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ピーンポーン
小さめな一軒家のドアの横にについているボタンを押すと、音がなった。
すると、私のお母さんと同い年くらいの女性が出てきた。
「あぁ!来たのね!」
私はこの人の顔を知らない。
でもこの人は私のお母さんだ。
「ほら、入って入って!!」
おじゃまします。と言いながら入る。
今日からここが私の家だ。
今日から私の名字は霧雨だ。
正直胸が躍っている。
「鈴華の部屋はここよ。」
私を鈴華と呼んだことに驚いた。
子供が生まれる以上、おそらくは私の名前も考えていたはずだ。
自分が我が子のためにつけた名前ではなく、見ず知らずの人がつけた名前を呼んでくれる。
そんなことに驚いてしまった。
私だったらもともと考えてた名前で呼びたい。
その権利は、あるはずだ。
それでも、私のお母さんの思いを尊重してくれる。
霧雨さんと呼ぶと、悲しそうに笑った。
だから私は、この人をかあさんと呼ぶと約束した。
かあさん、と呼ぶとなんだか赤の他人のように思っていた気持ちが薄れてきた。
ようやくここが他人の家から、自分の家になった気がした。
引っ越しの業者さんが来て、私の荷物を運んでくれた。
人手が足りないからとはるくんとかあさんも荷物を運んでいた。
なんだかじっとしてるのが申し訳なかったけれども、座っててと言われたから座ってた。
私がこの家に来てから、一切はるくんと話せてないなぁ。
なんだか急に家族になって気持ちが追いついてないみたい。
初恋の人から兄弟に変わった今、どんな話をしたらいいだろうか。
荷物を運び終わったはるくんが近くの椅子に座った。
大丈夫、いつも通り話すだけ。
「はるくん」
あれ?いつもってどんな話し方だったっけ?
いつもがなんだか分からなくなりながら話す。
ちょうどテレビでは私たちが巻き込まれた事件のニュースをやっていた。
その話をするけど、なんだかはるくんが冷たいように感じる。
気のせいかな?気のせいだよね!
話してるうちに、お昼ご飯ができたみたいだった。
お昼ご飯は炒飯。とっても美味しかった。
お昼ご飯を食べた後、はるくんはすぐ塾へ行った。
かあさんと二人きりになった。
そういえば、病気のことについて話さないとかなと思った。
「かあさん、ちょっとお話があって。」
どうしたの?と不安そうにかあさんは聞いてきた。
「私ね、持病があって、永くは生きれないの。」
こういう名前の病気なんだけど、と言ったらかあさんは目をまんまるにした。
「まぁ、今のところお酒は飲める年齢になるかも、ってお医者さんに言われてるから」
1から10まで全て話した。
「分かった、教えてくれてありがとう。ご飯とか、もっと考えてみるね。」
かあさんはとっても優しい人だ。
「ただいま」
はるくんは7時に帰ってきた。
「あ、!おかえり!」
あの話をしてからかあさんはずっとスマホで誰かとメッセージを送り合ってるらしく、気まずく感じてたから助かった。
「あ、春夢さん!教えてほしいところがありまして。」
今度ははるくんが話しかけてきた。
久しぶりでなんだか嬉しい。
「ん?どこどこ〜?」
自然と口角が上がってしまう。
聞きたかったのはつい最近ならったばかりの定理の応用問題だった。
私は身の回りのものに例えながら教える。
「なるほど!わかりました!ありがとうございます!」
明るい笑顔でそう言われると、なんだかこっちまで笑顔になってしまう。
幸せな気分を抱えながら私は自分の部屋で本を読み始めた。
「ふたりともー!ご飯よー!」
かあさんが私たちを呼ぶ声がする。
「はーい今行きます!」
これからの生活が、楽しみで仕方がない。
月ヶ瀬 涙
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コメント
5件
わあ〜!!!第12話、読み終わったよ〜😭💕 鈴華ちゃんが新しいお母さんに「鈴華」って呼ばれて驚くところ、めっちゃ胸にきた…!自分が考えた名前じゃないのに、ちゃんとその名前で呼んでくれる優しさと、それを受け入れる鈴華ちゃんの心情がリアルでグッときたよ…🥺 はるくんとの距離感も切ないね…「いつもってどんな話し方だったっけ?」のとこ、初恋から兄弟になった戸惑いがひしひしと伝わってきて泣ける😢 でも最後に問題教えるとこで自然に笑顔になってて、これからの生活が楽しみで仕方ないって締めくくるところがめっちゃ温かい気持ちになったよ🌸✨ 月ヶ瀬さん、この家族の絆を丁寧に描いてくれてありがとう〜!!続きが待ちきれないよ!!😭💕