰りたいボソッ」
中也「…..」
扉越しで聞いた其の言葉は
紛れも無い本音だったと思う。
太宰「…やっと落ち着いた」
太宰「珍しいなぁ、」
太宰「私が取り乱すなんて」
太宰「あ、中也の部屋に行かないと」
ガチャン
太宰「中也、来たよ」
中也「来たか」
中也「…これ、」
太宰「?」
中也から渡された紙袋の中には
自分が昔に着ていたコートに似た様な服が入っていた。
太宰「…これは?」
中也「…その服でポートマフィアの仕事すんのは嫌な気になると思ったから」
中也「昔に着てたものと似たものを買ったんだよ、」
中也「別に使いたきゃねぇなら無理に使わなくて良いぜ」
太宰「…ふふ」
中也「何笑ってやがる!//」
太宰「中也らしく無い気遣いだと思ってしまってね笑」
中也「チッ//」
太宰「でも、ありがとうね」
中也「!」
太宰「流石にこの服ではポートマフィアの仕事は出来ないから」
太宰「助かったよ」
中也「…おう」
太宰「じゃあ、早速着て来るね」
ガチャン
中也「…らしくねぇな笑」
ガチャン
太宰「中也!見て見て!」
中也「!」
太宰「若返りしたみたいだよ」
中也「昔にそっくりだな」
太宰「身長以外はね笑」
中也「おい、そりゃどういう意味だ💢」
太宰「何も言ってないじゃないかぁ」
中也「…其れより早速仕事だ」
太宰「もう?」
中也「手前はポートマフィアに戻って来た瞬間から幹部候補なんだから仕事あるに決まってるだろ」
太宰「最悪」
中也「其れと此の任務に行く前に首領室に行け、首領が呼んでたぞ」
太宰「…わかった」
中也「じゃあな」
中也「俺は仕事に行く」
太宰「あっそ、じゃあね」
此の時の俺は思いもしなかった。
此れが最後の彼奴の元気な姿なんて。
太宰「…..」
太宰『森さんと話すなんて嫌なんだけど』
太宰「…はぁ」
ガチャン
太宰「失礼します」
森「よく来たね」
太宰「…..」
森「調子はどうだい?」
太宰「良い訳ないじゃないですか」
森「異能ももう戻ったかい?」
太宰「ずっと前から戻ってます」
森「そうかい」
太宰「話はそれだけですか」
森「まだあるよ」
森「太宰くん」
森「幹部にならないかい?」
太宰「…早過ぎでは?」
森「君は歴代最上幹部だ」
森「今手元に持っている任務が成功したら君を幹部に出世させようと思っている」
森「どうだい?」
太宰「…何でも良いです」
森「そうかい」
森「まぁ取り敢えず、任務の成功を祈っているよ」
太宰「…..」
ガチャン
森と話してから二時間が経った頃、太宰は薄暗い跡地に来ていた。
任務は簡単に言えば殺し。
組織の長を殺すというものだった。
太宰「早速人殺し、か」
太宰「嫌だなぁ」
太宰「…人を殺したらもう探偵社には絶対に戻れない」
太宰「…戻りたい」
太宰「…..」
太宰『逃げてしまおうか』
太宰『此処はポートマフィアの拠点から何キロも離れた場所』
太宰『逃げようと思えば逃げられる』
太宰「…..」
トタタタタッ
私は無我夢中に走った。
見つかる前に探偵社へ戻る為。
履き慣れない靴で靴擦れが起きて血が出ていても止まらずに走った。
このまま逃げ切る事が出来るかもしれない、という希望が見えて来た
…目の前に森さんが現れる迄は
太宰「何で、貴女が此処にッ」
森「ポートマフィアに戻って来てから初任務だから心配で見に来たのだよ」
森「其れで任務は成功したのかね?」
太宰「ッ」
昔の感覚が鮮やかに甦ってきた。
あの圧力を思い出した。
森さんの目を見なくても圧を掛けられているのを感じる。
森「…矢張り君にはもう少し躾が必要な様だねぇ、太宰くん」
そう森さんが言った瞬間、背後に気配があるのを感じ取った。
でも気づいた時にはもう遅かった。
太宰「ッ」
口元に布を押し付けられた。
段々、視界に靄が掛かっていく。
意識が薄れていく。
薄れていく意識の中で森さんは私に対して何かを言ったが
その言葉を聞き取る事は出来なかった。
私は後悔と悔しさの中で意識を手放した。
其れと同時に自分はもう探偵社に戻る事は出来ないのだと実感した。
_戻りたかったな
どうでしたか?
今回は頑張りました…!
さぁ太宰さんはこれからどうなってしまうのでしょうねぇ笑
↑ただ推しが苦しんでる姿が見たいだけ
今日は25日ですね!
メリークリスマス!✨
彼氏と過ごす人や家族と過ごす人、友達と過ごす人、それぞれいると思います!
みなさんにとって楽しい1日になりますように願っています!
今年中に後2回は投稿したいなぁ…
(投稿できる様に頑張ります!)
次回は❤️1000で投稿します!
では、また次回!
コメント
25件
神です!!
流石雲さん、物語か最高過ぎる ッッ それと、 誕生日おめでとうございます🎉 これからも小説の方、楽しみに見させて頂きます✨ 良い一日になりますように🍀︎ ̖́-