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前書き
すりぃさんのアンビバレンス、ぜひきいてみてください。マジでいい曲です。マジで。タイトル名の由来はそれです。アンビバレンスって同じ対象に相反する感情を同時に持ったり交互に抱いたりすることで「好きだけど嫌い」とか「かわいいけどいじめたい」とか「行きたいけど行きたくない」みたいな。親に「勉強しなさい!!」って言われてやりたくなくなるのもアンビバレンス心理が関係してるそうですよ。要するに反抗期の子供みたいな感じ???わかんないけど。ストーリーが不憫佐伯とボイスのリトくんになってしまいました。
ピロンと無機質な音を立ててブーっとスマホが振動する。屋上で煙を燻らせる者、レシピブックを凝視しながら唸っている者、夕焼けをランニングに勤しむ者、俗にいう「ネタ帳」に一心不乱に書き込んでいる者、全員が手のひらサイズの画面の向こうを覗き込む。画面に現れた無機質な文字。そこに記されていたのは何度も見てきた文面だった。
『任務通達:東部地域で敵の動きを確認。該当する者は現場に急行せよ。場所は○○地区、××の現在は廃墟の図書資料館。』
ここまではいつも通りなのだが。最後に赤文字でこう記してあった。
『敵のランクは推定Sランク。身の危険を感じたら即撤退すること。』
「S!?」 思わず声に出す。
秘密結社の敵のランクは弱い順からC、B、A、S となっている。今回の敵のSランクはこの中でも最強格で一撃くらっただけで命を落としてしまう可能性もある。それほどまでに手ごわい相手なのだ。
するとまたピロンと音を立てスマホが揺れた。今度は本部からではない。
『oriens』という名のグループを開くと佐伯イッテツからメールが届いていた。
『今から行くの??』
一分もないうちに宇佐美リトから返信が来た。
『そりゃそうだろ。急行だし。とりまアジト集合な!』
「うーん…今日の夜何作ろう…作りたいものがありすぎて…」
「あっ…ガス代払うの忘れてた…」
「クッソ蚊に刺された!!」
「今日はゲームできひんやろなぁ….」
帰り道のDKかの如く各々喋っているような彼らだが実際はものすごいスピードで屋根の上を走っている。客観的にみると明らかにDKとかほのぼの系の部類ではない。
「あっ、着いたで」
先ほどまで出していたスピードが嘘だったかのように自然に止まり地面に降り立つ緋八マナ。
「どわっ!!」
「えっ!?なにっ!?」
が佐伯一人は着地はできたが勢い余ってつんのめり佐伯のちょうど真ん前にいた赤城ウェンもろとも顔からずっこけてしまった。
「マジか…………..w」
笑いをこらえようとするも我慢できなかった緋八。
「ブッ…w普通に痛ぇやつ…ww」
吹き出す宇佐美。
「ごっ、ごめんウェンくん!!!!!!!ほんとごめん!!!!怪我ない!?!?任務前なのに!!!」
即座に立ち上がり今にも土下座しかねない勢いで赤城に謝る佐伯。
「全然大丈夫!そこにいた僕も悪かったんだし!イッテツは大丈夫?」
「いや!僕はもう全然!全然痛くないし大丈夫です!」
そっかぁ~よかったぁ~とニコニコ顔の赤城。大丈夫と答えていたが顔が少し赤くなっている。
「…なあウェン。一応聞いとくんやけど、お前酒持ってきてへんよな?」
「…………ハイボールですねぇ!」
少し間が開いた後に返答がある。
「…………」
「よし!!じゃあ任務に取り掛かるとしますかぁ!!」
意気揚々とした声で告げる赤城。
「こけたとこちょっと痛い….」
聞こえないくらいの声の大きさでぼやく佐伯。
だが隣に立つ宇佐美には聞こえたらしく爆笑された。
「聞こえてたのっ!?!?」
「でも、ランクSだとよ。気ぃ引き締めていけよ」
険しい顔で前方を見つめる宇佐美。
「「「了解」」」
「….でウェンは大丈夫なんだろうな?」
「え?あぁ~!うん!大丈夫大丈夫~!任せてよ~」
「「「….ほんとに?」」」
見事に三人の声が重なった。