テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
❤️+💙×💛
春。
事務所に、新人マネージャーが配属された。
「今日から藤澤さんを担当させていただきます!」
元貴は最初に、一つだけ伝えた。
「藤澤の仕事は、追加案件も含めて全部俺たちに共有して。」
若井も続ける。
「涼ちゃんは頼まれると断れないから。そこを守るのもマネージャーの仕事だよ。」
「分かりました!」
新人は元気よく頷いた。
――しかし、数週間後。
芸能関係者が集まる交流パーティーへの出演依頼が入った。
「藤澤さんにぜひ来ていただきたいんです。」
新人マネージャーは、
(人脈を広げるいい機会だ。)
そう考え、元貴たちへの確認をせず独断で了承してしまった。
当日。
涼架は普段より華やかな衣装に身を包み、パーティー会場へ向かった。
「今日は一人で行っていただいて大丈夫です。」
「え、一人?」
「交流会なので、その方が動きやすいですよ。」
涼架は少し不安そうだったが、
「……分かった。」
と頷いた。
一方、ライブリハーサル中の元貴はスケジュールを見て眉をひそめる。
「……今日、涼ちゃんは?」
確認すると、予定には見覚えのない「交流パーティー」の文字。
しかも、共有されていなかった。
「誰が決めたの?」
新人マネージャーの名前を見た瞬間、若井が立ち上がる。
「急いで迎えに行こう。」
会場では、涼ちゃんの周りに次々と人が集まっていた。
「藤澤さん、こちらへ!」
「写真を一枚!」
「少しお話ししませんか?」
涼ちゃんは丁寧に対応しようとするものの、人の輪から抜けられない。
「すみません、少し失礼して……。」
その時――。
「涼ちゃん!」
聞き慣れた声が響いた。
振り向くと、元貴と若井が立っていた。
「あ、元貴! 若井!」
涼ちゃんの表情が、ほっと緩む。
若井が周囲に声をかけ、スタッフと協力して涼ちゃんのためのスペースを作る。
元貴は涼架のそばまで来ると、小さく息を吐いた。
「迎えに来た。」
「え?」
「一人で来るなんて聞いてない。」
涼架は申し訳なさそうに答える。
「マネージャーさんが、大丈夫だって……。」
その言葉に、元貴と若井は顔を見合わせた。
翌日。
事務所では、責任者を交えて話し合いが行われた。
新人マネージャーは、
「交流の幅が広がると思って……。」
と謝罪する。
しかし責任者は静かに告げた。
「善意でも、独断で判断してはいけません。安全確認も同行体制も不十分でした。」
元貴も続ける。
「仕事を増やしたことじゃない。一人で行かせたことが問題です。」
若井も頷いた。
「涼ちゃんは断れない。だからこそ、周りが守るんです。」
会社は担当体制を見直し、新人マネージャーには再研修を行うことになった。
そして涼架の担当には、経験豊富なベテランマネージャーが戻ることになった。
数日後。
「涼ちゃん、おはよう。」
「おはようございます!」
ベテランマネージャーが笑顔で言う。
「追加の仕事があったら、必ず相談するから安心して。」
「うん!」
その姿を見て、元貴と若井もようやく安心した。
元貴が涼ちゃんの頭を優しく撫でる。
「もう一人で抱えなくていいから。」
若井も笑う。
「何かあったら、最初に俺たちに教えて。」
涼ちゃんは少し照れながら頷いた。
「うん。ちゃんと頼る。」
その言葉に、三人を見守っていたスタッフたちも、ほっと笑顔になった
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
3,041
#お絵かき
若菜
14
#🍏