テラーノベル
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沈黙を破るように、血の匂いが濃く漂っていた。
床に横たわるイギリス。その冷たい身体を前に、全員の視線が揺れている。
🇰🇵「イギリス……が……」
北朝鮮は声を震わせた。顔色は蒼白で、両手も小刻みに震えている。
その肩を、そっと支えるように触れたのは中国だった。
🇨🇳「……大丈夫。我がいるアルよ」
小さく、か細い声。だが耳元で囁かれると、不思議と心に直接届くようだった。
🇨🇳「ロシアは……見たアルよね? 仲間を平気で殺した。次に狙われるのは、我かもしれないアル」
中国はわざと潤んだ瞳を見せ、北朝鮮を真っ直ぐに見上げる。
🇨🇳「……怖いんだ。我を……守ってくれるアルか?」
🇰🇵「……っ!」
北朝鮮の胸に、熱が走った。
怯える中国の姿は、今まで見たことがないほど儚げで――守らなければならないと思わせるには十分だった。
ロシアが苛立ちを隠さず吐き捨てる。
🇷🇺「違う……俺は裏切り者を処分しただけだ! 誰が次だなんて――!」
🇨🇳「……ほら」
中国はさらに北朝鮮に寄り添い、囁く。
🇨🇳「我には……そうは聞こえない。あの目を見て……次は我か、北アルよ」
北朝鮮はロシアを見た。
怒りと憎悪に歪んだ巨体の影が、確かに脅威に見えた。
🇰🇵「……中国さん……俺が……守る」
その言葉は、震えながらも強い決意を帯びていた。
中国は小さく微笑んだ。
🇨🇳「……謝謝。お前だけが、頼りアル」
その囁きが、北朝鮮の心を完全に縛りつけた。
重苦しい空気が、会場を覆っていた。
爆発の残骸の臭いと、血の匂い。誰もが口を閉ざし、ただ睨み合っている。
🇷🇺「……ふざけんなよ」
ロシアが低く唸る。
🇷🇺「俺は仲間を裏切った奴を処刑しただけだ……次は誰も狙ってねぇ。信じろ」
その声は荒いが、どこか必死さが滲んでいた。
だが――。
🇨🇳「我は……信じられないアル」
弱々しく響く声。中国が、北朝鮮の背に身を預けるようにして呟いた。
小さな震えが、確かに伝わる。
🇨🇳「……ロシアの目、冷たい。次に刃を向けるのは……きっと我だ。怖い……守って」
その言葉は、北朝鮮の心を深く抉った。
彼の中で、恐怖と怒りが渦巻く。
🇰🇵「っ……!」
北朝鮮は拳を握りしめ、ロシアを睨んだ。
🇰🇵「俺は……中国さんを守る。お前みたいな怪物から!」
🇷🇺「待て――!」
ロシアが一歩踏み出した、その瞬間。
ーーバァンッ
乾いた音が、静寂を切り裂く。
ロシアの巨体が揺らぎ、胸に赤黒い穴が開いた。
🇷🇺「……は?」ゴフッ
血反吐を吐く。
驚愕と困惑が混ざった表情。
そして、ずしんと重い音を立てて床に崩れ落ちる。
血がじわりと広がり、冷たい床を赤く染めた。
銃声が遠のいた後の静寂は、耳鳴りのように重く張りついた。ロシアの巨体は、もう動かない。床には赤が広がり、鉄の匂いが冷たく鼻を刺す。
🇰🇵「……はぁ、はぁ……」
北朝鮮は震える指でまだ銃を握り、喉の奥で乾いた息を噛み殺した。引き金を引いた感触が、皮膚の内側に棘のように残っている。
🇨🇳「北…」
背後から、柔らかく掠れた囁き。
肩にそっと触れる指先は、かすかに震えていた――弱い者のふりを、巧みに演じる震え。
🇨🇳「……我を、守ってくれたアルか。怖かったアルよ」
中国は身を寄せ、耳元で吐息を混ぜる。視線は潤み、縋るように見上げてくる。
🇰🇵「と、当然です……! 俺は――いえ、俺は中国さんを必ずお守りします。どうか……安心ください」
北朝鮮は顔を赤くし、言葉を急いだ。胸の奥で膨らむのは、罪悪感よりも「守らねば」という熱。
中国は一歩さらに踏み込み、北朝鮮の両手を包み込む。
人差し指でわざとゆっくり、北朝鮮の顎をなぞる。
🇨🇳「優しいアルね……我は弱い。ここでは、ひとりでは立っていられないアル。頼っても……いいアルか?」
🇰🇵「も、もちろんです! 俺は中国さんの盾です。次に何が来ても、俺が前に立ちます」
敬語混じりに昂ぶる声。呼吸は浅く、瞳はまっすぐで幼い。
中国は伏し目がちに頷き、肩に額を預ける。
🇨🇳「……ありがとう。お前だけが、頼りアル」
耳元を掠める吐息、近すぎる距離。甘い体温は、北朝鮮の感情を揺さぶるのにちょうど良かった。
北朝鮮の喉が、ごくりと鳴った。
🇰🇵「俺は……絶対に離れません。中国さんが怖いなら、俺が全部――」
🇨🇳「……うん。じゃあ、もう少しだけ我のそばにいてくれるアルか?」
囁きは柔らかい。だが、その奥で冷たい考えが頭を過ぎる。
北朝鮮は力強く頷く。
🇰🇵「はい。俺は中国さんの側にいます。最後まで」
中国は微笑んだ。
――わずかに開いた唇が、ほんの一瞬だけ歪んだ。
感謝にも安堵にも見えるその形は、実のところ計算の形。
🇨🇳「良い子 ……行こう。出口を、二人で見つけるアル」
中国は、イギリスのポケットから鍵を取り、北朝鮮と手を繋いだ。
絡め取られた手は、まだ離れることは無い。
ロシアの血だまりを踏まぬよう、二つの影が同じ方向へと伸びていく。
その足取りは寄り添っているのに、目指す場所は――同じとは限らなかった。
『本当に、協力すると思いますか』
『私は、よく見えないんです。話も、聞こえません。』
『大丈夫ですよ。撮ってあるので』
『……そう…ですか』
コメント
4件
死んだぁ、、、ロシア死んじゃった、、、!!わかってたけど、、、!! やっぱ悲しいなぁ、、、 戦犯:イギリス この後中国さんが裏切りそうだなぁ、、、
えっ……えっ!?イギリスに続いて、ロシアまで退場!?あと、マスターが誰なのか気になる!中国さんと北朝鮮は無事に生き残って欲しいっ!!!