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第0.5話正直に言うと、勇者になり魔王を倒そうとは最初は1ミリも思っていなかった。魔王を倒したとしてもこの世界が良くなるとは思えなかったからだ。
それでも勇者になろうと思ったのは、じいちゃんがいたからだろう。
僕のじいちゃんは”ニホン”という所から来た、いわゆる召喚者で、昔は勇者として魔物を討伐し、そこそこの成果を出していたらしい。しかし、この世界では珍しい黒髪と”ある失敗”によって世間に見放され、貧困村であるこの村に送られたと話していた。
だけど、僕はじいちゃんが大好きだった。ゴツゴツとした小さな手。僕に向けてくれるクシャッとした笑顔。じいちゃんが昔住んでいた世界の”戦争”の話。全部が楽しくて、少し怖くて。じいちゃんがいれば僕は幸せだった。しかし現実はそうはいかない。僕の髪はじいちゃんとおなじ黒髪だったからだ。さっきも言ったように、この世界で黒髪はとても珍しい。昔から黒髪は気味悪がられていたが今ほどではなかった。黒髪への迫害が強くなったのはじいちゃんが貧困村に送られてからだ。悪魔の子だとか、呪われたものだとか、禁忌魔術の使うだとか。ありもしないことを言われ迫害されるのは、幼い僕にとって辛いことだった。迫害などによる辛さや怒りの矛先は原因であるじいちゃんにむくようになり、じいちゃんとはあまり話さなくなった。