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あれから1週間。稽古は毎日欠かさず続いていた。走り込み、腹筋、スクワットなどの基礎トレーニングはもちろん、剣術の型や実戦形式の手合わせもしている。だが、エドモンドは本当に強かった。何度打ち込んでも軽くいなされ、カウンターを食らう。正直、勝てるビジョンが全く見えない。
だが、だからこそ、エドモンドが本気で俺を強くしてくれるからこそ、これからの俺の旅路の生存率が上がっていく。そう確信していた。
「ほれ、次行くぞ」
「おうよ!」
今日も朝早くから剣を振るう。昨日よりも強く。明日はもっと強くなるために。
「休憩だ。頑張りすぎても体壊すからな」
その言葉で俺はその場に座り、汗を拭きながら水を飲む。
この1週間で、だいぶ体力もついてきた。1人でやるよりも効率よく鍛えられていると思う。そんなことを考えていると、不意にエドモンドが口を開いた。
「午後はよ、剣術以外を覚えてみねえか?」
「剣術以外…?」
俺は首を捻る。なんだろう。体術とかならもう習ってるからいいんだけど……。
そう考えている俺を見て察したのか、エドモンドは続けて話す。
「六式、つってな。極限まで肉体を鍛え上げた者のみが体得を可能とする、特殊な体技の総称だ」
……嘘だろ、えっ!? 嘘だろ!? 六式!? エドモンドお前、あの六式使えんの!!!???
俺の表情の変化に気付いたのか、エドモンドが苦笑いしながら俺を見る。いや、そりゃ驚くだろ!! 俺からすれば漫画の中の技なんだ。憧れもするし、習得したいとも思うさ!!
それに、六式が使えれば旅の道中でも役に立つこと間違いなしだ。俺はすぐに立ち上がった。
「教えてくれ、六式!」
「キツいぞ?」
「上等だ」
俺の言葉に、エドモンドはニヤリと笑って言った。
「よし、じゃあ早速始めるか。まずは……」
あれから数時間、ぶっ続けで六式の訓練を行った。
六式は人体を武器に匹敵させる六つの体技の総称。指銃・鉄塊・紙絵・剃・月歩・嵐脚がある。正直言ってしんどい。いやもうしんどいなんて言葉じゃ表せないほどに。でも約束だからな。弱音は吐くな、泣き言言うな。弱音も泣き言も全部飲み込んだが体力のキャパを超えてゲロは吐いたがな。
「ジェディーー!!!????」
「悪い……なんか……急に……おろろろろろろろろろ」
「しっかりしろ!?」
慌てて駆け寄ってきたエドモンドが背中をさすってくれたおかげでなんとか落ち着いた。情けないところ見せちまったな……。
「大丈夫か?」
「ああ、し、心配かけて悪かったな……。ちょっと休めばすぐ良くなるからさ……。ごめんけど水飲むわ……」
「わかった……。無理すんなよ」
「わかってるって……。にしてもさすがだな、エドモンド。まさかここまでとは思わなかったよ……」
「……の割にはお前さん楽しそうだけどな。吐いても笑ってんのってどうかと思うぜ、俺」
エドモンドは呆れたようにそう言った。確かに俺は笑っている。だって、楽しいんだもん。
漫画のキャラと同じような動きができるんだぜ? 楽しくないわけがない。月歩とか下手すりゃ空飛べんだぞ! 空! 人類の夢だろうが!!
「ま、泣き言言わねえのは褒めてやる。また明日も同じメニューやるからな」
「おう!」
俺はまた、笑った。