昼休み、いつものメンバーで集まる事はなかった。亜美菜と宮間の二人は一緒にどこかに行ってしまい、集まったのはあやとふみだった。
心「ふみはさ知ってたの?亜美菜が和くんのこと好きなの」
ふみ「結構前から知ってたよ。」
心「結構?!うち気付かなかったんだけど」
ふみ「それよりもさ、いいの?告白止めなくて。」
心「止めたいよ。」
心「だって試行錯誤して、苦しんで、もがいて、それでやっと付き合えて。止めたいに決まってる。」
心「でも、亜美菜は親友だから。後悔をしてほしくない、辛い思いさせたくない、苦しんでほしくない。そう思ったら止めたくても止められないでしょ?」
今にも崩れて壊れそうな感情を、押し殺して発する言葉には、彼女の覚悟が詰まっているように感じた。
そして授業は終わり、放課後クラスメイト達は各々部活やら、バイトやらで教室を後にする。
それに紛れて私達も教室を後にする。その中で残るのは和馬と亜美菜だった。
しばらく沈黙が続いた。長く感じたが実際はほんの数分。それほど二人の間の空気は緊張に包まれていた。
決心を決めた亜美菜は覚悟のこもった目で和馬を、和馬の目を見る。
亜美菜「まずは謝らせて欲しい。心と和馬がいい感じ雰囲気なのは最初から知ってた。」
亜美菜「私は心の親友として見守るつもりでいた。でも、ごめんなさい。私には見守るだけじゃ無理だった。」
和馬「それは、何とも言えない…な」
亜美菜「だよな……!」
いつもの茶化すように微笑む顔も今日は無理して作っているように感じた。
亜美菜「だから私は本気で恋をする事にした。私はあなたの事が好きです。付き合ってください。」
和馬「……ごめ…」
亜美菜(振られるのはわかってる。でも本気で恋をするって決めた。だから和馬が押しに弱いのを利用する)
亜美菜「私は本気で和馬が好きだ!嘘じゃない。行動で示せって言うなら何だってする!私がお偉いさんの娘が嫌だって言うならその地位だって捨てる!もちろん和馬が嫌なことはしない。浮気もしない!から私と付き合ってください!」
ダサいし醜いだろう。今だってこの選択肢は正解かさえ分からない。でも好きだって気持ちは本気なんだって伝わって欲しい。少しでも気持ちが揺らいでくれて欲しい。そう願いながら和馬の言葉を待つ。
和馬「……俺のどこにそんな惹かれるのかよく分からない。亜美菜さんだけじゃない。あやもそうだ。でも俺の能力は発動しなくて。」
和馬「だからここまで好意を持ってくれたのが堪らなく嬉しい。」
和馬「でも……ごめん。亜美菜さんと付き合う事は出来ない。」
亜美菜「…私はその言葉が聞けて良かったよ」
亜美菜「心の事大事にな!」
和馬「うん…!」
和馬はそう言って教室を出て行った。最後まで複雑そうな顔をして。
亜美菜(嘘を見抜けるのに、本人は嘘つくのが下手なんだよな。)
亜美菜(これが失恋か〜。まだ実感がないからか、あっさりしてんな)
すると教室のドアがゆっくりと音を立てながら開く。そこにはふみがいた。
亜美菜「ふみ…」
ふみ「帰りにさ甘いもの食べに行こうよ」
ふみ「奢るからさ」
亜美菜「…その優しさが辛いよ」
ふみ「厳しくしたってどうしようもないじゃん」
亜美菜「ッ…!泣きなく…なかった…!泣いたら本当に、終わりみたいに感じるから」
ふみ「分かってる。でもさ辛さを我慢しすぎた時に出る涙の方が苦しいじゃん」
ふみ「終わらせたくない気持ちは忘れないように泣いて刻もうよ」
亜美菜「……いい奴すぎるだろ」
ふみ「あたしだって亜美菜の親友だもん。当たり前じゃん」






