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いつも使用人に起こされるが今日は違う。夜麻ちゃんの声で目を覚ます。働きかけの頭で昨夜のことを思い出す。正直バカみたいに恥ずかしい。好きな人の母親の胸の中で号泣など想像もしない事をしたからだ。
ただ、母の温もりを直に感じたのは久しぶりだった気がする。私の母親は、父と同じ会社で共働きでいつも家にはいない。
亜美菜(たまに思い出す程度でいいかもな。じゃないと悶え死ぬ)
夜麻「亜美菜ちゃん?朝ごはんできたけど食べれる?」
私がなかなか部屋から出てこないのを不審に思った夜麻が私の様子を伺いに来てくれた。
亜美菜「ごめん、今行くよ」
夜麻「もしかして朝弱い?」
亜美菜「低血圧でさ、なかなか起きれないんだよね」
夜麻「お兄と同じだね。いつも時間ギリギリに起きてくるんだよ」
亜美菜「簡単に想像できちまうのが恐ろしいよ」
夜麻「もしだったら起こしてもらえる?」
亜美菜「は?いや、でも…」
夜麻「今日くらいはいいんじゃない?」
甘い囁きに従うまま和馬の部屋の前に着いた。
心臓がはち切れそうなほど高鳴っている。
亜美菜(今更だろ。一緒のベッドで寝た事もあるんだし大丈夫)
決心をつけノックをする。だが返事はない。
亜美菜(返事がない時は入って起こせって言ってたな)
ゆっくりと音を立てないようにドアを開ける。
亜美菜(ぐっすりじゃねえか。子供みたいな寝顔しやがって)
亜美菜「和馬、起きろ。朝だぞ」
だが和馬は言葉にならない呻き声を出すだけで起きる気配はない。
亜美菜「わざわざ起こしに来たんだから起きろ」
働かない頭をフルに稼働させ私が夜麻ではない事にようやく気付いたようだ。
気付いた途端猫のように飛び跳ねるように体を起こし、霞む目を擦りながらおはようと挨拶を交わしてきた。
亜美菜(ダメだな。全然吹っ切れてねえじゃねえか。 )
だがそれも今日までと決めた。
亜美菜「和馬。寝起きにこんな話するのも悪いんだけどいいか?」
私の真剣な空気が伝わったのか、和馬は眠そうな目を開けて私の目を見てきた。
亜美菜「今日の放課後屋上に来てほしい。そこで言いたい事があるんだ」
和馬「…分かった。今日はバイトもないからすぐに行くよ」
亜美菜「あと今日は一本早い電車で行くよ。和馬と同じ電車に乗ったら心と気まずいしな」
亜美菜「心には学校で謝るよ」
和馬「分かった」
夜麻が準備してくれた朝食を食べ、和馬の家を出る。心と喧嘩は何度かした事あるが、今回はいつもとは違う。私が謝るだけでは事は治らない。和馬にちゃんと告白をし、ちゃんと振られる。それでやっと心と仲直りができるような気がする。いつもより一本早い電車に乗り学校に向かう。ガラガラな教室に一人暇そうにスマホを構う姿が見えた。その正体は宮間だった。
亜美菜「宮間…?」
宮間「おはよう、亜美菜」
亜美菜「早いな、今日は」
宮間「亜美菜が早くくる気がしてさ。」
亜美菜(そう言えば宮間も私を探してくれたんだよな)
亜美菜「宮間、昨日は私を探してくれてありがとう」
宮間「どういたしまして。まあ結局見つけたのは和馬だけどな」
亜美菜「……宮間」
亜美菜「今日の放課後和馬に告白する事にした」
宮間「気持ちで負けんなよ!奪い取るつもりでいけ」
亜美菜「……応援してくれるのか?」
宮間「そりゃあそうだろ、友達だし」
宮間「それに、俺は亜美菜の気持ちを1番近くで聞いてきたと思ってる」
宮間「だから告白をするって決めたのも簡単なじゃない事も分かってる」
宮間「それを知ってて否定なんてできないだろ」
宮間「俺は亜美菜の味方だから」
亜美菜「宮間、ありがとう…!」
宮間「頑張れよ」
それからしばらくすると教室内に人が入り、騒がしくなり始めた頃、心と和馬が教室に来た。
だが心の様子が少し変だ。やけに周りを気にしている。すると心と目が合った瞬間に心が私に近寄る。
心「昨日はごめんなさい。亜美菜の気持ちを考えないでズケズケと入り込んじゃって」
亜美菜「違う。謝るのは私の方だよ。理不尽に苛立ってそれを心にぶつけた。だから心が謝らないで」
でもでもと、私が謝ろうとしても心は自分が悪いの一点張りで私を一向に責めてこない。それに負けずと私も謝り続けている。
亜美菜「心、話したい事があるから場所移動してもいいかな」
心「……うん、分かった」
私の気持ちを読んでくれたのかさっきまで謝り合いを行っていたとは思えないほどあっさりということを聞いてくれた。
しばらく歩き、人気の少ない廊下まで来た。
心「それで話って?」
亜美菜「もう察してるかもしれないけど、口にして言いたい」
亜美菜「今日、和馬に告白をする。心にとっては気持ちのいいものじゃない事も分かってる 」
亜美菜「でも、それを許してほしい」
心「いいよ。これが亜美菜の出した気持ちの踏ん切りの付け方なんだよね」
心「だったら私は何も言わないよ」
亜美菜「心ありがとう」
心「ただし条件付きだけどね」
亜美菜「なんでも受け入れるよ」
心「これきっかけでうちとギクシャクしない事!いいね!」
亜美菜「分かった。ちゃんと覚えとく」
心「よし!じゃあ教室戻ろっか!」