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~会議室~
トントンの合図の後、何も指示されなかった俺は
グルッペンに聞きたいことがあったから会議室に留まると
先にグルッペンから話しかけてきた。
グルッペン「ゾムがココに来てもう2ヶ月がたったのか」
グルッペン「ここには馴れたか?」
グルッペン「うちの奴らは癖が強いだろう」
グルッペンは染々とした表情で聞いてくる
ゾム「あぁ…皆あんたみたいにおかしいよ」
グルッペン「笑」
グルッペン「でも悪い奴らではないだろ?」
ゾム「まぁ…今のところは」
俺の返答にグルッペンは嬉しそうにこちらをみつめてくる。
その視線に悪い気はしない。
しかし、 俺は誰とも馴れ合うつもりは無い
だから別に裏切ったとかいい奴だとかそんなのはどうでもいいんだ。
そんなことよりも!
1度気持ちを切り替え、グルッペンとトントンに問いかける
ゾム「お前らいつから知っていた?」
俺は尋問のように問う。
グルッペンと俺が出会ったのは
ユタイズ達を牢屋へ送ったあと
教会へ挨拶してからこの国へ逃げた時だった。
この国でスラム街の住人をしていると
コイツがやってきたのだ。
コイツらは他の人には目もくれず真っ直ぐ俺に向かってきてこう言った。
「俺の下についてくれ」
俺は不審に思って断り続けたが
ある日俺の気持ちは変化し、承諾した。
それはコイツらが俺に駒としての戦力を求めていないと知っての行動だった。
そう感じた理由の中で一番はコイツらが俺の境遇を知らなかった事が大きかった。
なのに今回コイツらは教会の事まで知っていた
一体どういう事なのか不信の念で俺はグルッペン達に再度問う。
グルッペン「すまない」
グルッペン「ゾムが軍に入った後に調べさせてもらった。」
グルッペン「しかし、安心して欲しい」
グルッペン「ゾムの素性を知るものは俺らだけだった。」
グルッペン「ほぼ幹部にバレたが」←ゾムが説明したこと。
ゾム「……っ。」
俺は絶望し、裏切られたと強く感じた。
しかし、俺はそれと同時に新たな光も感じていた。
もしかしたら分かるかもしれないと。
ゾム「グルッペン、俺の両親が死んだことも知っとったんよな?」
グルッペン「…?あぁ……」
ゾム「なんで死んだん?」
ついにこの質問をした。
俺はこれがずっと疑問だった
あの場にいたのは両親の死体と俺と…
もう1人、誰かの死体…
そして、汚れた俺の手。
きっとこれは俺が偶然居合わせたのではない。そう感じてた。
そして何度も考えた。
あれは俺が殺したんじゃないかと
ずっと不安だった
俺は両親殺しの暗殺者なんじゃないかと
でも俺には両親を殺した記憶がない。
隣に倒れていた人も面識がなかった。
なら何故死んだのか わからなかった…
あの時は犯人と揉めた形跡はなかったのに貴族のゴタゴタだと片づけられていた。
皆同じ場で死んだのに…
しかし今日、この問題を解決できるかもしれない
少しの期待を胸にグルッペン達を見ると重々しい空気が流れ、 先程までこちらを見ていた目も視線をそらし、机を向いていた 。
この空気は何か知っている。そして、この問題は貴族のゴタゴタでは無い。
俺にそう確信させた。
では何があったのか?
俺は空気など気にせずグルッペン達を突き詰める。
皆口を噤む
口を開いたのはトントンだった。
トントンは視線を逸らしながら話す。
トントン「あの事件でゾムの両親は貴族の指金によって殺された。」
トントン「それは確かや。」
トントン「やけど…犯人は、自分の主人に殺されたり、ゾムの両親と相討ちになったりしたわけでもなく死んだんや」
ゾム「っなら!殺したのは誰なんや!?」
トントン「っおそらく……」
トントン「ゾム、お前や」
皆の表情が険しくなる
トントン「やけど!あの場に俺らもおったわけやない!」
トントン「きっと他に見えない敵がおったかもしれへんし!!」
トントンは俺が自身を責めないようフォローの言葉をかけてくれる
でも…
トントン達がそう思うのはきっと俺が犯人になる条件が揃ってるから…
やはり俺が殺したのか…。
俺は何処かで気づいていたこの事実が
嘘であると証明してほしかった…
しかし俺はそれを恐らく知っているトントンとグルッペンがそういうなら間違いないのだと感じた。
ゾム「トントンもうええよ」
ゾム「きっと知っとるんやろ?」
トントンとグルッペンは図星を突かれた表情をする。
やっぱり…
俺は生まれた時からある力があった。
両親は不気味がって俺に近づこうとしなかった力。
それは
人の動きを見ただけで自分にトレースできる力だ。
この力は自分が動ける範囲ならどんな動きでもトレースできる。
俺は幼い頃から柔軟な身体を手に入れていたので俺に不可能な動きに出会ったことはなかった。
これがユタイズが
「君に勝てる人なんて絶対現れない」
と言った理由だ。(※第11話参照)
今では才能?というのが正しいか
俺にとってこの才能は人々を恐がらせ、尚且つ人を傷つける凶器だった。
この才能によって俺は数々の場面を切り抜けられた場面もあったが
それは全てこの才能が招いた争いの場面でもあった。
戦う事が好きでも人を傷つけたい訳じゃない。
俺はこの才能を憎んだことすらあった。
俺が自責の念に狩られていると
グルッペンが言葉を発する。
グルッペン「ゾム、我々はお前を責めるつもりはない。 」
グルッペン「他の幹部も皆、ゾムを責めたりしないだろう」
グルッペン「…我々はお前の味方だ。」
グルッペン「まだお前には上部の言葉にしか聞こえないだろうが」
グルッペン「我々はお前を仲間だと認めている」
グルッペン「それは紛れもなく事実だということを知ってほしい。」
グルッペン「そして、今は信じれなくとも我々を突き放そうとするのはやめてほしい」
グルッペン「どうか、頼む。」
グルッペンが頭を下げる
次いでトントンも頭を下げた
上層部がこんな奴に頭を下げるなよと思った。
でも俺はコイツらのこういう可笑しな事をする奴らやと知っていた。
だからこの軍に入った。
ゾム(コイツらならついていってもええと初めて思えたんや)
胸が熱くなり、泣き出しそうになる
ゾム(なんやこれ?)
俺はこの感情を知らず、戸惑っていると トントンがそれに気付き、声をかけてくる
それに俺は答え、戸惑いながらも涙を流した。
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