「あーよく寝たよく寝たって…ここ?どこだ?」
目覚めるとそこは、この16年の人生で恐らく一度も見たことが無いであろう場所だった。
目が覚めた場所は俺のアニメグッズと食べ終わったカップ麺の入れ物が散乱してるきったない部屋ではなかった。
そこは涼しい風が吹き、大きな木の木陰であった。
「俺はあの日何かしたか?」
そう思い昨日の夜を振り返ってみた。
俺の名前は片橋さやと、どこにでもいるだだのオタク…とまではいかないが単なるアニメ好きだ。自分ではなんだが顔はいい。だが成績と性格が悪かったため彼女は生まれて一度もできていない。自分で言ってて悲しくなるな。
まあそんなことは置いといて、確かあの日俺はごく普通に家に帰り溜まっていたアニメを消化してそのままベッドに入り寝た。
うん、何もおかしくないな。でも何でだ?なのに何で異世界にいるんだ?まだ異世界とは決まって無いけど…
あ!あれか風呂に入ってないからか!ってんなわけないか。
たぶん夢ではあると思うけど夢なら自分の思い通りにできるはず。
じゃあ手始めにここらにデカいロボットでも出してみるか。オッケー、デカいロボット、デカいロボット…出てこねえな…まさか現実?とりま目の前に見える街にでも行ってみるか。
俺はそう言って隣に置いてあった鞄を手に取り街へ向かった。
よし、ついたここは…ミラリスっていう街かってそんなことよりなんで俺が日本語以外を読めてんだ?とりあえず街の中に入ろう。
「えぇ!」
周りの通行人が俺のことを変人をみるような目で見つめてきた。
そりゃ急に叫んだら驚くよな。でもこれはしょうがないな。だって街の中を歩いているのは人間だけではないからだ。
「あそこを歩いているのはエルフ?!」
恐らくここはマジで異世界らしい。
「いやぁ~俺もとうとう選ばれし勇者になったか〜」
そんな流暢なことを言っている場合ではない。
こういうのはせめて最低限の案内ぐらいしてほしいものだ。
1時間ぐらい街を散歩しているとある人を見つけた。
「あれは…みらいか?!」
俺がそう大声で叫ぶと前にいた女がくるりと振り返った。
「さやと?さやとなの?!」
彼女の名前は朝香みらい。俺の隣に住んでいる幼なじみだ。
「なんでお前が?」
俺はみらいに向かってそう聞いた。
どうやらみらいは俺と同じく家で寝ていたらこの世界に飛ばされたらしい。
「なぁみらい。この世界のこととか何か分からないか?」
「わたしもさっき目覚めたばかりだからよくわからないの」
これはやばいことになってきた。
異世界に飛ばされたのに何一つとして情報がない。
さぁどうしよう
「そういえば起きたら鞄が隣にあったから持ってきたんだけど何か入ってるな…」
俺がそう言うとみらいも持っていたらしく鞄を手に取り中身を見た。
中には恐らくこの世界の通貨であろうコインが10枚ほどとA4サイズほどの紙が入っていた。
紙には一面にびっしり文字が書いてあった。
「えーっとなになに?『この世界は薄々感づいていると思うがお前等の住んでいる世界とは違う、そちらの世界で言う異世界というものだ。この世界にはお前等の世界には無い『魔法』などの特殊能力がある。当然魔法を悪用しようとするやつもいる。そいつのことをこの世界では『魔王』という。だがしかし魔王はほんの数年前に討伐されてしまった。今では元魔王の配下であったものや名のある冒険者達が次々と魔王になるための権力争いをしている。それをお前等に止めてもらいたいさもなくばお前等の住んでいる世界にまで被害が及ぶ。お前等に食い止めることができるかな?幸運を祈っているよ。』だってさ」
なんだこれ?無責任にも程があるだろう。
ていうか魔王って何だよ。何だよこの世界。
「どうする?やらなかったらあっち側にもなんかあるってよ。」
ほんとにどうしようこれ?俺、何もできないよ?
取りあえずアニメあるあるギルドとか冒険者の組合みたいなところを探そう。
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