「最初なにする?やっぱり…」
「射的でしょ。」
「でしょーね…俺苦手なんだよなぁ」
「じゃあ横で見ててよ。ほしいやつ取ってあげる。」
「お、やったぁいろいろ取ってもーらおっと。」
「…その前に俺なんか食べたいなー」
「じゃあ…たこ焼きとか食べる?」
「そーね。そこに店あるし、買ってくるわ。おんりーちゃんどれがいいとかある?」
「いや、6個も食べれんからいいよ。」
「そう?じゃ、俺のやつ買いに行くのついてきてよ。」
なんか一人にしたくないし。
「うん。」
こくんと頷いて、歩き始めた俺の後ろをちょこちょこついてきている。
「…あのさ、おんりーちゃん。」
「なに?」
「人多いし、手、つながない?あ、恥ずかしかったらいいんだけどさ。」
はぐれちゃったら大変だし。
「…ん。」
一瞬ぱちくりした後、ちょっと恥ずかしそうな顔で手を差し出している。
そっと手を繋ぐ。
ちょっと下を向いているおんりーちゃんの耳が少し赤い。
たこ焼きを買って、食べるために端の階段に座る。
「人多いねー」
「夏祭りだからねー」
「ぼんさんとか迷子になりそうじゃね?」
「確かにw」
他愛もない話をしながらたこ焼きを頬張る。
「このたこ焼きめっちゃうまいわ。」
「祭りとかで食べるとなんか美味しいよね。」
「わかる。」
おんりーちゃんの目線がたこ焼きに向かっている。
「…欲しくなっちゃった?」
「…一口だけちょーだい。」
「いいよー。はい、あーん」
「え?あ…んむ。」
一瞬戸惑った表情を浮かべたあと、一口でたこ焼きを食べる。結構大きめのたこ焼きなんだけどなw
…てか、なんで俺あーんって言ったんだろ。
「一口結構でかいねw」
「ほーはは?(そーかな?)」
「…おいし?」
「ん。おいひい。」
口いっぱいに頬張ってほっぺが膨らんでいる。
なんかかわいい。
「あ、そこ射的あるじゃん。」
「ほんとだ行こ、men」
「はいはい。」
キラキラした目のおんりーちゃんが手を引く。
「とりあえず3回くらいで。」
「はーい。じゃ、お金これ。」
「あ、ありがとmen。」
「いえいえー。頑張ってねおんりーちゃん。」
「うん。」
スッと銃を構えるおんりーちゃんの翡翠色の目が煌めく。
「おんりーちゃぁーん。まだやんの?」
「もーちょっとだけ…」
さっきからずっと一発で景品落とし続けて店主も涙目だ。容赦がねぇ。
と、後ろから
「おーい、men、おんりーちゃん。」
ぼんさんとおらふくんの姿があった。
おらふくんの両手にはりんご飴と金魚がある。祭りを満喫してるみたいだ。
「あれ、ぼんさんとおらふくんじゃないすか。」
「おんりー射的やっとる!僕もやりたい!」
「あ、おらふくん。一緒にやる?」
さっきまでの真剣な目が一瞬でいつもの優しい目に戻る。
「やるぅ!ぼんさん、りんご飴と金魚ちゃん持っててください!」
「はいはい…じゃ、とりあえずこの子らのお金、これで足ります?」
サラっとぼんさんがお金を払っている。こーゆーとこイケメンだなぼんさん。
俺たちは後ろから楽しそうな二人を見守る。
「ぼんさんはやらないんですか?」
「menこそ、やんないの?」
「俺はいいっすよ。どーせ下手なんで。」
「俺も。FPSとかも苦手だしね。」
「ですよねー」
「ねー」
「金魚すくいもやったんですか。」
「うん。どっちが多くすくえるか勝負したのよ。」
「勝ったんですか?」
「勝ったよー5匹くらいすくえた。」
手を開いて五の形にして笑顔を見せる。
なんかかわいいな。
「へぇーぼんさん金魚すくい得意なんですか」
「意外でしょ。」
「意外でした。」
意外でしかなかった。でもなんかぼんさんだからそーゆーセンスはありそうだ。
ところで、もうそろそろ景品無くなりそうだけど、大丈夫かな。
ぼんさんと顔を見合わせて笑う。
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