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その姉妹、鬼女につき。

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その姉妹、鬼女につき。

18 - 閑話休題 鬼と桃の子

2025年10月04日

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桃草蓬が唾切のいる部屋に辿り着いたとき、守もいた。

蓬はすぐに戦う体制をとったが守に止められた。


「お別れをしたいんだったら、支部の外の方が良いですよ」

「…ご忠告、痛み入るっす」


寂しそうに笑う守を警戒しながら蓬は唾切の肩を担ぐ。

(何か、この鬼…既視感がある)

落ちてくる瓦礫を守が退かしながら外へ出る。

守が世間話でもするように言った。


桃樫ももかし波って桃太郎、分かります?」


その名前は、唾切も、上司だった真中も、もちろん蓬も、新人時代にお世話になった人物であった。

優しく、強い。そして、 鬼と駆け落ちしたと噂になっていた人物だった。

(既視感は、これっすか)

変に納得しながら蓬は「はい」と答えた。


「では、彼と仲の良かった桃太郎は?」


守は全てを見通すように聞いた。

蓬は少しどもってから答える。


「…_っす」


守はその答えを聞いて「ありがとうございます」と丁寧にも礼を言った。


「ここからは別の道です。また会いましょう」

「あんた、もしかして…」


にこりと笑ってから「お元気で」と背を向けて歩き出す守を、蓬は引き止めることができなかった。

その姉妹、鬼女につき。

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