「日帝くん。そろそろこっち見てよ。」
ピカが話しかけてくる。
「ねぇ……寂しいんだけど?」
そんなこと知るわけがないだろう?
「……しんじゃった?」
ピカが私のことをつついてくる。鬱陶しい。
「僕はね、強い日帝くんが大好きなんだ!」
なんだ?急に……
「最初は、強い日帝くんだけが好きだったの。でもね、やっぱり、」
……ピカは恍惚とした表情で言う。
顔はとろけていて、その虚ろな瞳はどこを見ているのかわからない。
狂っている。
こいつは一体、何に対して、こんなにも興奮できるのだろうか。
「日帝くん。」
ピカがこちらを見つめてくる。
どんな意図があるのかはわからない。
只、本能的に体が強張るくらい、私はこいつを拒絶している。
背景は相変わらずの火の海。
國旗は燃え付きる寸前。
……こいつは?
辺りがこうなる前、こいつはどこにいた?
いつここに立っていた?
そういえば、視界が真っ白になる前のあの一瞬に……
「行けるんですか!?」
アメリカさんは、確かにそう言った。
『日本にいってこい。』と。
「あぁ、日本の……この辺り。」
そう言ってアメリカさんは地図を指す。
わぁ!これが、日帝くんかぁ!
やっぱりかっこいい!
兄さんに先を越されてしまったのだけが残念だけど、兄さんは結局燃え尽きちゃったし、僕は絶対うまくやってみせるもんね!
僕の弟に初めて会ったのは、僕も生まれて間もない頃。
別に話したこともほとんどない。
あいつを置いて出ていくことにも、何の抵抗もない。
正直、どうでもいい。
そんなことよりも、僕には好きな国がいる。
アメリカから襲撃命令がきたときは、心臓が破裂するかと思うくらい嬉しかった。
だけど、なぁ、なんでだよ。
なんでお前は僕からすべてを奪う?
初めて憎しみという感情が沸いた。
許さない。
絶対に。
覚悟してろよ?Fat Man……。
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