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「……ん、冷てぇ。……霧か?」
俺が目を覚ますと、そこは神社の縁側ではなく、見渡す限りの階段と、不気味なほど美しい巨大な桜――西行妖(さいぎょうあやかし)がそびえ立つ、白玉楼の庭でした。
「お目覚めかしら、料理人さん。……いえ、今日からは白玉楼の『お抱え料理長』さんね」
目の前には、優雅に茶を啜る幽々子。そして、申し訳なさそうに正座している妖夢。
「……は!? なんで俺、ここにいるんだ!? 霊夢は? 魔理沙は!?」
「あの子たちなら、今ごろ神社の空っぽの樽の前で泣いているんじゃないかしら? 安心なさい、あなたの『白だし』と『味噌樽』も、ちゃんとこっちに運ばせておいたわよ」
幽々子が指差した先には、俺の命の次に大事な白だしの瓶と、昨日みんなで仕込んだ味噌樽が鎮座していました。
「さて、料理長。まずは挨拶代わりに、この冥界の冷えた空気を溶かすような、とっておきの『朝食』を作ってちょうだい。……もし私の胃袋を満足させられなかったら……そうね、永遠にこの庭の『桜の肥料』になってもらうわよ?」
「……(不老不死だから肥料になっても死ねないんだよな、それ一番キツい奴だろ!)」
俺は冷や汗を流しながらも、目の前に並べられた「冥界の最高級食材」と、自分の「白だし・味噌」を睨みつけました。
「……いいだろう。さらわれたのは癪だが、料理人に火をつけたらどうなるか……。幽々子、あんたを食後、動けなくなるまで満足させてやる!!」