郵便配達

ここ最近、阿部の郵便物に変なものが混ざってる。

最初はファンレターだった。

それがおかしい。

誰かが、阿部の住んでる部屋を特定したことになる。

同じ人物かと思われる郵便物が、続いて届く。

もちろん返事は書かない。

次第に内容が過激になって来た。

カッターの刃が入っていたり、血文字の手紙だったり。

届いた郵便物は、全て事務所に渡している。

事務所からは身辺に気をつけるように言われた。

阿部ーめめ、なんか怖い。

目黒ー今のところ郵便物だけ？

阿部ーん。

目黒ーちょっと気味悪いね。

阿部ー2〜3日置きに届くようになってきた。

目黒ー事務所は何て？

阿部ー身辺に気をつけるようにって。

だが、郵便物はどんどん過激になってきた。

最近は個包で開けずに事務所に渡しておく。

後で聞くと、ネズミの死骸、子猫の死骸。

阿部は怖くなった。

最初の頃の目的は、阿部の彼女になりたい。

付き合いたい。

返事がないから、だんだん阿部を憎む内容の手紙になってきた。

恋人である目黒は心配して、しばらくは目黒の家に来るかと提案した。

が、阿部は勉強するので1人の時間が必要。

それに、男として甘えてられない。

守られて暮らすのは、男として情け無いと思ってしまう。

目黒ーこれから先、何があるか分からないよ？

阿部ー分かってる。

目黒ーうちに来ないの？

阿部ーそこまで甘えたくない。

目黒ー男でも、気味悪いのは仕方ないでしょう？

阿部ー勉強するのに1人の方が良いから。

阿部は1人を選んだ。

手紙の内容が、この頃から変わっていく。

メンバーに危害を与えるとある。

皆んなが会議室に集められ説明を受ける。

変な郵便物が届いたら事務所に持ってくる事。

なるべく1人にならない事。

あまり出歩かない事。

阿部は、自分が原因だと思って申し訳ないと言う。