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第二話:世間を揺るがす天才の婚約あるいは狂おしき独占欲
「ハハッ! 見ろよネス、SNSが面白いことになってるぜ」
プロポーズの翌朝。
ミュンヘンの高級マンションのリビングで、カイザーはタブレットの画面を眺めながら愉快そうに声を上げた。彼が掲げた画面には、昨夜ネスの薬指に嵌められたブルーダイヤモンドの指輪の写真と、『My Rose, My Queen.』という短い言葉が添えられたカイザーの公式投稿が映し出されていた。
世界中のサッカーファン、そしてメディアは今、この「天才ストライカーの事実上の婚約発表」に大パロディ状態のパニックを起こしている。
「カイザー、朝食の準備ができましたよ。……それにしても、本当に世界中が大騒ぎですね」
エプロン姿のネスが、温かいスープとクロワッサンをテーブルに並べながら、困ったように、けれど隠しきれない歓喜で頬を染めて微笑む。ネスの左手薬指には、朝の光を浴びて青くきらめく指輪が、確かに存在を主張していた。
「当たり前だ。俺が誰のモノになって、誰を俺のモノにしたか、世界中に教えてやる必要があったからな。……おいネス、こっち来い」
「はい、カイザー」
ネスが素直に歩み寄ると、カイザーは彼の腰を強く引き寄せ、自分の膝の上にすとんと座らせた。驚きに目を見開くネスの首筋に、カイザーは容赦なく顔を埋め、深く息を吸い込む。
「ん……っ、カイザー、くすぐったいです……朝食が冷めてしまいますよ?」
「冷めたら温め直せばいい。それより、お前のここに、俺以外の視線が集まるのが死ぬほど気に入らねぇ」
カイザーの指先が、ネスの左手薬指の指輪を荒々しくなぞる。昨夜プロポーズしたばかりだというのに、カイザーの独占欲は満たされるどころか、その火力を増しているようだった。
「お前は俺の妃だ。バカなメディアどもや、ブルーロックの有象無象どもが、お前に変な興味を持つの想像しただけで反吐が出る」
「ふふ、心配しなくても、僕の心臓はあなただけのものですよ。他の誰かが僕に触れようとしたら、その前に僕がその手を切り落とします」
ネスの紫の瞳が、至近距離で怪しく、そして底なしの愛を湛えて潤んだ。彼の「愛の重さ」は、カイザーの「独占欲」と完全に噛み合っている。お互いがお互いを閉じ込めるための、美しき檻。
「ククッ……最高だ、ネス。お前のそういう狂ってるところが、俺をどうしようもなく昂らせる」
カイザーはネスの顎をクイと持ち上げると、深い、貪るようなキスを交わした。朝の瑞々しい空気の中で、二人の呼吸だけが熱く、濃密に絡み合う。