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自傷無色

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自傷無色

3 - 第一章 学生時代 蛇

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2023年03月31日

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それからというものの、お父さんとお母さんは、僕を普通に接してくれなくなった、色が見えない、色覚異常の障害者として、僕のことを気遣うようになったんだ。


お父さんは僕に


『大丈夫か?ちゃんと前に進めるか?』

と聞いてくる、お母さんは僕に


『色が見えないんじゃ学校行くのも大変でしょう、車で送ってあげようか?』


と言ってくれる、でもね、その気遣いが僕が普通の人間じゃないって、おかしな人間だから気遣われてるんだって、お父さんとお母さんに迷惑をかけてるんだって考えちゃうんだ、だから、そう聞かれるたび、


『ううん、大丈夫だよ、ノーサンキューノーサンキュー』

と、毎日言う、それでもやっぱりずっと心配してくる、このやりとりが本当に嫌だった。


幼稚園の時から若干だが認識はしていた、普通の人間と普通ではない自分。

おかしくない大多数の人間とおかしい1人の僕。


僕は、”足りない”人間なんだ、

それを知覚し始めてから、少しずつ耳が良くなっていった、遠くの人の声も話し声も、誰が話しているのか、どこから、どのくらいの距離なのか、把握できるようになった。

舌が良くなった、味がよくわかるようになった、塩加減のほんの些細な違いも、細かいところもわかるようになった。

鼻が良くなった、花のいい香りが庭一面に、僕の感覚を刺激してくれた、だから僕は花をお絵描きするんじゃなくて、花を嗅ぐのが好きになった、花に集まる虫が好きになった、


色の見えない足りない僕を、他が補うように、さまざまな感覚が鋭くなっていく、この感覚が、日に日にわかるようになっていった。


今日はお父さんとお母さんを張り切って、自分でスクールバスのバス停まで歩くことにした、家でも学校でも普通の人間みたいに扱ってもらえないから、バス停まで独り、この時間が僕の癒しだった


コツ、コツ、コツ


後ろには2人の人が歩いている、音を聞くに、男の人と女の人だろう、多分並んで歩いている


その2人は、僕よりも歩くのが早く、足音は大きくなり、真後ろに来て、そして並んだ、しかし、2人は一向に僕の前を歩かない


気味が悪いと思った、だから横を向いてみた、隣の人の顔を見てみたんだ


あれ?


『なんで、、、2人とも、、、』




『大丈夫か前に進めるか』

え?

『色が見えないんじゃ学校行くのも大変でしょう、車で送ってあげようか?』

『大丈夫か前に進めるか』

『色が見えないんじゃ学校行くのも大変でしょう、車で送ってあげようか?』

なに?、ずっと、言って、

『だ..じょ ぶか前n進めrrrrrrrか』

『色が見ええええええええないんじゃやあ学校行くのもたんでしょう、るま、送ってあげようか?』



おかしい、おかしいよ




『色の見えない、異常なお前が、ちゃんと歩けるわけないだろう!』


っ!


違う、そんなことないよ、ほら、今までちゃんと歩いて学校に通えてたじゃん。


『色が見えないんじゃ学校にも行けないでしょ?、おかしい、以上なあなたが、学校の勉強なんて、できるわけないじゃない』


っ!


違うよ、だって、べんきょうするのは、楽しいんだもん。


『お前は周りとおかしいんだ、人とは違う、もしかすると、人じゃないんじゃないか?』


違うよ….なんでそんなこと言うの、僕、お父さんとお母さんから生まれたんだよ?


『こんな不完全なモノ産んだあたしが悪かったよ、こっちが気遣うのも大変になる』


なんで、どうしてよ!お母さん、前までは、普通に接してくれたじゃないか。


『お前は、色が見えない』

っ!

『お前は、普通じゃない』

なんなのっ!

『お前は俺たちとは違う』

もう…..やめて……

『お前は人間じゃない』

そんな…….ことは………


『否定できないんだな、否定できないんだな‼️』


……………


『そうなんだ!やっぱりそうだ、お前は人なんかじゃない、バケモノなんだ!神に浄化してもらわなければならない、こんなやつにヨハネ様の名前をつけたのは間違いだった』


『なんでそんなこと言うの……….』


『なんで?それは、』



『お前が、バケモノの子だからだよ!

普通じゃない、足りなくて不完全、お前は人間じゃない、じゃあお前はなんなんだ、バケモノなんだ!バケモノは神様に浄化されなきゃならない、お前は人間じゃなかったんだ!!』


_________



ぼくは、言葉が出てこなかった、目が霞んできた、これって涙かな、あぁ、力が入らないや、僕は膝から崩れ落ちた、


あぁ、僕は人間なんかじゃないんだ、人の形したナニカ、他の生物なんだ……


気づいたら、隣の2人はいなくなっていた、僕は病院にいた、僕は道端で倒れていたらしい、それを心配した誰かが僕を病院に運んでくれたんだ、お父さんもお母さんも来てくれた、心配した、目を覚ましてよかった、なんて言ってる。


でも……



もう僕は、お父さんとお母さんを、信用することはできなかった。









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