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ーートントン視点ーー
あれからゾムは少しずつ幹部の皆と話すようになった。
はじめはシャオロンやエーミールが話かけるようにしていたが、
他の幹部の空気が変わらなかったことや、クワイ教会が国の保護下に入ったこともあってか
ゾムは自分から鬱やショッピ、ロボロ等にも話しかけるようになった。
今では食害という行為を覚え、皆を苦しめている。
(本人が楽しそうに過ごせるようになったのはええことなんやけどな)
ゾム「トントンの来たで!」
トントン「げっ!…まだ来るん……」
トントン「うっぷ……」
ゾム「www笑」
トントン(ほんまに、よく笑うようになったな)
ゾム「まだ来るで?笑」
トントン「マジで勘弁……」
皆「ご馳走さまでした!」
その後なんとか全部食べきり、執務室へ戻って夜も更けた頃ゾムが訪ねてきた。
トントン「どうしたんやゾム?」
ゾムの顔はフードの影を深く落とし、見えなかった。
ゾム「トントン、俺おらん方がええかな?」
トントン「は?何言って…!」
トントン「誰がそんなこと!」
トントン「ゾム、そんなことない!ここにいて欲しい!」
突然発された言葉にショックを受けながらも必死にゾムがここにいて欲しいと説得した。
ゾム「そうか……ありがとうな」
そう放つゾムの顔に一筋の光が射し込んで左目と口元をみせる。
その表情はどこか苦しく、儚い笑顔がうつっていた。
夢が怖かったと語る顔は再度影を落とし、今度は髪すらみせないようだった。
トントン「ゾム……!」
ゾム「ありがとうなトントン」
ゾム「用はこれだけや」
ゾム「おやすみ、ちゃんと寝るんやで?」
……パタン
トントン「っどうしたんや……」
俺がゾムを追いかけようと席を立った時だった。
コンコンコン!!
部下「トントンさん!先ほど頼まれていた資料をお持ちしました」
トントン「……入れ」
部下「失礼します」
トントン(チッ…タイミングが悪いな
これじゃあゾムを追いかけられない)
俺はゾムが無事であることを祈りながら仕事へ戻った。
~翌日~
朝、食堂へ集まる幹部達の中にゾムの姿を探した。
昨日、あの言葉を受けて、ずっと気が気ではなく、一睡もできなかったのだ。
ショッピ達と仲良く話しているのを見つけ、ホッとする。
グルッペン「どうしたんだトントン」
「顔が怖いぞ」
トントン「別に何も…」
グルッペンはいぶかしみながらも察したのかこれ以上は詮索してこなかった。
グルッペン「それでは皆手をあわせて」
皆「いただきます!!」
ご飯を食べている間もいつも通り変わらず、昨日の姿が浮かばないほど元気だった。
トントン「大丈夫なんか…?」
俺は今水を差すのはどうかと感じ、
今度また頼って来た時にじっくり話を聞こうと 探る事を諦めた。
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