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とりあえず、城に着いた。一人と1匹で住むには十分すぎる家だ。着いたときには涙も枯れ二人で頑張っていこう、そう言い合った。
「主様着きましたねー!」
元気にムーが新しい家に入り走り回った。
ムーを見て私も落ち込んでばかりではダメだと気持ちを切り替える。これからは私、ずっとここに住むのか、、ムーもいるなら楽しいはず。
そう思い二人で家を見て回った。部屋を全部見終わると外は暗くなってしまっていた。
ここまで連れてきてもらった憲兵に一ヶ月分の必需品をもらいご飯を作り二人で食べた。
「屋敷はきっと大騒ぎだよね、」
「そうですね、執事さん達きっと悲しんでますね、」
「でも、しょうがないよね」
「そうですね、、あ、主様!ご飯すごく美味しいです!作ってくれてありがとうございます♪」
ムーが空気を明るくしようと感謝を伝えてくれた。 これでよかったのだ。むしろ私に縛られず楽しく生きて欲しいと執事達には願った。
「これから毎日作るからどんどん美味しいもの作るね!」
二人で雑談をしながらご飯を食べ今後の計画を立てる。それから やることもないためお風呂もすぐに済ませ、 早めにベッドに潜った。寂しかったためムーを抱きしめる形で眠りに着いた。案外移動で疲れが溜まっていたのか泣き疲れたのか、二人ともすぐに眠ってしまった。
、、ねぇ、
誰かが呼んでいる。
ねぇ、起きて、、
「、ん?なに、」
目を開けるとそこは真っ暗な空間だった。
振り返ると後ろに黒いモヤが広がっていた。
「ここは、私の夢、?モヤがあるし、悪魔でもいるの?」
執事達が悪魔化し、助けるときに行ったところに似ている。それからしばらくし、黒いモヤが形となった
「そこにいるのは誰」
黒いモヤが猫の形となり、こちらに話しかけてきた。
「こんばんわ、悪魔執事の主。天使を討伐してくれてありがとう。本当に感謝しているわ」
すぐにわかった。この黒猫は私をこの世界に誘ったあの黒猫だ。
「執事たちのために、最後まで主として守ってくれて、ありがとう。貴方のおかげで世界も執事達も平和よ。そんな優しいあなたに、私から1つだけ贈り物を送らせて欲しい」
何をくれるんだろうと思っていた矢先、黒猫は答えた。
「悪魔と契約したときに得られる永遠の命です。」
永遠の命、、執事たちと同じように不老にになるのか、正直迷ったが、欲しかった。
ムーを一人にしてしまうのが怖いのと、長く生きればまた会えるかもしれないと淡い希望を持ってしまい、お願いしますと頼んでいた。
黒猫は「貴方ならきっと大丈夫、良い人生を」それだけを言って帰っていってしまった。
これで私も不老か、、ボスキに申し訳なくなった。あと数十年か、なんて言っていた彼だがやっぱりまだまだ続いてしまうようだ。
実感はないが、嫌な気分ではなかった。
もしかしたら、、小さな希望でも縋っていないとこれからを考えることができない気がした。
ムーと二人で頑張ろう。そしてムーとの生活が始まった。
、、、それから5年春
「おはよ〜ムー、今日は天気がいいから洗濯は外で干そうかな!」
「おはようございます主様!僕もお手伝いしますよ!」
「笑ありがとう〜干し終わったら湖に遊びに行こっか」
「楽しみですーー!」
あれから5年が経ちこちらの生活にも慣れてきた。最初は二人ともわからないことだらけだったが小さな畑を作ったり、近くに湖を見つけて釣りをしたりとなんだかんだ楽しく暮らしていた。料理のレパートリーも増えたし元からロノに教えてもらっていたためすごく役に立った。体調が悪い時はムールカスさんから教わりました!と言って看病してくれたりとそれぞれ執事達からの知恵でうまくやっていた。
「やっぱり春だから寒いね〜」
「そうですね!水が冷たいです、、
雪はもう降りませんけど寒いです!」
冬毛のムーがブルブルと体を震わせている。
可愛くって頬が緩んでしまう。暖炉の薪を拾って帰ろうかと思っていた時だった。
パタパタッ、
「主様!お手紙ですー」
もうそんな時期か、
ここにきてから月に一度フィレイ様と文通をしていた。こちらの様子や欲しい物、執事達の様子など色んな話をしていた。
「今日はなんだろう、、ムーなんか欲しいものはあるー?」
「笑ぼくはやっぱりササミがいいです♪」
相変わらずだなーなんて思い手紙を開くと
悪魔執事の主よ
まだまだ寒さが厳しい今日この頃だが嬉しい知らせだ。執事達の処刑を完全に取り下げられることとなった。主のおかげである。感謝する。より一層執事達を守っていこうと思っている次第だ。
読みながら泣いてしまった。手紙を握りしめ震える。ムーが何事かと慌てて駆け寄ってくれる。実は私が離れたことだけでは貴族達の声は鎮まらなかった。それだけ悪とされてきたからだ。それでも彼らが依頼をこなしたり街を守ったりする功績が認められたのだろう。みんな元気だとフィンレイから聞いていたが、よかった、やっとこれで彼らが安心して生きていける。主として本望である。
ムーにもこのことを伝えるとぴょんぴょんと跳ねていた。私たちが離れて暮らした意味をやっと形にできてとても嬉しかった。静かな森に一人と1匹の声が高鳴ったのであった。
執事side、主失踪から5年
主がいた時と変わらず仕事を続けてみんな屋敷に残っていた。相変わらず笑顔と元気は主がいた時と比べられないほどなくなっている。主失踪とともにムーがいなくなったことを不審に思いつつ、いつか主が帰ってきた時のためにと働いていた。そんな時、
執事達の全員は食堂に集まっていた。
ベリアン「皆さん、フィンレイ様よりお手紙が届きました」
静かに淡々と話し始めた。
ハナマル「ふーん、また依頼か?めんどうだね〜」
ユーハン「執事としてどうなんですかハナマルさん?」
ルカス「まぁまぁ言いたいことはわかるからね♪」
ベリアン「今回は依頼ではありません。とりあえず読み上げますね。
悪魔執事へ、
貴族の中で天使を討伐した後執事を処刑しろと言う話が出ていたのは其方らも分かっていただろう。そして天使討伐から5年が経ち執事達の我々への依頼やパーティの準備等の協力そして、一人の大きなる決断のおかげで処刑が免除になった。これからも忠誠を誓いグロバナー家に尽力して欲しい反面其方らの人生を楽しむのも大事にして欲しい。これからもよろしく頼む。
ナック「やっと処刑が免れましたか、」
ボスキ「処刑になっても俺は逃げるけどな」
フェネス「ま、まぁね、 屋敷を壊されたりするのは嫌だなぁ」
アモン「そうっすね、植物とか全部取られそうっすもん」
ラムリ「奇襲とかきたら最悪だったからね!」
ラト「殺しに来てくださってもよかったのに」
フルーレ「なんで残念がるのラト!」
ミヤジ「平和が一番だからねラト君」
ベレン「俺たちの頑張りが認められたんだね」
シロ「なぜ、我の方を見る」
クロウザー「一応処刑になった時の避難経路も考えてあったんだけどね〜」
ロノ「使わなくってよかったっすね」
バスティン「依頼を頑張った甲斐あったな、」
テディ「、、、」
ユーハン「どうされたんですがテディさん?
嬉しくないのですか?」
テディ「あっ、嫌そう言うわけではないんですけど、。あのベリアンさん!手紙に一人の決断って、それって誰ですか?」
至極真っ当な疑問だ。誰も言わなかったが全員頭の片隅に、ハテナが浮かんでいた。
ベリアン「はい、それなのです。皆さんに集まってもらったのは、処刑が免れたことの知らせと決断された方が誰なのかと言うことです。」
全員静かになる。悪魔執事として少なくとも嫌っている人がいるのは確かな中、誰が自分たちに尽力してくれたのだろう。北の魔女だろうか、いや貴族達の言葉を遮れるくらいの方なら普通手紙に名前を書くだろう。書かないと言うことは言えないと言うこと。一体誰なのだろうか、
静かにハナマルが溢した。
「主様じゃね、、」
全員がハナマルの方を見る。
流石に全員から見られると驚いてしまう。
「いやいやッ全員こっち見なくていいだろう!もしかしたらって話だろう!?」
ルカス「、、、いやありえるかもしれない、
貴族達が処刑に踏み切れなかったのは主が不在なため力を出せない、その理由が一番大きかったからね、そして主様が消えた時期も処刑の案が出てすぐだったはず、」
ラムリ「力がない僕たちはただの少し強い兵士みたいなものですからね」
フルーレ「じゃあフィンレイ様の主様が消えたって言うのは嘘、、、?」
ロノ「消えたその日主様めっちゃ暗くなかったか、?」
バスティン「確かに元気がなかったのを覚えている」
フェネス「じゃあ主様は俺たちのために、、」
ベレン「優しい主様ならそうかもね、」
ハウレス「じゃあ主様はこの世界にまだいる可能性が高いと言うことか」
フルーレ「ほ、本当なの、」
ベリアン「いえまだ分かりません、あくまで可能性の話です」
バスティン「だが、探す価値はありそうだろう」
ユーハン「わざわざ名前を伏せて手紙に書いてきたぐらいですからね、」
執事達に希望が差し込む。
ラト「また会えるのですか?主様と」
ミヤジ「まだわからないよ、でも会えるかもね」
ミヤジも久しぶりに笑っていた。
それから話はトントン拍子に進み主を探してみようと言うことになった。ボスキが生きている時点で主の命は続いている。ナックとクロウザーが裏組織で情報を集め他の執事が依頼をこなす。空いている執事は各地に行き探し回る。一応フィンレイに聞いてみたがはぐらかされてしまった。もうあとはしらみ潰しに探し回るしかない。そしてルカス、ベリアン、ユーハンは悪魔執事を嫌っている貴族達をどんどん告発しグロバナー家から離れさせていった。もし主が見つかった時安心して帰ってきて欲しかったからだ。やはり表向きは主がいないため生かされているものだ。主がいても平和に暮らせる日が来るまで執事達も戦っていた。
コメント
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寺島あおいです🌷 第3話、読ませていただきました。 執事たちを守るために離れる決断をした主の胸の内が、5年後の手紙の場面でじんわりと報われて、思わずもらい泣きしそうになりました…。とくに執事サイドで「主様じゃね」とハナマルがぽつりと言うところ、あの瞬間の空気感がすごく好きです。それぞれが主を想い、動き出すラスト、次の展開が待ち遠しいです。