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女研メンバーとの動画の撮影が終わりグダグダとした雑談を早々に切り上げてSkypeを閉じる。他のメンバーは気づいていなかったが、途中からりぃちょがやや不機嫌ぎみだったのだ。恐らくだがその理由に心当たりがあるため、りぃちょくんの部屋にへと向かう。
半年前辺りから元々自分が住んでいたアパートにあまりの部屋があったため、そこにりぃちょくんが引っ越してきて同棲という形になっている。
同棲にあたってのルールその1 お互いの部屋に入る前は必ずノックをすること。コンコン、と扉を叩くと「……なに」といつもより少し低い声が返ってくる。「入るよ」と声をかけて扉を開けると口を尖らせて如何にも怒ってます。と言いたげなりぃちょくんの顔に思わず笑いそうになるのを堪える。
「あー…りぃちょくん?今日の撮影のことで拗ねてる?」
「別に、拗ねてないけど?」
申し訳なく思いながらりぃちょの顔を見ると子どものようにプンっと逸らされてしまった。どうするかなー、なんて思いながら一度ベッドの端に腰掛けると僅かに反応する気配がした。
「でもショックだったなー。オレと付き合ってるのに昔の女ネタでいじってくるの〜」
「だって動画的にもそれが面白いんじゃん?ニキくんたちも盛り上がってたし」
同性に対してこんなことを思うのもどうかとは思うが拗ねる理由があまりにも予想通りでどうしても年下のこの彼が可愛く思えてしまう。
「そうだけどさ〜!キャメさんがそっち系の暴露するのはなんか嫌……」
拗ねたかと思えば今はないはずのしっぽが垂れ下がるかのようにしゅんとする彼の姿にきゅうっと胸が締め付けられる。そっちの趣味はないかと思っていたが彼に関してはまた別なのかもしれない。
りぃちょくんには悪いがもう少し意地悪がしたいと思ってしまう。
「じゃあ新しいネタとして俺らの関係暴露する?めちゃくちゃイジられるか、ドン引きかの2択だけど」
よく知っているあいつらは素直に祝うということはしないだろう。
意地の悪い顔をしているのは自分でもわかっている。ただ彼がどんな反応をするのか見たいのだ。
りぃちょくんはあからさまに顔を歪めた。
「ぜったいやだ!下世話な質問しかしないだろアイツら」
特にニキやしろせんせーは他人の色恋沙汰にはゲスいことを聞きたがる。実際それを動画にして視聴者を着実に増やしている奴らだ。まちこりーたもソッチには興味津々で根掘り葉掘り聞いてくるのだろう。
「じゃあまだ秘密ということで 」
そろそろりぃちょのご機嫌を取っておかないと後々面倒くさいことになるだろう。恋人としての付き合いはまだ浅いが、友人からの付き合いは長い方だ。彼の好み、弱い所はなんとなくわかっている。
「ほら、そろそろ機嫌直してイチャイチャしよ」
両手を拡げてあざとく首を傾げる。こうやって甘やかされるのが好きなのは知っている。
「〜っ!ほんっとズルい!」
吸い込まれる用にりぃちょが腕の中に雪崩込んでくる。わかっていたが、成人男性が飛び込んできて耐えられるはずもなく二人でベッドにへと雪崩れ込む。二人の重みでベッドがギシリと悲鳴を上げる。はぁっと熱い吐息が耳を擽る。
「明日立てなくなっても知らないからね」
鬱陶しそうに前髪をあげるその雄々しい姿にキュンと年甲斐もなく胸が高鳴る。この普段とのギャップがとても気に入っているためつい意地悪をしてしまうのだ。
“優しくしてね”その言葉が出る前に唇を奪われてしまった。