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『和香那さん、安心して。記者ってね人を探すのが仕事なんだよ』
そう豪語してしまったが、小塚雅弥の足取りは一向に掴めなかった。
あれほどの騒ぎになったスキャンダル
その渦中にいた小塚雅弥、そして和香那さんの被害者藤田翔音
きっとすぐに見つかると思っていた。
――もしかして
生きていないのか?
それとも、海外に?
世論は、その二人が共謀していたと予測していた。
二人の目撃情報がネットにひとつくらい
あってもおかしくはないはずなのに。
湯島は焦っていた。
―――
ゴールデンウィークが終わった後だった
毎年その時期に行われる九州地方の大きな祭りで、歩道橋で多くの人が滑落する事故があった。
死人が出たわけではなかったが、そこでひとつの美談がネットニュースに小さく掲載されていた。
本当にたまたまだった。
小塚雅弥、藤田翔音を探している中で
キーボードを指が掠めてそのネットニュースを開いた
『とある男性が滑落する事故の際、自身もその群衆の中にいて巻き込まれながら、たまたま隣に居合わせた二歳の幼児の身体を身を挺して守り、本人は怪我を負ったが、幼児は大事故の被害を免れた』
そういう小さな話題だった。
写っていたのは、幼児の両親が助けてくれた男性にお礼をする場面。
それを目にした瞬間
……似ている。
いや、まさかな。
だが、その写真を見つめているうちに
俺の背中に冷たいものが走った。
すぐさま、このニュースを記事にした記者へ連絡を取った。
『あの記事で幼児を助けた男性のお名前分かりますか?』
――大平雅弥
電話の相手はそう伝えてきた。
そうか、そうだったのか。
俺としたことが、
苗字を変えていた可能性を見逃していた。
探し続けていた男は彼で間違いがないだろう。
俺は電話を切った後、堪えきれず声をあげて笑った。
――ついに見つけた。