コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
メールが届いた時、僕はジャックのことが
心底心配だったが、読む前よりも読み終えた時の方がもっと心配になった。
なぜこのことを彼は黙っていたのだろうか。
友達なんだから少しくらい頼って欲しいと思ったが、自分の立場になって考えてみても、同じ判断を下しただろうと思った。
彼がサーカス団や自身のことを話さなかった理由が分かった気がした。
結局のところ、僕も今彼に弟たちや、あの悲劇について話していない。
そんな僕が彼に頼って欲しいなんて言うのはおかしな話かもしれないけれど…
そうだとしても、同じ辛さを抱えているのならば、分け合うことだって可能なはずだ。
ジャックを救けたい。
確かにそう思った。
でもどうやって?
彼とは1週間も連絡が取れないし、
あんな様子で街で出会えるとも思えない…
…
…
…
こうなれば強行突破だ。
次の日の朝、僕はサーカス団が寝泊まりしているホテルに行って、ジャックを解放するよう頼んでみる事にした。
フロントに聞くと、もうサーカスのテントで稽古を始めているらしい。
サーカスのテントはここからそう離れてはいない。
僕は息を切らし 、サーカスのテントに来た。
まるで見張りのように配置されたピエロに
「見学がしたい」と言ったが、後ろめたいことがあるのか、通してくれない。
「ジャックを救けたいんだ!! 退いてくれ!!」
そう伝えると、ピエロは少し考えた後、何か決意した様に頷くと、僕を通してくれた。
僕はいくつか設置されたテントの中を一つづつそっと覗いていった。
動物の檻や、曲芸師の道具などが無造作に置かれたテント……
トレーニングをしている人が何人か中にいるが…居ない…
次だ
あの団長だ…雑用係にケチをつけているようだ。見ていて気分のいいものでは無い…
次!!
小さな簡易的なステージのようだが……誰もいない
次が最後のテントだ。
誰かの独り言が聞こえる…団長への酷い悪口のようだ……
明らかに彼の声ではなかったが……
これに賭けるしかない!!!
そーっとテントの中を覗く…
頭を抱えている人…背格好は僕と同じくらい……ピンク色の髪……!
居た!ジャックだ!
… でも変だ。見た目はジャックだが、聞こえる声はまるで別人のようだ。同い年とは思いづらい、しわがれた声のように聞こえた。
「…してやる……」
「殺してやる……」
「絶対に……」
!!!
目が合った!
ジャック?「誰だ!!!!!」
僕は咄嗟にテントから離れた!
勢いよくテントのカーテンが開く!!
ジャックと思わしき人物は僕を素早く羽交い締めにし、僕の頭に銃を突きつけた。
僕「ジャック!僕だよ!!ジャックなんだろ!!」
近くで見ると、彼の目は充血していて、頬にはハッキリ涙の跡が見えた。
ジャック「!!?ワッ!?わっ悪い!!!ダニエル!?何でここに!?ここに来ないでって言っただろ!!」
もう彼はいつもの声に戻っていた。
ジャックは銃をしまい、僕を助け起こした。
そして僕は呼吸を整え、言った。
「君を救けに来たんだ!!」
#5 隠し事 END.