テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
ハッ!!
目を覚ました。
(あれ…ここは??)
周りをキョロキョロと見回す
あたり一面ゴツゴツした岩肌。
地面も岩。硬く冷たそうなのに、不思議と温もりがあり、嫌な感じはまったくしなかった。
(どこだろう…なんか身体もすごく軽くなってる…)
ついさっきまで身体を起こせなかった事が嘘のようだ。
はるは身体を起こし、軽く飛び跳ねてみた。
フワッ
体がふわりと浮いた。
今まで感じたことのない浮遊感に少しばかりテンションが上がる。
その時
『来たようじゃな。』
どこからか声が聞こえ、びっくりしたはる。
隠れられる場所があれば一目散に隠れたかったが、あたり一面岩しかなく隠れる場所はない。
シュタッ!
その場で体勢を低くし、身構えることしかできなかった。
(いまのこえはなに…?だれ……?)
嫌な声ではない。むしろどこか安心するような声。しかし、聴力に自信のあるはるが、その声の出所が全くわからないという気味の悪さから、無意識にはるを警戒させていた。
【パチン!】
またもや出所がわからない突如鳴り響く音。
次の瞬間……
目の前に三日月の形をした杖を持つ女の子立っていた。
そして、気づけば景色が建物の中へと変わっていた。
『クスッ……そう身構えるな』
何が起こっているのか分からず、涙目になりながらビクビク震えているはる。
そんなはるをみてか、少女は少し笑みをこぼしていた。
『ここは月にある城、月ノ城。うさぎの魂の行き着く先….と考えてくれればよい。』
『そして妾はこの城の主、帝釈天。主らのような魂の輪廻を促している者じゃ。』
震えるはるを見ても、帝釈天と名乗った少女は落ち着いた様子で説明を続けた。
しかし、はるは不思議な出来事が立て続けに起こり、絶賛混乱中。帝釈天の言葉をうまく処理することができなかった。
そんなはるの事をよそに、帝釈天は事務的に話を続ける。
『はる。2011年の1月1日産まれ。 ほう…卯年生まれなのか。生まれながらにして病弱であったが、その3ヶ月後に朝倉家へ迎え入れられ……そして2018年1月1日の今日……その生涯を終える。』
『産まれた日に死ぬとはな……だが ……魂は綺麗なま……大事にされておったようじゃのぉ。これならしばらく魂を休めれば、次は人間へでも転生できるじゃろう』
(たましい??てんせい??)
聞き慣れない単語に頭に?を浮かべるはる。
そんなはるの心の声が聞こえるのか、帝釈天ははるの疑問に答える。
『少しここの城で休めば、人間に生まれ変われるという話じゃ』
その言葉を聞いた瞬間、はるは目を見開いた。
(にんげんに生まれ変われるんですか!?)
今までの話の大半を理解できていなかったはるであったが、【人間に生まれ変われる】この言葉だけはしっかりと理解ができた。
『そうじゃのぉ………主の魂の様子だと……5..いや、400年も休めば生まれ変われるじゃろ』
(それじゃダメなんです!!)
突然のはるの叫びにびっくりする帝釈天。
『な、なんじゃ急に大声を出しおって…』
実際に聞こえている訳ではないが、 両耳に指を押し当て、顰めっ面で目を閉じる帝釈天。
(お願いです!今すぐ私を人間にしてください!!)
『そんなの無理に決まっておろう。魂は巡り廻るもの。そんなことをしたら魂の循環……輪廻の理からも外れt..」
(そんなのどうでもいいです!)
今まで数多くのうさぎの魂を見てきた帝釈天。もちろん、はるのようにわがままを言うウサギも数多くいたが……しかし、ここまで大きな声を出すウサギもそうはいなかった。
少し面倒くさそうにしながら、はるを諭そうと目を開け、視線をはるにむける。
『何を言って….ん??』
はると目があった。まっすぐこちらを見ている。そしてその瞳の奥にあるはるの魂……
『その目…..お主……もしや….』
(???)
一瞬何か考え込むようなそぶりを見せながら、はるの瞳をじっと見つめていた帝釈天であったが、またすぐに話を戻した。
『い、いや、何でも無い。じゃが、仮に人に転生したところでお主は何を望み、何をしたいのじゃ』
一瞬の間……はるはつい先ほど目の前にあった光景を思い浮かべた。
大好きだったゆきとくんが泣いていた……
悲しい顔をしていた……
自分にいっぱい言葉をかけてくれた………
それなのに…………
自分は何もしてあげられなかった………
ありがとうも…………
大好きも………
何一つ……伝えられなかった!
(私は……大好きな人にありがとうって……私も大好きだったって伝えたい………そして何よりも、笑っていて欲しいんです!)
まっすぐ帝釈天の目を見ながら答えるはる。
帝釈天もまた、その目を見つめながら言う。
『それはただの自己満足。それを伝えたあと、お主はどうするつもりじゃ?』
(その後のことなんて知りません。どうなっても構いません。)
『そうか………』
クスッと笑う帝釈天
『ならば条件がある。それは….』
…………
………
……
…
(それだけですか?)
『それでも構わぬと言うのならば….お主の願いを叶えよう。』
(ありがとうございます!!やったぁ!!!)
遠くを眺め、大きく深呼吸。一呼吸した後、嬉しさのあまり、 いつもよりずっとずっと高いビンキーをしているはるを見て、思わず、笑みがこぼれた。