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私たちはまだ【ティオンニア】があまりいない地域へ移動した。
まだ居ないのではなく、もう居ないのだ。
街のあちこちに血吹雪の痕が残っており、*ナニカ*のカケラも落ちている。
公園もあるが、遊具は壊され、その代わりに旗が刺さっている。
【ᚣᛟᚢ ᚹᛖᚱᛖ ᛋᚨᚢᛖᛞ. ᚹᛖᛚᚲᛟᛗᛖ ᛒᚨᚲᚲ ᛏᛟ ᚢᛋ, ᛗᚣ ᚺᚨᛚᚠ】
『…。行こう』私が言うとウサギ耳の少女は頷き再び歩き始めた。
「…最低ですね。」少女は話し始めた。
「敵として侵略し、惨殺したのに、占拠すると【救われた片割れ】として扱うなんて…
いくらなんでも酷すぎます…。」
『確かに、こんなに自分たちの故郷を破壊して【救った】は可笑しいと思うよね。』
「やっぱり、そう思いますよね!」少女は少し興奮してきている。
が、私は続けて言う。
『だけど、ここがどんな街だったか知っているかい?』
「えーっと…、工業が発展している街…?」
『違うな。』
「じゃあ…ティオンニアが権力を持っていた街ですか?」
『いや、違う。逆にここは権力がほとんどない街だった。』
「むぅ…じゃあなんなんですか」少女は頬を膨らませながら言った。
『答えは…【最も混じりの人がそれ以外の人を殺害し、拷問をしている街】なんだ。』
「えっ…?」少女は絶句した。
「そんなことしたら、両者が仲良くなることなんて出来なくなるのに…」
『そうだね。この二つの派閥は仲良くなることは選ばずに、【やられたことをやり返す】ことを互いにし合っていた。』
『だから、ここの人々は本軍と連携し、ゲリラ戦に持ち込み【混じり】を壊滅させた…の…だ…?』
少女がこちらを見て—
そうして、ハッと気がついた。
彼女も【混じり】と一般では呼ばれる者。
そんな人の前で侮蔑の意味が多く含まれている単語を連発することは良くない。
彼女も[少女]とは表しているものの、おそらく16歳前後なのだから、そのくらいの隠語は理解しているはずだ。
『すまない。癪に触ることを話した様だ。
許してくれ。』
「…悪気がないことは分かっています。
だから、そんなに気にしないで下さい…」
そう彼女は言うが少しツラそうだ。
今後は気をつけなければ。
『約25分後にこの先で【例のコロニー】と合流する手筈になっている。それまでに移動しておこう。』
「…はい、分かりました。」少女はこくんと頷く。
これで、ようやくちゃんとした睡眠を取ることが出来そうだ。