ドドーン。ズガーン。大ボリュームの雷の音から始まる。映画館特有の大ボリューム。
耳が壊れるかもしれないという程の雷の音に体がビクッっとする。雨の打ち付ける音。
その雨で濡れた地面を駆け抜けるピチャッピチャッピチャッっという足音。
建物と建物の路地に走って入るずぶ濡れの大人の男の人とその男の人に抱かれた女の子。
「どこ行った!?」
「お前らはあっちを探せ!オレたちはこっちだ」
警察と思われる人たちが過ぎ去っていく。
ずぶ濡れの男の人は女の子を抱え、路地を縫ってどこかへ消える。
画面がブラックアウトになり、次のシーンへ。
「おぼっちゃま」
いかにも執事という人が映る。
「今日の午後はお父上がお友達を招いてパーティーだそうで」
「あぁらしいな」
足元からカメラが徐々に上がる。トランプタワーを作る金髪のイケメンが映る。
「おっ、最高記録」
「おぼっちゃまはご出席…」
「しないといけないんだろ?」
「はい。お父上にはぜひにと」
「はぁ〜…大人の機嫌取るのも楽じゃないわけよ」
組んでいた足を組み替えるイケメン。
その長い足がテーブルの脚にあたり、テーブルの上のトランプタワーが崩れ落ちる。
「あぁ!」
「あぁ!」
執事とイケメンが床に散らばったトランプを見る。
「はぁ…。あぁ!もういい!パーティーまで寝る!パーティーの準備のときに起こしてくれ」
イケメンは豪勢なベッドにダイブする。
「はい。かしこまりました。失礼します」
散らばったトランプをまとめてテーブルの上に置き、部屋を出ていく執事。
イケメンはしばらく布団に顔を埋めた後、ベッド横の棚の引き出しを開ける。
写真立てを取り出す。その写真立てには幼少期のイケメンを
イケメンの父親らしき人が肩車している良い写真が入っていた。
イケメンは徐に写真立ての後ろのコルクを取り外す。
すると小さな写真であろう1枚の紙が入っていた。
その写真であろう紙を取り出し、眺めるイケメン。笑顔になる。
エンドロールが流れ終わり、シアター内が徐々に明るくなり始める。
エンドロールに入った瞬間に出る人もいれば、エンドロールをしっかり見終える人もいた。
僕たちのいるシアター内ではエンドロールをしっかり見終える人のほうが多かった。
シアター内がザワつき始める。席を立って出て行く人。
一緒に来ている人と話す人。現実に戻ってきた感覚になる。
「いやぁ〜すごかったですね」
妃馬さんが目を輝かせながらも驚いていた。
「まさかでしたね」
たしかに驚くストーリーだった。
「まさかあの王子とヒロインの関係が…ねぇ?」
「ねぇ?」
結局あの金髪のイケメンはプリンセス系のシルフィー映画の王子様ポジションの人だった。
「なんか今までのシルフィーのプリンセス系とはちょっと違う感じ?でしたよね」
「たしかに。ちょっと少女マンガ感があった」
「たしかに。妃馬さんマンガとか読むんすか?」
「たまぁ〜に?」
「少女マンガ?」
「んん〜そんなにジャンルは絞らないですけど恋愛系が多いかも」
「匠と話合うかもですよ」
「マンガ好き?」
「ヲタクです」
「ヲ」を強調して言う。シアター内がだいぶ空き
出口にも人が少なくなったところでシアターを出る。
シアターを出たところにあるゴミ箱に飲み物とポップコーンの容器を捨てる。
エスカレーターを何度も乗り継ぎ、グッズ売り場の前につく。グッズ売り場は混んでいた。
「なんか買います?」
「んん〜映画見た後だとあのクリアファイルも印象変わりますよねぇ〜」
「たしかに」
エスカレーターに乗り、下りる。
結局デフォルメされたキャラクターのキーホルダーを2人で買った。
すっかり暗くなった外を駅に向かって歩く。
駅につくと真新宿ということもあるが帰宅時間ということもあり、駅は人でごった返していた。
「いやぁ〜混んでますねぇ〜」
「さすが真新宿」
列の後ろに2人で並ぶ。
「てか完全にサボっちゃいましたね」
「ですね」
妃馬さんは少し「やっちゃった」的な笑顔をする。
「僕は割と大丈夫だけど、アイツら大丈夫なのかなぁ〜」
「鹿島さんと小野田さんですか?」
「ですです。アイツら午前はもちろん、午後の講義すらサボるから」
「あぁ〜…。フィンちゃんも大丈夫かなぁ〜」
「そういえば森本さん大学で見ないっすね」
「あ、1回もないですか?」
「んん〜…。たぶん?1年のときに芸能人いるとか激美人いるって噂は聞きましたけど」
「さすがフィンちゃん」
「あと今年か?とんでもないイケメンが入ってきたって噂になってましたね」
「あ!それ私も聞きました。ハーフらしいですよ、その子も」
「ハーフずりぃ〜」
「わかるぅ〜」
電車がホームに入ってきて、列の前の大勢と共に電車内に雪崩れ込む。
当然のようにシートは即座に埋まり、僕と妃馬さんは扉のほうへ寄る。
妃馬さんにはシートの端の壁に寄りかかってもらう。
痴漢なんてそんな頻繁にあることではないと思うが
満員電車で少し不安だったので妃馬さんをガードするように立つ。
どんどん人が入って来て背中に圧を感じる。
しかしその圧に負けないようにポールに捕まり、少し足を横と縦に開き耐える。
アナウンスが流れ「駆け込み乗車はおやめください」と言われているのに
ギリギリで数人乗り込んできたらしく背中にかかる圧がまた強くなる。しかし負けずに耐える。
しかし電車がゆっくりと動き出したときの慣性の法則には耐えられず
蹌踉めき、左手を妃馬さんの近くの扉につく。ちょっと壁ドンのような体勢になる。
「すいません」
電車内なので小声で言う。しかし小声でも充分なほど距離が近い。
「いえ」
妃馬さんも状況が状況なだけに仕方ない思ってくれているのか
少し下を向きながら、その一言だけを言う。
妃馬さんは僕より背が低く、さらに今少し下を向いているので
妃馬さんの髪の香りが否が応でも鼻に入ってくる。鼓動が高鳴り始める。少し上を向く。
妃馬さんに心臓の音が聞こえてしまうんじゃないかと心配になってしまうほど近い。
なんとなくなにも会話をせず、電車に揺られる。すぐに乗り換えするための駅につく。
妃馬さんと電車を降り、京央線から井の蛙線に乗り換えるため電車をホームで待つ。
「さすがにこの時間は混みますね」
「すし詰め状態ってやつですね」
「ですね。次は…もっと早く帰ったほうがいいのかな…」
「…もっと遅く帰るって選択肢もありますよ?」
そう言った妃馬さんはいたずらっぽい表情にもどこか少し照れているようにも見えた。
鼓動が高鳴る。
「ま、まぁ次は妃馬さんの番ですからね」
「え?なにがですか?」
「誘う順番です」
「あっ」
一瞬気づいた表情を見せた妃馬さんだが
「え?えぇ〜?なんのことでしょー?」
ととぼける。
「いやいや、さっき「あっ」って言ってましたよね」
「えぇ〜?なにがですかぁ〜?」
「とぼけ方へたですか」
2人で笑う。ホームに電車が着いて、電車に乗る。
京央線もだがこの時間帯は井の蛙線の車内もすし詰め状態だった。
自分の降りる駅を当然のように乗り過ごし、妃馬さんの最寄り駅で降りる。
妃馬さんの家までの道を2人で歩く。
「結局結構遅くなっちゃいまして、すいません」
「いえ全然!楽しかったですし、まぁ映画見たら大概遅くなりますよ」
「いやぁ〜でもおもしろかったなぁ〜」
「おもしろかったですね」
「シルフィー映画でもプリンセス系って男だけだと見辛いってのもあって
あんま通ってこなかったんですけど、おもしろいんですね」
「たしかに。男子だけだと見に行き辛いかもですね。
あ、あれは?「ジャルと氷の女王」は見ました?」
即座に思い出される。当時付き合っていた彼女、萌佳と見に行っていた。
「あ、あぁ見に行きましたよ」
「そのときは?」
なぜか妃馬さんには元カノと行ったと言うのを言いたくなかった。
「さすがに話題作だったんでクラス仲良いやつらと行きました」
「めちゃくちゃ一世風靡しましたよね」
「毎日毎日ニュースで取り上げられてましたよね」
「シルフィーランドにもアトラクションできたって」
「あ、見ました見ました。妃馬さん行きました?」
「最近行ってないんですよランドもシーも」
「僕も行ってないなぁ〜。高いですからねチケット」
「そうなんですよねぇ〜」
「夏休みとかでみんなで行きます?」
「お!いいですね!」
「妃馬さんと森本さんと音成さんと鹿島と匠と僕で」
「楽しそう」
ニコッっと笑う妃馬さんに心臓が跳ねる。
その後もなんてことない話をしているといつもの曲がり角に着いて
その曲がり角を曲がると根津家が入っているマンションのエントランスが見える。
「そういえば、キーホルダーどこにつけよう…」
手に持つ小さなビニール袋を顔の前に上げる。
「たしかに。スマホ…にはつけられんのかな?」
妃馬さんはバッグから自分のスマホを取り出し、様々な角度から眺める。
「ないか」
「スマホケースとかにならありそうですよね」
「たしかに。じゃあ今度はスマホケース買いに行きましょ」
ひょんな会話から思わぬお出掛け案が出てきて、嬉しさが込み上げ、ニヤけそうになるが
下唇を噛み耐える。ニヤけは我慢できたと思うが鼓動が高鳴るのは抑えられなかった。
「いいですね。スマホケース…どこに売ってるんだろ」
「Kokomoとかouとかですかね?」
「まさかのスマホショップ?」
2人で笑う。
「じゃ、ここで」
「…はい」
「今日は急なお誘いだったのにありがとうございました。楽しかったです」
「こちらこそ誘ってくれてありがとうございました。こちらこそ楽しかったです」
2人で頭を下げて、顔を上げたときに目が合い笑った。
「じゃ、また明日?」
「怜夢さんがちゃんと来れば、ですけどね?」
「行きます行きます。…たぶん?」
「やっぱたぶんじゃないですかー」
2人で笑う。
「4限来てくださいね」
「はい。明日4限会いましょう」
「後でLIMEします」
「はい。楽しみにしてます。じゃ、また明日」
「また明日」
軽く手を挙げる。妃馬さんも軽く手を挙げる。踵を返し、駅までの道を歩き出す。
「また明日」なんて何気ない、なんてことない言葉。
でもそれを妃馬さんに言えるのが嬉しかった。中学生、高校生の頃は
土日祝日、急な休校じゃない限り、月曜日から金曜日まで学校があった。
学校のやつら、クラスメイトと何気なく
そしてなんてことなく気軽に「また明日ー」と言っていた。そんな青春の日々を思い出す。
今現在大学生。クラスというクラスもなければ、決まった人と会うなんてことも多くはない。
そんな大学生になった今でも「また明日」と言える相手がいる。
「また明日」と言える相手ができたことがなぜか無性に嬉しく感じた。
そんなことを思っているといつの間に駅につく。
耳元で鳴る音楽の奥で聞こえる改札に交通系電子マネーをあてるピッっという電子音に近づき
改札に交通系電子マネーをあて、ホームに入る。
妃馬さんにお礼のLIMEを送ろうとスマホを取り出し、ホームボタンを押す。
すると妃馬さんからの通知があった。
「スタンプを送信しました。」
「画像を送信しました。」
「今日はありがとうございました。最新のシルフィー映画面白かったですね!」
そこまでしか表示されていなかった。通知をタップし、妃馬さんとのトーク画面に入る。
「今日はありがとうございました。最新のシルフィー映画面白かったですね!
このキーホルダーつけれるように今度一緒にスマホケース買いに行きましょう!」
そのメッセージの後に妃馬さんの掌の上に置かれた
今日見たシルフィー映画のプリンセスのデフォルメされたキーホルダーの写真が
送られていた。さらにその後に猫がもう1人の猫の手を引いているスタンプが送られていた。
思わず口元がニヤける。左手で隠す。
「こちらこそ付き合っていただき、ありがとうございました。
プリンセス系ひさしぶりに見ましたけど面白いんですね。
ですね。他につけるとこ…ないですもんねw今度一緒にお願いします」
その後にフクロウが「お願いします」とお辞儀をしているスタンプを送った。
トーク一覧に戻り、電源を切る。なんとなく空を見上げる。少しの雲がある暖かい春の夜空。
「夏休みにみんなで行きます?」
妃馬さんに言った自分の言葉を思い出す。
夏がもうすぐそこに来ていそうでみんなでシルフィーランドか。と思い、気持ちが昂る。
耳元で鳴る音楽の奥でアナウンスが聞こえ
しばらくすると初夏に近い春の暖かな夜風を引き連れ、電車がホームには入ってくる。
扉が開き、降りてくる人待ち、車内に入る。
座ることなく、扉のサイドに立ち、窓の外を流れる景色を眺め、自分の最寄り駅で降りる。
家の扉開く。
「ただいーまぁ〜…」
靴を脱ぎながら呟く。足元からリビングほうに視線を向ける。
父も母も妹もリビングにいた。いつも通り洗面所で手洗いうがいをし
部屋に戻って部屋着に着替え、洗濯物を洗濯籠に放り、リビングに行く。
「おかえり〜」
「おかえりー」
「お兄ちゃんおかえり〜」
「ん。ただいま〜」
「ご飯もう食べる?」
「あ、うん。お願い」
「はいはーい」
その後みんながお風呂入る中、テレビを見ながら1人黙々と夜ご飯を食べた。
食べ終えたとき、ちょうど母がお風呂入っていたので
母がお風呂に入っている隙に自分の使った食器類を洗った。
僕もお風呂に入るため一度部屋に戻り、替えの下着のパンツを片手にリビングに戻る。
「お皿洗ってくれたのねー。ありがとーねー」
リビングに行くとお風呂から出たホカホカした母に言われた。
「あぁ」
とだけ返し、お風呂に向かう。ホカホカになって出る。
家族に「おやすみ」を伝えて部屋に戻る。部屋の扉を閉め、ベッドに腰掛ける。
スマホを取り出し、ホームボタンを押す。
「なにデートでっか?w」
鹿島のメッセージ通知が目に入る。
「まぁ…デートか?」
半笑いでそう呟きながら鹿島からの通知をタップする。
「さあ?どうかな?」
の後にフクロウがニマニマしているスタンプを送った。
トーク一覧に戻ると妃馬さんと匠からも通知があった。まずは匠とのトーク画面に入る。
「デート行ったん?」
鹿島と同じ。思わず笑ってしまう。
「お前もかw」
思ったままを送った。次に妃馬さんとのトーク画面に入る。
「たぶん来年?もやると思うんで来年も見に行きます?w
雑貨屋さん?にあると思うんで一緒に見に行きましょう!来週の土日なんてどうでしょう?」
そのメッセージの後に猫が「?」を浮かべているスタンプが送られていた。
「今週?来週?」
スマホのカレンダーを見る。
「26?27か」
と特に予定もないのに呟く。
「そんな年1でやってるんすか!?wシルフィースゲェw
そうか雑貨屋さんね。なるほど。真新宿とか甘谷にはありそうですね。
来週の土日。どちらでもオーケーです!」
その後にフクロウが「OK!」マークを作っているスタンプを送った。
トーク一覧に戻るとちょうど鹿島からのLIMEが来て、鹿島の名前が一番上に来る。
「バレてますよぉ〜」
「は?」
半笑いで呟き鹿島の名前をタップする。
返信をしようとキーボードをタップしていると画面が切り替わる。鹿島からの通話画面。
出るほうのボタンをタップし、スピーカーのボタンもタップする。
「おいおい〜」
「おいおい〜」
「バレてんだよぉ〜怜ちゃぁ〜ん」
「なんだよ」
「ニャンスタ見たぞぉ〜」
「んー。で?」
「いやいやチケットチケット」
「うん?あれがどうした?」
「いやいやいや、怜ちゃんのニャンスタに写ってたチケットと
妃馬さんのニャンスタに写ってたチケット同じだったし」
「え?あぁそうか…。ん?」
少し引っ掛かるところがあり、少し考える。
「なぁ鹿島?」
「ん?」
「お前妃馬さんのニャンスタのアカウント知ってんの?」
「あぁ、いやそれは森もっ…」
「あ?」
「いやそれはねぇ?」
「ほお?じっくり聞かせてもらおうじゃないか」
脳内にドラマなどでよく見た取り調べ室に鹿島と僕がいて
スタンドライトの首を持ち、鹿島に当てている様子が容易に想像できた。
「いやあのぉ〜」
「森本さんがどうした?」
「ふぅ〜…白状します刑事さん」
「おう。ゲロしちまえ。楽になるぞ」
「ゲロて。まぁうん」
鹿島は一度喉を鳴らし、準備を整える。
「実は今日4限行ったのよ」
「ほお?珍しい」
「まぁそしたら怜ちゃんはいなかったんよ。でもね、音成さんと森もっさんがいたのよ」
「マジで!?森本さん来てたの!?」
「おぉ!すごい食いつき。うん。いたのよ。
で、ついLIMEでこの後一緒にどっか行ってくださいって頼んじゃったんよ」
「おぉ、大胆」
「そしたらオッケー出たんよ」
「おぉ」
「大吉祥寺行ってワック入って話したら、まぁ話合う合う」
「森本さんもゲーム好きらしいね」
「そうそう。ユナイテッド ハーツもやっててさ」
「ユナハー(ユナイテッド ハーツの略称)ってあのあれだよね?
シルフィーのキャラが出てくる」
「そうそう。ま、オレはユナハー(ユナイテッド ハーツの略称)やってなかったんだけど」
「やってないんかい」
「そうそう。やってないんだけど、まぁ名作ってのは知ってるし
森もっさんも元々、シルフィーキャラが出るからって理由でやり始めたらしいんだけど
まぁキャラが可愛いのは、もちろんストーリーも良くてハマって
今んとこ全部やってるらしい」
「ヤバ。ガチやん」
「そうそう。ユナハー(ユナイテッド ハーツの略称)全部やってる人は
オレも結構ガチだと思ってる。
あれはマジで1作でもやらなかったらストーリーわからんやつだから
ユナハー(ユナイテッド ハーツの略称)好きな人はマジですごい。オレも尊敬する」
「うん。で?」
「あぁ、でね、オレもファンタジア フィナーレ好きなんだけど
全シリーズはやってないわけ。まぁファンタジア フィナーレは
ストーリー繋がってるわけじゃないから、これやらないと次のストーリーがわからない
楽しめないってことはない素晴らしい作品なんだけどね?
あ、繋がりあるユナハーがダメってことじゃないから。
1作でも逃すとストーリーがわからなくなるってことはシリーズ通して
ストーリーを構築してるわけだから、古参にしかわからない要素なんかも盛り込んである
素晴らしい作品だと思ってるから、勘違いせんでね?
あ、まぁストーリーの繋がりはないけど
ファンタジア フィナーレも古参ならわかる要素もあるらしい。
それ聞くとこれからプレイするの楽しみになるよね。あのドット絵ぼ感じもヤバいしね」
「白熱してるとこごめん。なんで妃馬さんのニャンスタ見ることになったのかを教えてくれ」
「あぁ、そこね?」
「うん。話の軸は最初からそこ」
「ごめんごめんつい。で、まぁ森もっさんとゲームの話めっちゃしてて
スゴい長い時間ワックにいたのよ。飲み物頼んでな無くなって、また頼みに行って。
そうしてたら、まぁトイレ行きたくなって、トイレ行って帰ってきたら
まぁ暇だからだろうね?森もっさんスマホいじってて
オレが戻ったらバッってオレにスマホの画面見せてきたのよ。
そこに妃馬さんがチケット2枚と飲み物の写真があって
「これからシルフィーの新作ルリアと盗まれた宝石」見ます!」って書いてあって
「怜ちゃんと行ってるかもしれないですねー」って話して
オレも何気なくニャンスタ開いたら怜ちゃんも同じ映画見ようとしてんだもん。
んで、森もっさんのスマホとオレのスマホ並べて比べたら
妃馬さんが投稿した写真に写るチケットの1枚と
怜ちゃんの投稿した写真のチケットが丸々同じだったからさ」
「そーゆーことね」
「まぁ比べなくても同じ日に同じ映画見てるってだけで、もうほぼ確だったけどね」
「もしかしたら、たまたま別で、たまたま同じ映画見てるって可能性もあるだろ」
「まあ、あるよ?あるけど、どんだけ低い確率?」
「…低いな」
「宝くじ当たるくらいの確率じゃない?」
「かもな」
「で?で?」
「え?」
「どうだったんデート」
「デート…なのか?」
「知らんけど…。ま、とりあえずゲームしようよ。ついでに実況撮ろ。
ワメブロ(ワールド メイド ブロックスの略称)やりながら
作業時間どうせカットするから作業時間に聞かせて」
「作業時間録画切れよマジで」
「わかったわかった」
その後鹿島とワメブロの実況を撮りながら今日あった出来事を話した。
と言っても大まかに言うと映画見てグッズ買って
家まで送ってというなんでもない出来事だった。
実況撮り終えた後、鹿島はそれから編集をすると言っていた。
僕はそのまま布団にくるまった。布団の匂い、それと恐らく自分の匂いに包まれて
静かな部屋に耳を傾けているといつの間にか眠りについていた。
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