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暗いところは苦手だ
昔を思い出してしまうから
暗いところは苦手だきっとそうしたら、
僕を引きずり込もうとするから
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深夜、急に目が覚めて水を飲んで部屋に戻る途中、ノートンの部屋の前を通りかかった時、部屋の中からとても苦しそうな声が聞こえた。
ノートンじゃなければ部屋に戻ってすぐ寝ただろう、ここには色んな人がいるから何をしてたって何が起きたって変ではない。
でもノートンだったから僕は部屋をノックして開けて、ベッドの上には縮こまったノートンがいて、
あぁ、またか、
僕は最初にそう思った。ノートンは暗いところが怖い、だから深夜に起きると一人暗い部屋に怯える。
僕が部屋に入ると、ギィと足元から軋む音がするそれに気づいたノートンはビクッと肩を震わせるが、僕だと気づいた途端泣きそうな、安心したような顔でこちらを見た
可哀想に、きっと悪夢でも見たのだろう
「ノートン、大丈夫ですか」
「イソップ君、うん、大丈夫、君が来てくれたからもう大丈夫。」
それは僕に言っていることなのか、自分に言い聞かせていることなのか、多分、どちらともだろう
僕はノートンの隣に座って、頭を撫でるそうすると彼は、安心したように目を細めて、ありがとう、と呟く
僕に出来ることはこんなことしかないと言うのに
「ノートン、君が寝るまでここに居ますから、安心して寝てください」
そう言うと、彼はすぐ寝てしまった
よくよく見ると目の縁が濡れている、泣いていたのだろうか、
彼は昔のことを僕に話してくれない
それでもきっと、いつか話してくれる日まで、僕は待つと思う
あぁ、君が見た悪夢は僕が食べてしまおう。君がいつか、心から笑えるように
おやすみなさい、ノートン ──────。