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ヴィンセント「お前はまだ、俺の理想には届いていない・・・」
ヴィンセント「なら、俺が直々に躾けてやろう」
〇〇「ッやめ・・・嫌だ・・・!!」
服の中に入り込んできた手の冷たさに身震いし、振り解こうと必死に身を捩る。
暴れ続ける私に痺れを切らせたのか、後ろで小さく舌打ちが聞こえた。
それと同時に髪を鷲掴みにされ、首が反るほどに後ろへと引かれる。
ヴィンセント「なあ〇〇・・・お前の姉は、俺の革命によく心酔しているようだなあ?」
〇〇「ッ・・・え・・・・・・」
耳元で囁かれた言葉に、彼の腕から逃れようともがいていた動きを止める。
ヴィンセント「彼女の周りにも、熱心なファンは多そうだ・・・」
ヴィンセント「どうなるだろうなあ?」
ヴィンセント「“〇〇の姉は、この俺を裏切り・・・革命を阻止しようとする工作員だ”」
ヴィンセント「・・・・・・そ~んな噂が流れたら・・・」
―――ドクン、ドクン
まるで悪魔の囁きのようなそれに、心臓が大きく脈を打つ。
ヴィンセント「情報は武器だ。本当か嘘か?そんなものは関係ない」
ヴィンセント「俺のファンが、俺自身の流す情報を疑うと思うか?」
考えなくとも明白に導き出される解答。
そしてその先に待つ、逃れようのない選択。
私自身を手招きする絶望的な未来に、嫌な汗が首筋を伝う。
ヴィンセント「革命者と、いち信者・・・民衆が信じるのはいったいどちらだろうな?」
ヴィンセント「賢いお前のことだ・・・・・・わかるだろう?」
“ねね、〇〇!この人、〇〇と同じ会社の人なんでしょ?”
“テレビ業界に革命だって!そんな人と一緒に働けるなんて、すごいね!”
屈託なく笑う、仲の良かった頃のお姉ちゃんの笑顔が頭に浮かぶ。
たった1人の肉親。大切な家族。
“あの頃に戻りたい”―――お姉ちゃんにどれだけ罵られても、私はその日を夢見てきた。
ヴィンセント「さあ・・・・・・決めるのは君だ。〇〇」
ヴィンセント「・・・答えを、聞かせてもらえるかな?」
〇〇「・・・・・・ッ」
今の私に、選択肢など残されていなかった。
答える代わりに抵抗していた身体の力を抜くと、背後で小さく笑う声がする。
ヴィンセント「良い子だ、それでいい・・・・・・」
ヴィンセント「優秀な部下を持って、嬉しいぞ」
肌を這う手の感触から意識を逸らすように閉じた瞳から、一筋の涙が零れた。