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こんにちは
陽華です
陽華今年受験生なので投稿頻度がかなぁり落ちてきます。
終わったらすぐ原稿書きますし、基本出します。
今回は六兄弟です
末っ子と五男が入れ替わります
長男に怒られている四番目のころにぃを見て、そりゃそう、と僕はは思う。
同情なんてしません制裁が終わって少し涙目になりながら、頬を膨らませてジェル君は、
「バナナの方が好きなら、プリン食べなくてのに…っ」
ぷんっと顎を上げる。 あぁー…プリン楽しみにしてたんでしょうね。 昨日次男が買ってきたテストを頑張ったねプリンに一つ一つ名前を書くくらいだから。
僕は「ジェル」とサインの入った最後のプリンにスプーンを添えて渡した。
「はい。ジェルくん。最後の1個」
「?」
「ジェルくん、まだ食べてないんでしょう?」
僕から受け取ったプリンを両手で持ったジェルくんは、ちらっと俺を見てから、俯いた。
「……いらへん」
「……へ?」
「…もう、いらんっ。るぅにぃ、食べてやっ」
「えっ?」
今までのやり取りなんのためにやったんですか? びっくりして、ジェルくんを見ると、ぷいっと顔を背ける。 夕日に染まったふわふわな髪の毛。 僕とは違って、彼の髪型は校則違反ギリギリだが、少し伸びた髪、しかし後ろからでも耳もきちんと見える。その両耳が真っ赤に染まっていた。
あー、照れてる。 めっちゃ照れてる。 僕がプリン好きだから最初に疑ったのをこれで許してほしいということか。 ツンツン要素強めの末っ子の気持ちなんて、お見通しですよ。ほんとうは自分も食べたいくせに。
「僕はいいですから。ジェルくん、食べてください」
「だから、いらへんって。るぅにぃ、食べてや」
「僕は、ジェルくんに食べてほしいです」
「………」
くるり、とジェルくんがこっちに向き直った。 耳だけじゃなくて、頬も真っ赤。 顎を引いて、上目遣いになったかと思うと、右側に軽く、こてんと頭を倒した。
「じゃあ、ふたりで食べよ」
ジェルくんは、スプーンでプリンをすくうと、僕の口元に差し出し、
「るぅにぃ、あーん」
「…っ」
反射的に口を開けると、プリンが舌の上に乗せられる。 ジェルくんは僕が食べたのを確認してから、僕の口に入ったスプーンでプリンをすくい、今度は自分で、はむっと美味しそうに食べた。
とたんに、表情が崩れる。
「ふふっ…あまーい」
おいしーい、ね、るぅにぃ?と微笑まれ、またスプーンをこちらに差し向けられ、あーんとされる。 かわいい顔とかわいい仕草とかわいい声。 うちの末っ子のかわいさは、世界無形遺産に登録されるだと思いませんか? と心を持っていかれて、ジェルくんにうっとり見蕩れる。
ひとつのプリンをシェアした上に、食べさせてもらって、めっちゃ幸せです~。 と、ジェルくんの眉尻がへにょんと下がった。
「……食べおわっちゃった……」
「はいっ! 買いにいきますっ!」
「やったー!」
バンザイして喜ぶジェルくん。 僕はいそいそとコートを着て、ポケットに財布を入れた。
「あのな、駅前のケーキ屋さんの限定プリンがちょうど焼き上がる時間なの。ちょっと遠いけど、いいかなぁ?」
「分かりました、任せてください」
玄関に向かう途中で、四男とすれ違う。
「るぅとくん、チョロすぎでしょ」
軽くバカにする言い方に、僕は余裕の笑みを返す。
ころにぃ、僕、知ってますよ。
ジェルくんは小学校まで、四番目の兄と一番仲が良かった。 僕の頭を飛び越して、いつもべったりとふたりで遊んでるのが、どれだけ寂しくて、悲しかったか。
でも、ころにぃは間違えちゃいましたね。 ジェルくんに一番懐かれてると思って、調子に乗ってジェルくんをイジりすぎなんですよ。 正直、今のころにぃはジェルくんにとって一番じゃないんですよ。
一番目と二番目の兄みたいに、 ジェルくんを甘やかして、優しくして、
三番目の兄ちゃんみたいに、 色々教えてあげて、頼りにされて、
四番目の兄ちゃんみたいに、 一緒に遊んで、ケンカして、 上の兄たちから学んで、吸収して、 いいとこ総取りするんですから。
それが五男の特権なんです。
「るぅにぃー」
玄関に見送りに来てくれたジェルくんが、
「帰って来たら、一緒にプリン食べような」
と手を振るのに、大きく手を振り返した。
はわわ