テラーノベル
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─ずっと一緒だよ。もう離れないからね。─
るなちゃんはいつだってみんなの中心にいた。誰とでも仲良くできて、るなちゃんがいればその場が明るくなる。休み時間もお昼も放課後もいつだって輪の真ん中にいた。教師だって「いつも頼りになる」と褒める。そんなるなちゃんは人気者と呼ぶにふさわしい存在だった。
でも私にとってるなちゃんはそれだけじゃない。廊下ですれ違ったら小さく手を振ってくれる。放課後になると「一緒に帰ろう」と私の教室へ顔を出す。他の誰かと居るるなちゃんは人気者。けれど私といるるなちゃんは少し子供っぽくて、自然で力の抜けた表情をするんだ。
「人気者の隣にいる」ことが誇らしいんじゃなくて、他とは違ったるなちゃんを知ってるいることがすごく心地よかった。
「ねぇ、寄り道しない?」
下校途中、唐突にるなちゃんは言った。
「コンビニで肉まん買いたい」
「また食べるの?」
「だって寒いから肉まんもすごく美味しいんだよそれにあったかくもなるし」
断ることも出来ず、並んで買った肉まんを歩きながら食べる。もう空は茜色に染まり、冷たい風が吹き抜ける。
「肉まんちょっと分けてあげる」
「いらないよ」
「えー、こんなに美味しいのに」
「それに寒さもちょっとましになるよ?」
「太るよ?」
「今日だけだし……」
なんて言いながら、たわいのない会話が妙に楽しくて、ずっと続けばいいなぁなんて思った。
あたりは少しづつ暗くなり、街頭が灯り始める頃、るなちゃんは少し真面目顔をした。
「私たちずっと一緒にいようね」
「……急にどうしたの」
「約束だよ?」
そう言って 私の手を少し引っ張る。今日はいつもに増して子供っぽくて微笑ましかった。
どう答えたかは覚えていない。だけど、ただ、その瞬間だけは私とるなちゃんだけの世界が続いていくような気がした。
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