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もう笑うしかない。
『恭香先輩が一弥先輩と付き合ったら、世も末です。私、許しませんから~』
世も末って…
でも梨花ちゃん、一弥先輩のこと本気なんだね。
酔ってるけど、そこは間違いなさそう。
梨花ちゃんは一弥先輩を好きで、菜々子先輩は…朋也さんを好きなのかな…
さっきからずっと朋也さんの近くにいるから。
菜々子先輩、あんな短期間で一弥先輩と別れたって…まだ信じられない。
みんないろいろあるけど、それぞれに想う相手がいるんだ…
私も…
確かに一弥先輩が好きだった。
それは間違いない事実。
でも…朋也さんと出会って、少しずつ環境が変わってしまって…
私の気持ちにも変化が現れた。
だけど…
結局、よく分からないままで…
朋也さんにも一弥先輩にも告白されたわけじゃないし。
朋也さんとはただ一緒に住んでるだけ、よくわからない関係で…
一弥先輩も映画に誘ってくれたけど、友達として…なんだろうし…
『そろそろ帰りましょう』
誰かのひとことで、朋也さんの歓迎会はお開きになった。
楽しい時間だったな…
片付けもしなくていいって、最後まで甘えっぱなしだ。
社長ももうお休みになられたみたいだから、お礼が言えなくて残念だった。
菜々子先輩と梨花ちゃんは、同じ車で帰っていった。
一弥先輩と他の人達は、また違う車に。
私は…
みんなを送り出して、最後に朋也さんと一緒に車に乗り込んだ。
運転手さんは、夏希を送ってくれた方だ。
『さっきはありがとうございました』
お礼を言うと、
『ちゃんとお母様が出てらして丁寧に降ろさせて頂きました。浜辺様はもう眠っておられましたよ』
ちょっと微笑みながら話す運転手さん。
ロマンスグレーの素敵な紳士だ。
映画やドラマで見る執事さんみたいに見える。
『みんな結構酔ってたな』
『そうですね。本当に美味しくて楽しかったから、みんなはしゃいでましたね。私もですけど』
『なら良かった。父さんも喜んでた。俺が話した時すぐにシェフを予約して、いろいろ段取りをつけてくれたから』
『すごいんですね、社長さん。でも、そこまで社長さんがして下さったなんて…すごく有り難くて嬉しいです』
朋也さんがいきなり出ていくなんてことになって、怒ってないか心配だったけど、他人がそんなこと心配するまでも無かったね。
2人は、深い信頼関係で結ばれた親子だもん。
素敵な関係だな。
『笠井さん、次を右に。そのあと道なりで』
『かしこまりました』
丁寧な運転だ。
『森咲様。どうぞこれからも朋也様のこと…よろしくお願い致します。朋也様は、本当に素晴らしい方です。私も、森咲様のような素敵なお嬢様が朋也様のお相手で大変嬉しいです』
『あ、いえ、私は…』
なんて言ったらいいのかわからなかった。
本当にどうなるのか…
朋也さんは、何も言わずに外を見てる。
マンションに着くと、笠井さんがドアを開けてくれた。
本当にお姫様にでもなった気分にさせてくれて、気遣いが嬉しかった。
『今日はありがとうございました。楽しかったです』
私は、丁寧にお礼を言った。
『ありがとう、いろいろご苦労様。帰ったら、すぐ休んでくれ』
『はい、朋也様。お気遣いありがとうございます。朋也様も森咲様もお体に気をつけて下さい』
朋也さんは、笑顔でうなづいた。
私達は、笠井さんと別れ部屋に向かった。
『本当にありがとうございました。バーベキュー、最高に美味しかったし、楽しい時間でした』
『良かった』
部屋に入ったら、私、急に眠くなってしまった。
朋也さんも眠いみたい。
みんなにいろいろ気を遣ってくれてたから、疲れたんだろう。
2人とも急いでシャワーを浴び、あっという間に深い眠りについた。
明日は、仕事…
目覚ましをセットすることだけは忘れなかった。