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六式を覚え始めて早2ヶ月。俺は今、街でお使いをしている。今日は月に1度の休息日である。もう買い物は終わったし、あとは帰るだけだ。
「あ、湿布とかも買っておくか」
稽古のしすぎで痛めた体のあちこちに貼るための湿布を買い、店を出る。よし、これで正真正銘あとは帰るだけだな。
「…?」
買ったものが入っている紙袋を持って歩いていたのだが、急にぐらりと視界が揺れた。
「なん、だ?」
紙袋を落とさないよう、俺はぎゅっと抱きしめた。なんだこれ、立ち眩み…? 疲れてんのかな、俺。
そう思いながらも、歩みを止めずに歩いていると、今度は耳鳴りがし始めた。これは本格的にヤバそうだ。早く帰らないとエドモンドにも迷惑がかかる。そう思った時だった。
「あ……?」
突然、目の前の景色が変わったのだ。ぐにゃっと視界が歪む。足元がおぼつかない。気持ちが悪い。
そして、次の瞬間。俺は、意識を失った。
目が覚めると、そこは見知らぬ場所だった。病院……ではないな。ベッドの数が少ないし、どちらかというと俺が使っていた船の寝室みたいな……。
すると、俺が起きたことに気づいたのか、誰かが部屋に入ってきた。
俺と同じくらいの少年。目つきが猫みたいだけど、警戒とかは抱いてないな…………ファー状の帽子が似合って………似合って? お? ファー状の帽子だって?
おっとっとっとっと~~~??? こいつまさか、まさかなのでは????
「起きたか」
少年がそう言いながら、俺の方へと近づいてくる。
「具合は?」
「えっ?」
「お前道端で急に倒れたんだ。軽く診察したら熱はあるし、脈も乱れてるし……何より顔色が悪い。多分過労だろうけど……念のため検査させてもらった。特に大きな異常はなかったが……どうした?」
「あ、いや……えっと、俺と同い年くらいなのに医学知識あってすげーなー……って、思って…?」
「……医者だしな」
そう言うと目の前の少年は特に表情を変えることなく、聴診器を取り出した。
「服捲れ」
「えっ?」
「いいから」
有無を言わさぬ迫力でそう言われ、俺は思わず従う。心音を聞かれたり、喉を見たりされた。それから少年は多分カルテ? にカリカリとペンを走らせている。
「やっぱり風邪だな。……というか脈が速い。緊張でもしてんのか?」
「ま、まあ……?」
ど、どうする。マジで目の前の少年は俺の思っている人物なのか?ひ、人違いってことはないだろうか??
「…………」
確認、してみるか。