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ばたばたと瓦礫だらけの廊下を走っていき、中心の部屋に着いた。
そこには倒れている四季と瞳を涙で満たしているめい、そして、もう二人。
「ビックリした?」
「あ、ダノッチ」
にかっと屈託なく笑う守とひらひらと手を振る花魁坂の姿があった。
守は倒れている唾切を見下ろして言った。
「四季の…鬼神の力、どうでした?」
あくまで笑顔で尋ねる守に 唾切は苦しげに呼吸をしながら言葉を吐き出した。
「…凄まじかったよ。けど、僕には…命そのものを…燃やしているように、見えたけど?」
「そう、ですか」
守はそう言うとナイフを唾切の胸へ突き刺した。
海達に背を向けているので、彼等には表情が分からない。ただ動かなくなった唾切を黙って見ている。
少し発つと、またにこにこと笑っている守の姿がある。
「さ、四季を運ばないと」
その間にも崩落は進んでおり、いつ潰されてもおかしくない状況だった。
守は少し天井を見ると手の甲の静脈を噛み切った。
「ちょっと待ってね」
「いってー」と笑いながら手を上に掲げると、みるみる内に天井を30cmほどに六角形に固まった血が覆い、崩落を止めた。
「一時間は持つよ。ない兄、京兄」
「ああ。助かる」
「ありがとね、守」
てきぱきと四季を運ぶ準備が整い、めいを連れて海達が外に出る。
守は「念のため」と残っていた。
ただ天井を見つめながら盾を維持し続ける。
「…桃とか鬼とか、無かったら良かったのにね」
そう一人呟く守の姿は、誰も知らない姿だった。
翌日、港での見送りとして花魁坂とめいが来ていた。
「またね~!お兄ちゃん!ポニーテールのお兄ちゃん!」
守は無陀野に引きずられながら「女だよ~!」と叫んでいる。
海と桃華は花魁坂に手を振って京都を後にした。
「…修学旅行とか、あるのかな」
「あったら来たいな。清水寺とか」と船の柵に頬杖をついて少し微笑みながら海が呟く。
四季が「それ良いな!」と答え、また船の旅が幕を開けた。
今回は短めです。最新話に間に合わなかったことが心残りですが、まあしゃーない。大目に見てください。
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