テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
『あなたにすきってつたえたい』
第10話 「あなたにすきってつたえたい」
――あれから、数年。
大学を卒業して。
仕事を始めて。
生活も少しずつ変わった。
学生の頃みたいに、毎日会えるわけじゃない。
仕事が忙しくて、連絡すらできない日もあった。
それでも。
二人は変わらなかった。
朝になれば、
『おはよう』
夜になれば、
『おやすみ』
会えない日は、
『今日も頑張ってね』
たったそれだけのメッセージでも。
お互いがそこにいることを感じられた。
そして。
今日は久しぶりに。
一日中、一緒にいられる日だった。
tt「jpー」
jp「ちょっと待って!」
tt「まだ?」
jp「まだ!」
玄関の前で待つ。
しばらくして。
ドアが開く。
jp「お待たせ!」
tt「……」
jp「どう?」
tt「……かわいい」
jp「……」
一瞬でjpの顔が赤くなる。
jp「……またそれ」
tt「だってほんまにかわいいし」
jp「そういうの、急に言うのずるい」
tt「なんで?」
jp「準備してる間は普通だったのに、会った瞬間言われたら恥ずかしい……」
tt「ははっ」
jp「笑わないで!」
tt「ごめんごめん」
jp「……もう」
そう言いながらも。
jpは嬉しそうに笑っている。
tt「じゃあ行こか」
jp「うん!」
玄関を出る。
自然に。
jpが俺の手を探す。
指先が触れる。
tt「……」
jp「……」
そのまま。
手を繋ぐ。
昔より。
ずっと自然になった。
でも。
何年経っても。
手を繋ぐ瞬間だけは。
少しだけ特別だった。
向かったのは。
昔、二人がよく遊んでいた公園。
jp「……懐かしい」
tt「覚えてる?」
jp「もちろん」
jpがベンチを見る。
「ここでしょ?」
tt「そう」
二人でベンチに座る。
しばらく。
何も言わずに。
昔の景色を見る。
jp「……あの頃ってさ」
tt「うん」
jp「本当に子どもだったよね」
tt「そらそうやろ」
jp「『先に好きになったほうが負け』とか」
tt「めちゃくちゃ真剣に約束してたな」
jp「うん」
jpが笑う。
「俺、絶対負けないって思ってた」
tt「俺も」
jp「でも」
jpが俺を見る。
「結局、二人とも負けたね」
tt「……せやな」
jp「ふふっ」
tt「でも」
tt「俺は負けてよかったと思ってる」
jp「……」
jpの表情が柔らかくなる。
jp「俺も」
公園を出る。
夕方。
空がオレンジ色に染まっている。
歩きながら。
jpが俺の腕にそっと触れる。
jp「……ねぇ」
tt「ん?」
jp「今日、なんか変じゃない?」
tt「何が?」
jp「いつもより優しい」
tt「いつも優しいやろ」
jp「それは……そうだけど」
tt「何やねん」
jp「……なんとなく」
少し黙ってから。
jpが言う。
「何か考えてる?」
tt「……」
図星。
tt「まぁな」
jp「やっぱり!」
tt「今日な」
tt「伝えたいことがあって」
jp「……なに?」
俺は足を止める。
jpも止まる。
夕日の中で。
向かい合う。
tt「俺」
tt「これから先も」
tt「ずっとjpと一緒にいたい」
jp「……」
tt「仕事も」
tt「住む場所も」
tt「これから先、いろんなことが変わっても」
tt「隣にいてほしい」
jpの目が。
少しずつ潤む。
tt「だから」
tt「これからも俺と一緒にいてください」
jp「……」
しばらく。
jpは何も言わなかった。
でも。
やがて。
小さく笑う。
jp「……遅いよ」
tt「え?」
jp「そんなの」
jp「ずっと前から決まってるじゃん」
tt「……」
jp「俺だって」
jp「ttとずっと一緒にいたい」
tt「……ほんま?」
jp「うん」
jpが俺の手を握る。
jp「これからもよろしくね」
tt「……うん」
その瞬間。
長い時間をかけて積み重ねてきたものが。
全部繋がった気がした。
夜。
二人で俺の部屋に戻る。
静かな部屋。
テレビはついているけれど。
二人とも。
ほとんど見ていない。
jp「……」
tt「……」
さっきの言葉が。
まだ頭に残っている。
jp「tt」
tt「ん?」
jp「こっち来て」
tt「……?」
隣に座る。
jpが。
少しだけ近づく。
肩が触れる。
jp「……今日」
tt「うん」
jp「すごく嬉しかった」
tt「俺も」
jp「なんか」
jpが笑う。
「昔からの夢が叶ったみたい」
tt「夢?」
jp「ttとずっと一緒にいること」
tt「……」
jp「小さい頃は」
jp「ただの幼馴染だったけど」
jp「いつからか」
jp「ttが隣にいないと、嫌になって」
tt「……」
jp「学校で姿が見えないだけで気になって」
jp「他の人と話してると、ちょっと嫌で」
jp「でも」
jp「好きって言ったら負けだから」
tt「……」
jp「ずっと隠してた」
tt「俺もや」
jp「知ってた」
tt「嘘やろ」
jp「ほんと」
jpが笑う。
「tt、分かりやすかったから」
tt「……恥ずかしいな」
jp「ふふっ」
そして。
jpが少しだけ俺の肩に寄りかかる。
jp「……ねぇ」
tt「ん?」
jp「キスして」
tt「……」
何度聞いても。
その言葉には。
少しだけ緊張する。
tt「……ええよ」
ゆっくり。
jpの頬に手を添える。
jpが目を閉じる。
そして。
『ちゅっ…』
唇が触れる。
一度。
離れる。
jp「……」
tt「……」
jp「もう一回」
tt「……うん」
今度は。
少しだけ長く。
tt「れろっ..ちゅくれろッ..♡」
jp「んっ…♡はぁ…ぅ♡ふっ…ぁ♡」
jp「んぅっ…♡あ゛〜っん”“♡」
離れたあと。
jpの額に自分の額を合わせる。
近い。
息が触れそうな距離。
jp「……恥ずかしい」
tt「今さら?」
jp「今さらでも恥ずかしいの///」
tt「かわいい」
jp「また言った」
tt「だってかわいいから」
jp「……」
jpが俺の服を掴む。
そして。
もう一度。
自分から近づいてくる。
『……ちゅっ…♡』
唇が重なる。
今度は。
俺も少しだけ強く抱きしめる。
jp「……んぅ♡」
小さな声。
離れる。
jpが顔を伏せる。
tt「大丈夫?」
jp「……うん//」
tt「無理してへん?」
jp「してない」
少し間を置いて。
jpが俺を見る。
jp「…んね…もっと近くにいたい//」
tt「……」
その言葉に。
胸が熱くなる。
俺は。
jpをゆっくり抱きしめる。
jpも。
俺の背中に腕を回す。
jp「……落ち着く」
tt「俺も」
jp「ttの匂い」
tt「ん?」
jp「好き」
tt「……俺もjpの匂い好きやで」
jp「……」
jpの顔が赤くなる。
jp「……それ、反則」
tt「なんで?」
jp「恥ずかしいから」
tt「ほんまに?」
jp「ほんと」
jpはそう言いながら。
俺の胸元に顔を隠す。
tt「……かわええ」
jp「聞こえてる」
tt「聞かせてる」
jp「もう……」
二人で笑う。
しばらくして。
jpが顔を上げる。
jp「……tt」
tt「ん?」
jp「俺」
少しだけ。
緊張したように。
jp「Ωであること」
jp「昔はちょっとだけ嫌だった」
tt「……」
jp「ヒートのとき」
jp「体調が悪くなったり」
jp「誰かに迷惑かけないようにって気にしたり」
tt「……うん」
jp「でも」
jpが俺の手を握る。
「ttがずっと大切にしてくれたから」
jp「今は」
jp「Ωの自分も、ちゃんと好きになれた」
tt「……そっか」
jp「だから」
jpが俺を見る。
jp「俺」
jp「ttの番になりたい」
tt「……」
言葉が出ない。
ずっと。
いつか考えることになると思っていた。
でも。
実際にjpの口から聞くと。
胸がいっぱいになる。
tt「……本当に?」
jp「うん」
tt「後悔せぇへん?」
jp「しない」
tt「怖くない?」
jp「……少しだけ」
jpが正直に答える。
jp「でも」
jp「ttと一緒なら大丈夫」
その言葉に。
俺はjpを抱きしめる。
tt「……ありがとう」
jp「うん」
tt「俺も」
tt「jpと番になりたい」
jp「……ほんと?」
tt「ほんま」
jpの目に。
涙が浮かぶ。
でも。
その涙は。
悲しいものじゃなかった。
jp「……嬉しい」
tt「俺も」
tt「…なぁ、jp 。」
jp「…ん?」
tt「ここ、噛んでもええ?」
jp「…うん、」
『カプッ…』
jp「んぅ…♡っ…はぅ♡」
『ふわぁ〜♡』
じゃぱぱのうなじを噛んだ直後、あま〜いΩのフェロモンが俺を刺激してきた
tt「…っ、じゃぱぱ、ごめん。」
tt「俺我慢できない…」
jp「…いいよ…♡ きて…♡」
tt「…っ…ほんまか?」
jp「うん、たっつんになら……♡」
その夜。
二人は。
急がず。
何度も気持ちを確認しながら。
これからのことを話した。
嫌なことはしない。
怖くなったら止める。
ちゃんと言葉にする。
そして。
何より。
お互いを大切にする。
二人が選んだのは。
勢いじゃない。
長い時間をかけて。
何度も好きだと言い合って。
何度も約束して。
その先にある。
二人だけの未来だった。
その先の時間は。
二人だけの大切なもの。
誰にも見せる必要はない。
ただ。
互いの気持ちだけは。
確かだった。
翌朝。
カーテンの隙間から。
柔らかな光が差し込んでいる。
jp「……ん」
目を覚ます。
隣を見る。
tt「……おはよ」
jp「……おはよう」
少し眠そうなjpが。
俺の手を探す。
指が触れる。
そのまま。
ぎゅっと握られる。
jp「……いる」
tt「いるで」
jp「……よかった」
tt「どこにも行かへんよ」
jp「……うん」
少し沈黙。
jp「ねぇ」
tt「ん?」
jp「昨日のこと」
tt「うん」
jp「……幸せだった」
tt「俺も」
jp「これからも?」
tt「ずっと」
jp「……約束?」
tt「約束」
小指を絡める。
昔と同じ。
でも。
今度の約束は。
子どもの頃のものとは違う。
人生を共にするための。
二人だけの約束。
jp「……これで本当に」
jp「番なんだね」
tt「うん」
jp「……えへへ」
tt「何笑ってんねん」
jp「だって」
jp「ずっと夢だったから」
tt「……そっか」
jp「これからも」
jp「何年経っても」
jp「俺のこと好きでいてね」
tt「当たり前やろ」
jp「じゃあ」
jpが少し笑う。
「もう一回言って」
tt「好き」
jp「もう一回」
tt「大好き」
jp「……もう一回」
tt「愛してる」
jp「……っ」
jpの顔が真っ赤になる。
tt「何でそっちが照れんねん」
jp「だって……!」
tt「かわいい」
jp「……もう!」
jpが俺の肩に顔を隠す。
でも。
その口元は。
嬉しそうに笑っていた。
それから。
二人で外へ出る。
昔と同じ道。
昔と同じように。
手を繋いで歩く。
でも。
もう。
昔の二人ではない。
小学生だった頃。
「先に好きになったほうが負け」
そう言って笑った二人。
高校生になって。
好きな気持ちを隠した二人。
大学生になって。
少しずつ距離を縮めた二人。
そして。
大人になった今。
二人は。
お互いを選んだ。
αだからでも。
Ωだからでもない。
ただ。
「この人と一緒にいたい」
そう思ったから。
tt「……なぁ、jp」
jp「ん?」
tt「俺たち」
tt「結局、どっちが負けたんやろな」
jp「……ふふっ」
jpが笑う。
jp「二人ともじゃない?」
tt「なんで?」
jp「だって」
繋いだ手を。
ぎゅっと握る。
「二人とも、先に好きになっちゃったから」
tt「……それもそうやな」
jp「でも」
jpが俺を見る。
「負けてよかった」
tt「……うん」
jp「だって」
「負けたから、今こうして隣にいられるんだもん」
tt「……せやな」
夕方の道。
二人の影が。
並んで伸びている。
tt「jp」
jp「ん?」
tt「これからも」
tt「俺の隣にいてな」
jp「……うん」
jp「ずっといるよ」
そして。
二人で笑う。
繋いだ手は。
もう離さない。
小学生の頃の小さな約束は。
長い年月を越えて。
一生の約束になった。
何年経っても。
何十年経っても。
きっと二人は。
何度でも。
同じ言葉を伝える。
――好き。
――大好き。
――ずっと一緒にいたい。
そして。
そのたびに。
二人は思う。
あの日。
「先に好きになったほうが負け」
なんていう約束をしたこと。
それが。
二人の始まりだったことを。
そして。
今なら。
胸を張って言える。
好きになったことは。
負けなんかじゃない。
――大切な人に出会えた。
それが。
二人にとっての。
一番幸せなことだった。
tt「……好きやで、jp」
jp「……俺も」
jp「大好き」
二人の声が。
夕暮れの空に溶けていく。
――『あなたにすきってつたえたい』
ーーーーーーー――完――ーーーーーーー
ここまで見てくれた皆さん!
本当にありがとうございました!😭
感謝してもしきれないです🥺
番外編とか出すかもです!
感想とかいただけたらもっと嬉しいです!
初めての長期系(?)書いたんですけど
楽しかったです!
完結したので新連載すたーとします!
過激系か、この作品みたいにほのぼの系かどっちがいいですか?
コメントくれると嬉しいです!
あと♡たくさんくれると嬉しいです!
Next♡100
#からぴちBL
れく
659
(・〜・)
39
コメント
5件
コメ失礼します。 1話1話長くて、とても見やすかったです!d(^_^)
初🌾失礼します🙇 完結おめでとう御座います!!楽しく読ませて頂きました!✨️主さんの小説の書き方大好きです…💕これからも応援してます〜!!📢
わあ…完結、おめでとうございます!最終話、全部読ませていただきました。 「先に好きになった方が負け」っていう子ども時代の約束が、大人になっても形を変えて続いて、最後は「負けてよかった」に昇華されるの、本当にじーんと来ました。夕暮れの公園、手を繋ぐシーン、番になる決意…どの場面も丁寧で、二人の時間の積み重ねが伝わってきて、胸が熱くなりました。 完結お疲れ様でした。番外編も楽しみにしてますね!新連載も応援してます📚