テラーノベル
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ザーッ……ザーッ……
古びたテレビの砂嵐が、部屋に不快な音を響かせる。
画面の中で、司会者は笑っていた。
『次の試験、“家族参加型”なんですよ♪』
その言葉が落ちた瞬間。
空気が凍った。
湊は子供達を抱き寄せる。
娘は怯え、息子は状況がわからないまま朧の服を掴んでいた。
朧の鬼気が膨れ上がる。
部屋の提灯がビリビリ震え始めた。
「……貴様」
低い声。
今にも殺しに行きそうな声だった。
だが司会者は笑う。
『怖いですねぇ。でも安心してください! 今回は特別ルールです!』
テレビ画面が切り替わる。
映し出されたのは――学校。
あの廃校だった。
赤黒く汚れた壁。
穴だらけの床。
水浸しの廊下。
湊の呼吸が止まる。
忘れたくても忘れられない場所。
『今回の試験内容はこちら!』
司会者が楽しそうに拍手する。
『“鬼ごっこ”でーす♪』
その瞬間、画面に大量の人影が映る。
子供。
女。
男。
泣いている。
叫んでいる。
全員、首輪をつけられていた。
湊の顔から血の気が消える。
『ルールは簡単♪ 制限時間は六時間!』
『捕まったら死にます!』
『最後まで逃げ切れた人だけ、生還です♪』
司会者は笑顔のまま続ける。
『そしてぇ〜……』
画面が切り替わる。
映った瞬間。
湊の身体が凍った。
そこにいたのは――。
自分の娘だった。
「……っ」
息が止まる。
娘は眠らされている。
暗い部屋で、一人椅子に縛られていた。
『この子、すでに預かってまーす♪』
瞬間。
ドンッ!!!!
朧の鬼気が爆発した。
テレビが砕け散る。
窓ガラスが割れる。
里中の鬼達が震え上がるほどの殺気。
湊は慌てて朧へしがみついた。
「朧!!」
鬼の目になっていた。
理性が消えかけている。
朧は荒い息を吐きながら、震える声で呟く。
「……殺す」
その声に、今までにない怒りが滲んでいた。
湊の頭にも怒りはあった。
恐怖もある。
だがそれ以上に。
娘を取り戻さなければ。
司会者の笑い声だけが、壊れたテレビから響き続けていた。
『それでは皆さん♪』
『次の試験も、楽しんでくださいねぇ♪』
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